新導入!対局中の「心拍数」表示…160bpmは「事故直後」の衝撃!?“現役医学部生棋士”が語る将棋とスポーツの違い/将棋・ABEMA地域トーナメント2026

いよいよ5月30日に予選リーグ戦がスタートする『JEMTCスペシャルABEMA地域トーナメント2026』。超早指し特有の極限状態は、棋士の心拍数を160bpm超えの領域へと誘う。これは激しい有酸素運動を行うアスリートに匹敵する数値だが、その「身体への意味合い」や「疲労の種類」は全く別物だ。現役医学生の二刀流、獺ヶ口笑保人四段(26)が、将棋と身体的スポーツにおける驚きの境界線を解き明かす 。
トップ棋士の対局中には、マラソン(170〜180bpm)や水泳(140〜160bpm)といった激しい有酸素運動時と同等の、160bpmを超える数値が出ることがある。しかし、獺ヶ口四段は「対局時の心拍数上昇は『脳がストレスを検出した結果の交感神経と副交感神経の反応』であり、運動時の心拍数上昇は『筋肉へ酸素を送るための反応』もそこに加わります」と語り、疲労の種類や回復方法も異なると解説する。
「ちなみに私もよく対局中に心拍数を見積もることありますが、160回/分を越したのは、90%勝勢の局面から雲行きが怪しくなって、逆転負けしたときくらいだと思います」と獺ヶ口四段。「強烈な『危機』を脳が感じたのでしょうね」と自身の経験からユーモアを交えた回答となったが、対局中にも心拍数を見積もることがあるという事実にも驚きだ。
では、座ったままで心拍数が160bpmを超える状況とは、一般人の日常生活に例えるとどれほどの極限状態なのか。「試験本番や大事な面接、事故にあった直後などです」と獺ヶ口四段。「健康な人が頻繁に経験するものではないと思います」と、対局中の尋常ならざる身体の反応を表現した 。
それほど心臓が激しく動くなら、将棋の対局で消費されるエネルギー(カロリー)もスポーツ並みに大きいのだろうか。獺ヶ口四段は「カロリーを最も消費するのは筋肉ですので、スポーツには及びません」と明確に答えた。
その根拠として、獺ヶ口四段は海外の研究を提示する。「チェスの対局とランニングを比較した研究(Rodopluら、2022※)では、30分間のエネルギー消費はチェスが平均約157 kcal、ランニングが平均約283 kcalで、ランニングのほうが明確に大きいと報告されています」。
さらに「研究者らは『筋肉への負荷の違いから、チェスのエネルギー消費はランニングほど高くない』と述べています」と獺ヶ口四段は続ける。
「将棋が多くのカロリーを消費するのであれば、私は脂肪肝になっていないはずです」とここでも獺ヶ口節を炸裂 。心臓への極限の負荷と、肉体的なカロリー消費は全くの別物であることが、医学的な事実として示された。
◆JEMTCスペシャルABEMA地域トーナメント2026 超早指しの『ABEMAトーナメント』と『地域対抗戦』が融合した新シリーズ。全国を6つの地域ブロック(関東・関西は各2チーム)に分けた全8チームによって競う団体戦。各チームは8名の監督と、ドラフト会議で指名された棋士4名の計5名で構成され、総勢40名が地域の威信をかけて戦う。5月30日から予選がスタートし、勝ち上がったチームによる準決勝および決勝戦は8月に生中継で実施される。
(※)
References
Rodoplu, Coşkun & Arabaci, Ramiz & Gorgulu, Recep. (2022). The Comparison of Heart Rate Variability and Energy Expenditure of Chess Players between a Chess Game and Physical Activity. Baltic Journal of Sport and Health Sciences. 1. 40-48. 10.33607/bjshs.v1i124.1163.
(ABEMA/将棋チャンネルより)
