ラーメンチェーン「壱角家」に油そばのノウハウ “二刀流外食”で勝負に出るガーデン
家系ラーメンチェーンの「壱角家」、うどんチェーン店の「山下本気うどん」などを展開するガーデンが、昨年の下半期から攻めの姿勢を見せている。
これまでも店舗数を一気に増やすなど、特定のシーズンにピンポイントで活動を活発化させることがあったが、昨年11月1日に発表されたラーメンチェーン店「萬馬軒」の買収に続き、今年はそば居酒屋チェーン店の「高田屋」も傘下に収めるなど、同社の得意分野である同業飲食店の拡大を、軌道に乗せようとしている。
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ただ、やはり突出して目立っていたのは柱事業である壱角家に関する動きだ。650円以上の注文でスタンプを1つもらえ、10個でラーメン1杯と交換できるスタンプシステムを取り入れているが、2月にはスタンプ2倍キャンペーンを複数回実施。
12周年と題した3月と4月の企画では、スタンプが4倍になる日も店舗限定で設定。取りやめていたライスおかわり無料のキャンペーンを一時的に復活させ、ノリの追加トッピングをサービスするなど、利用者への大盤振る舞いが止まらなかった。
そんな壱角家に、また新たな、そして大きな変化が起きている。きっかけは4月28日に発表した「ハイブリッド店舗」の計画だ。壱角家は一都九県と海外に店舗を設置しており、2026年6月時点で直営店113店舗、フランチャイズ店18店舗を抱えているが、これらの店舗に「油そば総本店」のメニュー、ノウハウを含む各オペレーションを取り入れる。ガーデンは「二刀流外食」とも名付けており、両店舗の強みを生かした営業を行うことになる。
ラーメン店に油そばのメニューが加わっただけというようにも見えるが、油そば総本店の歴史は壱角家よりも少しだけ長く、2012年から池袋や新宿などで店舗を展開してきた。だが、油そば総本店の名前だけを冠した店舗は、2026年6月時点で「新宿東口アルタ裏店」のみになっている。
当初のニュースリリースでは、2026年中に30店舗をハイブリッド店舗にすると発表していたが、5月下旬には「100日で100店舗にする」と軌道修正。現在は、壱角家がほぼ毎日どこかでリニューアルオープンを行う、異常事態とも言える現象が発生している。
「常識を覆す」「コスパ良い」の他にも戦略が
ハイブリッド戦略に関するQ&Aを掲載するページでは、新たな採用費用が不要、「意外とヘルシー」が女性から支持されるなど、複数のメリットを強調している。本来の資産とノウハウを活用することで相乗効果を生むとしているが、このページ内で触れられていない情報がある。それが「油そば業界」の活況ぶりだ。
東京都の多摩エリアが発祥の地だとされる油そば。珍々亭やぶぶかなどの名店が誕生したことで、油そばの文化は全国へゆっくり浸透していったが、平成後期から令和にかけて油そば総本店などの店舗が登場。
都内では春日亭、東京油組総本店、日本油党、元祖油堂などが、顧客獲得を目指している。これらの店舗が規模の拡大を目指すには、土地探しや採用などを新たに行わなければいけないが、ガーデンはそれらの手間を全て省略し、客を奪うことも可能だ。
元祖油堂は種類が豊富な卓上調味料が特徴の一つで、カレー粉などの変わり種も用意している。東京油組総本店は、今の時代に1000円以下の油そばのみを提供するという強みがある。対する油そば総本店も、基本的に1000円以下で油そばの提供を行ってきたのだが、今回の戦略展開に合わせるような形で卓上調味料の種類を増やすと発表。丸ごとではないものの、各店舗の特徴を「吸収」している。
日本油党は「はやし田」で名を上げたINGS、元祖油堂は「町田商店」を傘下に持つギフトホールディングスがそれぞれ手掛けている。ラーメン店で大きくなり、上場を果たした各社は、今後油そばのジャンルでも覇権を競い合うかもしれない。
文/池田聖人 内外タイムス編集部
