日本とフィリピンが海域境界画定を進める目的とは何か?―仏メディア
2026年6月15日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、日本とフィリピンの海洋境界画定交渉の目的について報じた。
記事は、高市早苗首相とフィリピンのマルコス大統領が包括的戦略パートナーシップに関する共同声明を発表し、排他的経済水域(EEZ)および大陸棚の海洋境界の画定に向けた交渉を開始することで一致したと紹介。これに対し中国政府は強い反発を示しており、日本とフィリピンの双方に厳重な抗議を行ったと伝えた。
その上で、交渉対象の海域が日本の与那国島付近からフィリピン最北端のバタン諸島までに及び、台湾東側の海域で両国のEEZが重複しているとし、一連の動きは国連海洋法条約(UNCLOS)に基づく行為であると説明。台湾当局が「国際法および海洋法に基づいて享受している台湾の主権や既存の漁業協定の執行に影響を与えない」と強調したのに対し、台湾を自国領土の一部とみなしている中国は「中国を蚊帳の外に置いたまま日本とフィリピンの双方で境界を画定することは認められない」という立場であると解説した。
また、境界画定の表面的な目的は漁業管理の明確化や海底ケーブルの敷設、海洋エネルギー開発の円滑化であるとしつつ、深層には中国軍の「第2列島線」への進出に対抗する「第1列島線」の防衛という地政学的な戦略的対抗の問題があると指摘。中国海軍が西太平洋に出入りするための重要な通路であるルソン海峡や宮古海峡、与那国島周辺海域における監視や、日米フィリピンの安全保障連携、海洋状況把握(MDA)能力の構築の強化に役立つと伝えた。
記事は、関連する日本の動きとして、フィリピンに対して防衛装備品の移転に向けた実務グループの設置や巡視船の提供を行っているほか、日・フィリピン部隊間協力円滑化協定(RAA)の発効や日・フィリピン物品役務相互提供協定(ACSA)の国会承認、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の交渉開始合意などに言及。さらにはマレーシアとも首脳会談を行って海上保安機関の間の協力覚書に署名したことに触れた。
そして、日本は東シナ海、台湾海峡、南シナ海からマラッカ海峡に至るまで中国を牽制するための広大なネットワークを構築しようとしており、一部の国や地域から脅威とみなされている中国の海上民兵による違法漁業活動などの阻止を目指していると紹介した。
記事は一方で、中国側がこれらの動きに警戒し台湾周辺海域の活動を活発化させており、中国海警局の船艇が与那国島以南の日本のEEZ内を航行し、同海域で初めて管轄権を主張したことなどを伝えている。(編集・翻訳/川尻)
