放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、数々の“芸人俳優”の活躍を掘り下げます

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 あらゆるエンタメに登場し、作品を盛り上げるのが芸人。特に俳優としての活躍は目覚ましいものがある。放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、数々の"芸人俳優"の活躍を掘り下げます。

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演技ができる理由は養成所で演技の術を叩き込まれるから

「すげえな(是枝裕和)監督!こんなにワシを違和感なく仕上げたか」とは、『箱の中の羊』が映画初主演となった「千鳥」の大悟さん(46才)です。

 同作は、『第79回カンヌ国際映画祭』のコンペティション部門に正式出品され、大悟さんが妻役の綾瀬はるかさん(41歳)をエスコートする様子や、いわく「ポップコーンを入れるところもない映画館」での上映後、約9分間のスタンディングオベーションが起きたことが話題です。大悟さんの演技は「作品に躍動感を与えた」「美しくて繊細」と現地でも高評価だったと聞きます。

 そんな大悟さんの俳優としての目標は「ない」そうですが、『男はつらいよ』シリーズの渥美清さん(享年68)が大好きとか。すでに大悟さんが絡んだ新作を企画している演出家や監督さんはいらっしゃるでしょうし、テレビCMはさらに増えることでしょう。

「いまの芸人はみんな演技ができるからな」とは、ドラマ『男女7人夏物語』(TBS系)以降、元祖・芸人俳優として多くの作品に主演してきた明石家さんまさん(70才)。

 さんまさんの後輩芸人さんたちが「みんな演技ができる」理由は、近年、「NSC」(吉本総合芸能学院)をはじめとする養成所では、俳優や演出家、演技経験のある先輩たちが講師となり、本読みから立ち居振る舞い、表現力など、演技の術をみっちり叩き込んでいるから。

 演技力というのは漫才にももちろん必要ですが、コントにはさらに欠かせないスキルゆえ、『キングオブコント』(TBS系)で好成績を収めた「東京03」「かもめんたる」「シソンヌ」「ハナコ」「空気階段」などのコンビやトリオには、すぐに芸人俳優への道が開き始めた印象です。

 いまや、NHKの朝ドラ(連続テレビ小説)や大河ドラマにも芸人俳優は欠かせない存在です。特に2025年放送の大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』には、重要な登場人物として、「ネプチューン」原田泰造さん(56才)や、ひょうろくさん(38才)が出演。ほかにも有吉弘行さん(51才)、「野性爆弾」くっきー!さん(50才)、「ピース」又吉直樹さん(45才)、「コロコロチキチキペッパーズ」ナダルさん(41才)、そして「サルゴリラ」や「クールポコ。」がコンビで出演して大きな話題となりました。

 2024年の大河ドラマ『光る君へ』でも、「ロバート」秋山竜次さん(47才)の怪演や、「はんにゃ.」金田哲さん(40才)の美しすぎる平安顔が作品を牽引したものです。その後、金田さんは、『光る〜』の脚本家・大石静さん(74才)作のドラマ『しあわせな結婚』(テレビ朝日系)にも出演し、「大石組」への加入を確実なものとしています。

「映画もお笑いも会話で成り立っている」の言葉に心から納得

 そんな「大石組」の芸人俳優の筆頭といえば原田泰造さんです。大石さんはいち早く原田さんを見出し、『オトナの男』(TBS系)や『コントレール〜罪と恋〜』(NHK)に、原田さんをイケメン枠で登場させています。

 プロデューサーの中にも、TBSの新井順子さんのように、『アンナチュラル』から始まって、『MIU404』、『着飾る恋には理由があって』、そして今期の『田鎖ブラザーズ』で、「ずん」飯尾和樹さん(57才)を起用しまくっているかたがいらっしゃいます。

 飯尾さんは現在、朝ドラ『風、薫る』にも出演していて忙しかったからか、『田鎖〜』ではすでに"退場"されていますが、それでも俳優・飯尾さんが必要だったのでしょうね。

 TBS系では代わりに(?)、相方・やすさん(56才)が、日曜劇場『GIFT』に出演中。飯尾さんがドラマ出演で忙しいとコンビのお仕事が成立しづらいので、やすさんのことが少々心配でしたが、厳しいお稽古を積み、山田裕貴さん(35才)や本田響矢さん(26才)、八村倫太郎さん(26才)らのチームメートとして車いすラグビーに奮闘しています。

 そして、『風、薫る』には原田泰造さんも出演。ヒロインの上坂樹里さん(20才)が自前の髪をバッサリ切る印象的なシーンを見守りました。5月16日、『土スタ』(NHK)に上坂さんが見上愛さん(25才)と出演した際には、VTRゲストでも原田さんが登場。上坂さんとは'23年の特集ドラマ『生理のおじさんとその娘』(同)で父娘共演をした間柄です。つまり原田さんは上坂さんにもっとも影響を与えた先輩俳優とも言えましょう。

 ほかにも今期ドラマは、『102回目のプロポーズ』(フジテレビ系)に「霜降り明星」せいやさん(33才)、『時すでにおスシ!?』(TBS系)に「ジャルジャル」後藤淳平さん(42才)、『ボーダーレス〜広域移動捜査隊〜』(テレビ朝日系)に、元「キングオブコメディ」今野浩喜さん(47才)、『刑事、ふりだしに戻る』(テレビ東京系)に「ラバーガール」大水洋介さん(43才)。『月夜航路 ─答えは名作の中に─』(日本テレビ系)には、近年ドラマに出ずっぱりの感があって、クセツヨでイヤな役を好演し続けている「ココリコ」田中直樹さん(55才)が出演。再放送でしたが、つい先日再度見た『事件は、その周りで起きている シリーズ3』(NHK)での「蛙亭」中野周平さん(35才)の名演技には笑いが止まりませんでした。

 個人的には、2011年に芸人活動を休止して翌年から俳優業に専念している夙川アトムさん(46才)の大ファン。7月期のドラマ『GTO』(フジテレビ系)に出演予定です。

「映画もお笑いも会話で成り立っている」という大悟さんの言葉に心から納得。芸人さんが大好物な私としては、今後も「芸人俳優」を追いかけるつもりです。

構成/山田美保子
『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『ドデスカ+』(メ〜テレ)、『1周回って知らない話』(日本テレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)に出演中。CM各賞の審査員も務める。

※女性セブン2026年6月11日号