鹿児島市の天文館ではホテルの建設が相次いでいます。建設費や人件費が高騰するなか、なぜ今なのか。その背景や新旧ホテルの戦略に迫りました。

(記者)「こちらにもホテル。道路を挟んだあちらにもホテル。天文館のホテル競争が激しくなっている」

天文館で進むホテルの建設ラッシュ。

ことし3月にオープン「ホテルグランセレッソ鹿児島天文館」

県内企業がことし3月にオープンした「ホテルグランセレッソ鹿児島天文館」です。

最上階のレストランから一望できるのは雄大な桜島と錦江湾。朝食は鹿児島黒豚のしゃぶしゃぶや鶏飯など“鹿児島らしさ”を前面に押し出しています。

広い部屋だけでなく、2段ベッドタイプなど複数人で泊まれる部屋が多いのが特徴で、開業してからの稼働率は平均75%と順調な滑り出しです。

激戦区の天文館を選んだ理由は

激戦区の天文館を選んだ理由を聞いてみると…。

(ホテルグランセレッソ鹿児島天文館 神田淳一支配人)「ドルフィンポート跡地の再開発で来られるお客さんを見込んで、こちらの立地を選んだ。団体客を誘致できることは、ホテルにとっては一番のメリット」

期待を寄せる「本港区の再開発」。ドルフィンポート跡地では、県が2032年度末の供用開始を目指し、最大8000人規模を収容できるスポーツ・コンベンションセンターの整備計画を進めています。

地域経済に詳しい専門家は

地域経済に詳しい専門家も、本港区の再開発はホテル競争を加熱させる要因の一つと分析します。

(志學館大学法学部・地域経済学専門 後田廣孝教授)「数千人規模のイベントが行われると、そのまま周辺に宿泊する人が多いと思う。宿泊施設があれば、(イベントなどを)さらに誘致する力、持ってくることができる可能性が高まる」

鹿児島市内にある宿泊施設はことし3月末で261軒とここ10年で1.6倍に増えています。

ホテル開業を後押し「建物の老朽化」

さらに、ホテル開業を後押しするのは「建物の老朽化」です。

市の調査によると、中心市街地では築40年を超える建物が48%にのぼっていて、県内外の企業がホテルの建設を進めています。

(志學館大学法学部・地域経済学専門 後田廣孝教授)「天文館地域の再開発余地は非常に大きいと思う。立地的にマンションが合わない。観光地なのでホテルの相性が非常に高い、さらにホテルの開業が増えていくのではないかと思う」

懸念されるホテル同士の熾烈な競争

一方で、懸念されるのがホテル同士による熾烈な競争です。

市内の宿泊者数は2018年が410万人、その後、コロナの影響で落ち込みましたがおととしは402万人とコロナ前の水準を上回りました。

一方、コロナ禍も宿泊施設は増えて収容人数は年々増加。稼働率は84%から59%に低下し、競争は激しくなっています。

老舗の「ホテルニューニシノ」 独自の強みで勝負

こうした中、独自の強みで勝負するのが創業100年を超える老舗の「ホテルニューニシノ」。立地の良さに加え、代名詞とも言える「フィンランドサウナ」が人気で、週末には200人ほどの客が訪れます。

(2回目の利用)「すごくよかったのでもう一回行きたいなと思って、すごくととのいやすい」

(常連客)「サウナがすごく気持ちいい。ととのえて天文館へ繰り出して行こうと思う」

そして、ことし4月に始めたのが…。

ホテルのもう一つの自慢

(ホテルニューニシノ 西野友季子社長)「温泉の掘削工事をしている」

ホテルのもう一つの自慢が天然温泉。これまでも多くの人を癒してきました。しかし配管に不具合が生じ、現在は天然温泉での営業を停止中です。

代々受け継いできた湯を届けたいと工事を進めています。

「鹿児島がもっと魅力ある場所に」

天文館で天然の温泉を楽しめる宿泊施設は数軒のみ。“希少性と伝統”老舗ならではの強みを活かす戦略です。

(ホテルニューニシノ 西野友季子社長)

「チェーンや新しいホテルにはないものをとにかく磨いていく。(ホテル増加は)脅威・心配な部分ではあるが、施設が増えることでお客さんが増えて、鹿児島がもっと魅力ある場所になればいい」

競争だけでなく県全体の観光力向上に

競争に終わらせず、県全体の観光力向上につなげられるか。天文館のホテルは重要な役割を担っています。

(志學館大学法学部・地域経済学専門 後田廣孝教授)「付加価値の高い・機能性の高いホテルが天文館の中にできることは、観光客からすれば魅力的な観光スポットとしての要素の一つにはなっていくと思う」

「(天文館が)ハブ機能を発揮して、(県全体に)宿泊客を送るような機能を発揮していくのが一番理想」

魅力あるホテルが鹿児島の観光を支える重要な鍵を握りそうです。