揺れる高市首相…協力相手は国民民主から参政党に 自民党内ではさらなる「タカ派化」に不安も
異例だった2月の衆院選後に始まった通常国会も、終盤の攻防を迎えている。衆院と異なり参院では過半数まで4議席足りない状況は変わらないままの与党だが、再審制度を見直す刑事訴訟法改正案や国旗損壊処罰法案については今国会成立のめどをつけた。
これまで与党が参院で4議席以上の賛成を得るため第一に秋波を送ってきたのは、国民民主だった。ただ終盤国会に入り、その相手が参政党になる場面も増えつつある。
その代表的な法案が刑事訴訟法改正案だった。当初、与党側は国民民主の賛成を取り付けることを目指し、修正案への賛成をはたらきかけてきた。
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しかし国民民主側は結局、裁判所の職権による証拠開示の制度化が見送られたことなどに反発し、独自の修正案を出すことに。焦った与党側は15議席をもつ参政党に接触し、与党側が示した法案への賛成を取り付けたのだった。
今国会の終盤で与党と参政党が同調した場面は、ほかにもある。
高市早苗首相肝いりの国旗損壊処罰法案でも、参政党は与党との法案共同提出に加わった。参政党は、もともと与党案では規制の対象になっていなかった、バツ印をつけた国旗を街頭演説の場で掲げる行為も処罰対象にすべきだと主張。これに対し与党側は当該行為を処罰対象にすることはなかったものの、参政党に譲歩する形で、法施行後3年後、必要なときは見直すことを付則に明記した。
「玉木はすぐゴールポストをずらす」
与党側が参政党にここまで配慮する背景には、国民民主への不信感をぬぐえないことがある。
国民民主とは昨年末に「年収の壁」引き上げをめぐって合意し、2026年度の当初予算成立に協力する方向で話が進んでいたが、衆院選後の短い予算審議が拙速だとして、反対に転じた。
国旗損壊処罰法案をめぐっても、玉木氏は当初「このままの条文が出てくるなら賛成しかねる」「違憲立法だと判断されかねない」と、強く疑問を呈した。
結局、与党側は国民民主の主張も受け入れ、自ら国旗を損壊する様子の動画をSNSに事後的に投稿する行為を処罰対象から削除することになったが、玉木氏の思わぬ強気の姿勢には、自民内に驚きも広がっていた。
こうした一連の動きに全国紙政治部記者は「高市首相は玉木氏のことを信用していないし、自民幹部も『玉木はすぐゴールポストをずらす』と嘆いている。それだけに『玉木頼み』ではリスクがあると考え、参政党にも接近しているのだろう」とみる。
ただ自民にとって参政党との接近はリスクもはらむ。
参政党は高市首相が掲げる憲法改正やスパイ防止法制定に関しても協力をちらつかせるが、今回の国旗損壊処罰法案のように、自民が想定していた以上にタカ派色の強い内容を要求してくる可能性がある。
そのため、自民内では「いくら4議席足りないからといって、タカ派色が強くたびたび発言が問題となる参政党と接近して振り回されるのは勘弁してほしい。来年春の統一地方選を前に、自民のイメージが心配だ」(自治体議員)といった声も上がる。
高い支持率を武器に、自身のカラーが色濃くにじむ法案成立を目指す高市首相だが、このまま参政党の協力を仰ぐ機会が増えていくか。いっぽうで「信用できない」とされる国民民主ともつかず離れずの距離でいられるか。両党との距離感が今後を左右しそうだ。
文/中村まほ 内外タイムス
