「これがスポーツカーの正解」って自動車好きも多数存在! 「ロングノーズ&ショートデッキ」が印象的なモデル5選

この記事をまとめると
■GR GTでロングノーズ&ショートデッキスタイルが再注目された
■大排気量エンジンが伸びやかさを生んだ
■時代を超えて愛される名車たちの共通した魅力となっている
GR GTが呼び覚ました王道スタイル
トヨタが発表するやいなや、一躍大きな話題を呼んだスーパースポーツ「GR GT」は、そのスペックもさることながら、ロングノーズ&ショートデッキの古典的なスポーツカースタイルの魅力を我々に再確認させてくれた。そこで今回は、古今東西のロングノーズ&ショートデッキが美しいクルマを集めてみた。
メルセデス・ベンツ SLS AMG
このクルマほど極端なロングノーズ&ショートデッキなクルマはちょっと心当たりがない。ガルウイングのドアを開けてシートに収まると、目の前にはノーズ先端がはるかに先にあることがうかがえる。
それはM159型という6.2リッターもの大排気量V8自然吸気エンジンが、前軸よりも後方のバルクヘッド寄りに搭載されているからだ。しかもドライサンプの採用により低い位置に搭載されているので、重心高も低く抑えられており、異様に長くて低いフロントを実現している。

さらに、トランスアクスル方式により、トランスミッションはリヤアクスル側に配置されており、頑丈なカーボンファイバー製のトルクチューブでつながれている。これにより前後重量配分はスポーツカーの黄金比といわれる、47:53というややリヤ寄りの理想的なバランスを実現しているのも特徴だ。
シボレー・コルベット(C3)
歴代コルベットのなかでも、ロングノーズ&ショートデッキといえば3代目の通称「C3コルベット」(1968〜1982年)がもっともわかりやすかった。コルベットといえば、このC3を想起する人はいまでも少なくないはずだ。

C3コルベットの場合、ノーズが長いだけではない。運転席から前を見ると、長く伸びたボンネットと、左右に大きく盛り上がったフェンダーの峰(エッジ)が視界に飛び込んできて、さらには、「コークボトルライン」と呼ばれる、上から見るとコカコーラの瓶のように前後のフェンダーが極端にふくらみ、中央のコクピット付近がグッとくびれていたのも特徴だ。
スティングレイと呼ばれたように、フロントが極端にロー&ワイドなスタイリングとされていたのも見てのとおり。そのエンジンルームには、最大で7.4リッターという大排気量のV8エンジンが収められていた。
時代や国籍を超えたひとつの理想系
日産フェアレディZ(S30)
ロングノーズ&ショートデッキといえば、日本車で真っ先に思い浮かぶのは、初代フェアレディZ(S30型)だ。筆者も乗ったことがあるが、まさにリヤタイヤがお尻の下にあって、ステアリングを切ると自分よりも前方だけが動くかのような感覚が印象的だった。

なかでもとくにロングノーズが際立っているのが、北米向けに輸出されていた2.4リッター直列6気筒のL24型エンジンを搭載した最上級グレードの「240ZG」だ。通称「Gノーズ」の装着により、標準のS30型よりも鼻先が前方に突き出ていて、ヘッドライトにはアクリル製のライトカバーが配されており、これらによる空力性能の向上も効いて最高速度は210km/hに達した。
歴代Zはどれもロングノーズ&ショートデッキだが、このS30型にかなうモデルはないのではないかと思う。
フェラーリ12チリンドリ
フェラーリの歴代FRフラッグシップ12気筒モデルにもロングノーズ&ショートデッキのものは数多い。そのなかから、ここでは最新の12チリンドリを選んでおこう。ロングノーズ&ショートデッキのプロポーションがもっとも極端に表現されているように思えるからだ。

ちなみに「12 Cilindri(ドーディッチ・チリンドリ)」というのは、イタリア語で「12気筒」を意味する。長いボンネットの下には、最高出力830馬力/9500rpmを発生する6.5リッターのV12自然吸気エンジンがフロントミッドシップに収められている。0-100km/h加速は2.9秒と速い。12チリンドリのフロントノーズとデザインには、往年のV12を搭載したFRフラッグシップである名車「365GTB4(通称:デイトナ)」へのオマージュが見て取れる。
また、近年のフェラーリは有機的な曲面主体のデザインが多かったところ、チリンドリは一線を画し、シャープで幾何学的なラインで構成されているのも特徴だ。
ジャガーEタイプ
「ロングノーズ&ショートデッキ」のプロポーションを極限まで美しく体現した、伝説的なスポーツカーがEタイプだ。1961年に発表された際、あまりの美しさに世界が驚嘆したという。某スーパーカーメーカーの創設者をして「世界でもっとも美しいクルマ」といわしめたという有名なエピソードもある。
Eタイプの象徴であるこの「ロングノーズ」のデザインには、美しさだけでなく以下のような理由や特徴がある。長いノーズには、初期の「シリーズ1」には3.8リッター、途中で4.2リッターへと排気量が拡大された直6エンジンが、さらに「シリーズ3」では、5.3リッターV12エンジンが収められていた。

デザインを担当したのは、ジャガーのCタイプやDタイプというレーシングカーを手がけた航空工学の専門家であるマルコム・セイヤーだ。彼は見た目の美しさはもとより、空気抵抗を減らすための計算を用いてこのボディを設計したという。その結果、グッと低いフロントノーズと美しく膨らんだフェンダーラインが融合する、唯一無二のシルエットが完成した。
Eタイプが確立した「ロングノーズ&ショートデッキ」の黄金比は、その後の世界中のスポーツカーに大きな影響を与えたといわれている。
