不安の訴えに巻き込まれて混迷しないために。相手を変えることはできない【不安症の周囲の人へ】
次から次へと気がかりなことが思い浮かび、不安で、不安でたまらない――そんな状態が続くことがあります。「心配性」「怖がり」など、性格や気質の問題のようにとらえられがちですが、生活に差し障りが生じるほどの現れ方であれば「不安症」という病的な状態ととらえられます。
「不安をなくそう」「不安になるのを避けよう」とすればするほど、不安は強く大きくなり、不安にとらわれやすくなっていきます。書籍 『不安症がわかる本 とらわれから抜け出す』から、「不安」とは何か、といった基礎知識をはじめ、さまざまなケース例とともに不安へのとらわれから抜け出す方法を具体的に紹介します。
不安の訴えに周囲は巻き込まれやすい
不安にとらわれている人に巻き込まれ、周囲の人も平静を保てなくなることがあります。相手の要求に応じるために仕事を休まざるをえない、長電話に時間をとられる、ネガティブな話ばかりで気が滅入るなど、困ったことになりがちです。
訴えがあれば「なんとかしてあげたい」と思うかもしれません。しかし、誠実に対応しても、不安でいっぱいの人は感謝しているふうでもなく、新たな不安の訴えが続きます。周囲が疲れ果てて対応がおろそかになると、それがまた相手の不安を強めるという悪循環が始まります。
周囲の人は、不安を訴える相手との適切な距離の置き方を身につけていく必要があります。冷たいように感じられるかもしれませんが、それが共倒れを防ぎ、結果的には不安のとらわれから抜け出すことにつながるのです。
■不安の悪循環が生まれやすい
不安は不安のまま、そっとしておけば消えていきます。しかし、そう簡単にはいきません。家族など身近な人のかかわりが、悪循環を生み出すこともあります。
■巻き込まれた果てに起こること
身近な人ほど本人の不安に巻き込まれ、事態は混迷しがちです。
自分の行動を変えると相手の行動も変化する
不安でいっぱいの人の行動や考えを、ほかの人が無理に「変える」ことはできません。しかし、結果的に「変わる」ことはあります。
ある行動が増えるか減るかは、その行動にともなう結果によって変わります。ある状況でとった特定の行動が「よい結果をもたらした」と本人が思えばその行動は増え、「よくない結果に終わった」と感じればその行動は減ります。
行動の前提となる状況や行動がもたらす結果は、本人以外の人でも変えられます。家族などが状況を変える、結果を変えることで、間接的に本人の行動は変わっていく可能性があるわけです。
■「正そう」とすると反発をまねく
不安を訴える人を安心させようとして事実や正論を伝えると、相手はさらに持論を強く主張します。動機づけ面接※では、これを「間違い指摘反射」と呼んでいます。
※行動の変化を促すカウンセリングの技法
〇本人
「たいへんなことになるのでは……」
↓
〇周囲の人
〈否定〉そんなことない。考えすぎだよ
〈説得〉○○したから大丈夫だよ
〈脅し〉そんなことばかり考えていると人生損する
〈情報提供〉不安症では? 抗うつ薬が効くらしい
〈泣き落とし〉お願いだからもうやめて。私もつらい
↓
〇間違い指摘反射
本人は「あなたが感じたこと・考え方・やろうとしていることは間違っている」と言われているように感じる。否定されたことに反発して、ますます自分の考えや行動を変えられなくなる
■状況と結果によって行動は変化する
状況や結果が変われば、相手の行動は変わっていきます。相手の不安に巻き込まれ困っているときには、相手の行動がどのようなときに起こり、その行動によってなにを得ているのか考えてみましょう。
