トレード戦略も“二刀流”が左右するドジャースの「“大谷翔平”中心主義」…村上宗隆とホームラン王争いの“大砲”にも照準か
大谷を大事に……
5月27日(現地時間)、ドジャース・大谷翔平(31)が投打の二刀流で出場し、コロラド・ロッキーズの菅野智之(36)から9号アーチを放った。しかし、前日の同カードに、「1番・DH」で出場した大谷は、4回にまわってきた第3打席でデッドボールを食らい、途中交代している。翌日の出場が危ぶまれ、試合後はデーブ・ロバーツ監督(54)も厳しい表情を見せていた。現地記者がそのときの様子をこう説明する。
「ゲームセットのハイタッチの際にベンチを確認すると、大谷の姿が確認できませんでした。すでに球場を出ているとの情報もほぼ同時に入ってきて、記者団は慌ててロバーツ監督を追いかけたのです」
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報道各社の試合後インタビューは、ロバーツ監督のルーティンでもある。その日はいつも以上に監督室に記者団が集まっていた。その場で「大谷は試合途中で球場を後にした」ことが確認され、記者団がまず確認したのは“怪我の度合い”だった。

「おそらく手か、ガード部分に当たったと思う。小指にも少しかすったのかもしれない。でも、X線検査が必要な状態ではないらしいし、実際に撮ってもいない。だから手に関しては問題なくいけると思う」
ロバーツ監督は「重傷か」の問いを否定し、第4打席以降を打たせなかった理由も「大差がついていたからだ」と説明していた。
「翌27日は先発させるというので、重傷ではないというのは本当だなと思いました。しかし監督は、“彼(大谷)は明日先発する。でも、打者として出るかはまだ決めていない。明日どんな状態で来るか、体がどう感じているか確認したい。とくに投手起用する際は万全を期したい”とも語っていました」(同)
実際に27日は、投打両方のリアル二刀流で出場となったわけだが、前日の会見場にいた米メディア陣は「大谷は先発投手のみで出場」と受け止めたそうだ。ロッキーズの先発は菅野智之だった。菅野登板は「予想」として各メディアがすでに報じており、同じ侍ジャパンメンバー同士の対決ということで、大谷にも期するものがあっただろう。
だが、今季のドジャースが大谷に無理をさせない方針なのは明白で、昨季の投手復帰にあたってはショートイニングからスタートさせ、今季も登板日翌日に休養させるなどしてきた。27日にリアル二刀流した大谷を見て、米メディアが改めて思ったのは、「ドジャースは大谷のチームである」ということだ。
相次ぐ怪我
「26日の試合では、エンリケ・ヘルナンデス(34)も途中交代しています。この日は本塁打を含む2試合連続のマルチ安打と活躍しましたが、左脇腹を痛めて途中交代となりました」(前出・同)
キケことエンリケ・ヘルナンデスは怪我などで大きく出遅れ、「さあ、これから」というときだった。しかし、キケ自身が語ったところでは、前日の試合前の打撃練習中に痛めたもので「恥ずかしいから言えなかった」そうだ。但し、こんな情報も聞かれた。
「キケは『9番・三塁』で出場していました。大谷がデッドボールを食らう直前、二塁打を放っているんですが、走り方がちょっとおかしいというか……。でも、この時点では代走は送られませんでした」(米国人ライター)
「Dodgers Way」など、複数の現地メディアはアレックス・フリーランド(24)が代わって昇格するとも報じていたが、キケの怪我の具合については詳細を伝えていなかった。
ドジャースは今年も主力選手の故障が続出している。クローザーを予定して獲得したエドウィン・ディアス(32)も肘の手術でチームを離れることになり、昨年オフの米フリーエージェント市場でもっとも注目を集めたカイル・タッカー(29)もまだ打撃が本調子ではない。アメリカの野球ニュースではシーズン途中のトレード補強も伝えられていた。その一つ一つを追ってみると、背景に大谷の存在が浮かび上がる。
「今季低迷しているヒューストン・アストロズが、チーム改造を始めるとの見方がされており、24年まで4年連続30本塁打をマークしたヨルダン・アルバレス(28)の放出説が伝えられています。現在、ホワイトソックスの村上宗隆(26)と本塁打王争いをしていますが、問題は昨季、右手首を負傷しており、それが完治しているのかどうか」(前出・現地記者)
アルバレスをドジャースが獲得する可能性を報じたのは、米カリフォルニア州の日刊紙「California Post」。「強打者は何人いても困らない。もし獲得のチャンスが生じれば、ドジャースは少なくともアストロズと接触し、トレード成立のために必要なものを探るだろう」と伝えていた。
「必要なものを探る」という言葉には、深い意味が隠されていた。アルバレスは18歳の時にキューバから亡命してきたのだが、当時、獲得したのはドジャースだった。将来の大砲候補として大きな期待も寄せられたが、優勝争いのために先発投手を補強しなければならない状況に追い込まれ、その際、アストロズが指名したのが、トッププロスペクトだったアルバレスだった。のちにアストロズで本塁打量産に入ったアルバレスを見て、ドジャースは地団駄を踏んでいたそうだ。
「ホームランの量産が見込めるバッターを探しているのは、大谷が影響しています。大谷は菅野から今季9号アーチを放ちましたが、チーム56試合目での9本塁打は、過去5年間ではもっとも遅いものでした。投手専念で出る試合もあったためで、5月の打撃不振が影響しています。大谷のスローペースを補うため、アルバレスのトレード説が浮上しているのです」(前出・米国人ライター)
トレードについてドジャース側に目を向けてみると、「出してやるべきだ」と伝えられているのが、キム・ヘソン(27)だ。今回昇格してきたフリーランドはどこでも守れるユーティリティ・タイプで、キムと役どころが被る。ドジャースを応援する専門誌「Dodgers Way」はこう報じていた。
「我々のチームは数百万ドルもの年俸を稼ぐ選手を呼び戻す一方で、別の選手を何の躊躇もなくマイナーリーグに送り込むこともしている。ドジャースがキムを起用しないのなら、なぜ彼をトレードに出してやらないのか」
昇格したばかりのフリーランドは27日の試合で「9番・二塁」でスタメン出場し、キムは3回の守備から途中出場した。テオスカー・ヘルナンデス(33)が左足のハムストリングを痛めての途中交代であり、キムは今後もレギュラー選手に何か起きたときのスペア要員なのかもしれない。穿った見方ではあるが、キムは大谷と同じ代理人事務所と契約している。
ドジャースは大谷のチーム
「サイ・ヤング賞左腕のブレイク・スネル(33)はスロー調整を続け、5月9日にようやく今季初登板を果たしました。でも、3回5失点で負け投手となり、その後、肘の手術を受けることが発表されました」(前出・現地記者)
スネル復帰が迫っていた頃、佐々木朗希(24)のマイナー降格が囁かれていた。その理由は成績不振に尽きるが、「佐々木の降格はない」との意見も多く聞かれた。ドジャースは佐々木獲得の際、「サイ・ヤング賞投手に育てる」と言い切っていたからで故障ではない限り、実戦マウンドを経験させていくスタンスだとも伝えていた。
「今後、大谷がリアル二刀流で出場する試合も増えてきます。そうなると、投手・大谷は等間隔で投げられない時期も出て、やはり6人目の先発投手が必要となってきます。佐々木に成長してもらいたいと思うのはチームのためであり、大谷の起用法にも関わってくるからです」(前出・同)
大谷とは若手捕手のダルトン・ラッシング(25)が息の合ったところを見せている。しかし、捕手としてはレギュラーのウィル・スミス(31)には及ばない。外野手や代打で出場している試合もあるが、それはラッシングの打撃力を活かすためであり、大谷の登板日まで試合勘を失わせない目的も含まれているという。
ドジャースはやはり、大谷を中心にまわっているようである。
デイリー新潮編集部
