8日、平壌に到着した習近平氏と金正恩氏(2026年6月9日付朝鮮中央通信)

写真拡大

北朝鮮が、米国による韓国向け兵器売却をめぐり、わずか1週間足らずの間に同種の対米批判談話を相次いで発表した。注目されるのは、韓国向け兵器供与への反発を入り口としながら、日本や台湾への米国の武器供与にも繰り返し言及している点だ。先週の習近平中国国家主席の訪朝を経て、北朝鮮が朝鮮半島を超えた「インド太平洋全体」を視野に入れた対米批判を強めているようにも見える。

北朝鮮国営の朝鮮中央通信によると、外務省対外政策室長は13日、米国が韓国への約3億ドル規模の最新型空対空ミサイルと関連装備の売却を承認したことについて、「国際社会の正当な憂慮にもかかわらず、朝鮮半島とその周辺地域での緊張状況を最悪へ追い込もうとしている」と非難した。

論評は、「韓国と日本、台湾に対する米国の大量の兵器提供は、朝鮮半島と台湾海峡をはじめアジア太平洋地域の軍事的緊張を引き起こす根源だ」と主張。「米国の兵器輸出はすなわち戦争輸出である」と批判した。

北朝鮮は今月7日にも、国防省装備総局の副総局長名義で同様の談話を発表していた。これは、韓国向けの合同精密直撃弾(JDAM)関連装備の売却承認を受けたもので、日本への巡航ミサイル「トマホーク」供与や台湾への高機動ロケット砲システム(HIMARS)などの売却にも触れていた。

一連の動きの背景として注目されるのが、8〜9日に行われた習近平国家主席の訪朝だ。

習氏は訪朝直前に朝鮮労働党機関紙・労働新聞へ寄稿し、「軍国主義復活を企図する勢力」に反対する姿勢を表明した。日本の安全保障政策を念頭に置いたものとの見方も出ていた。一方、中国にとって台湾問題は「核心的利益」であり、米国による台湾への武器供与は強い反発の対象となっている。

こうした中で、北朝鮮が習氏訪朝後に、日本や台湾を韓国と並べて名指しした対米批判を展開したことは、中朝両国の問題意識の接近を印象づける。

従来、北朝鮮は日本を「軍国主義復活」、韓国を「対決政策」、台湾問題については中国支持という形で、それぞれ別個のテーマとして扱う傾向があった。しかし今回の談話では、「米国による同盟国・友好勢力への兵器供与」という一つの枠組みの中に、日本、韓国、台湾が組み込まれている。

今回の連続談話は、単なる韓国向け兵器売却への反発ではなく、米国主導の安全保障協力の広がりに反発する中国への「シンパシー」を反映したものといえる。習近平訪朝を機に、北朝鮮は日中関係や台湾海峡情勢についても、自らの立場をいっそう強調するようになる可能性がある。注目されるのは、それが日本向けの兵器増強など、実際の軍事的取組にまで結びつくかどうかだ。