「頂点を極めるペアの法則がピタリ当てはまった」りくりゅうは“完璧な組み合わせ”と、マルコットコーチが思った理由とは?
“りくりゅう”ペアが金メダルを獲得したミラノ・コルティナ冬季五輪の舞台裏で、何が起きていたのか。スポーツライターの野口美惠氏が、関係者の証言をもとに“りくりゅう”ペアの秘話を深堀りした。
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「2人はお互いを補い合える」
結成からわずか3か月後のNHK杯で5位。22年の北京五輪では、結成3年目で団体戦の銀メダルに貢献し、個人戦でも7位と、日本ペアの最高位を更新した。さらに五輪の翌年の世界選手権では金メダルを獲得するまでに成長していった。

“りくりゅう”ペアは結成早々に頭角を現した(写真は2022年の北京五輪) ©JMPA
「2人はお互いを補い合える、完璧な組み合わせでした。ペアの歴史を見ると、女性が輝き、男性が岩のように堅実であることが重要です。龍一はプロ意識が高く、時計のように狂いなく完璧に物事をこなし、璃来は恐れを知らない強さがあり、氷の上で太陽のように輝く。過去に頂点を極めたペアが持っている法則が、ピタリと当てはまっていました。北京五輪の団体戦でメダルがかかる大舞台を経験し、トップのメンタルコントロールを経験したことも大きい。大舞台で重要なのは、自分たちだけに集中し、本番は楽しみ、すべての機会に感謝すること。そして順位よりも自己ベストを目標にするメンタルで、安定した成績を出し、地位を確立していったのです」(コーチのブルーノ・マルコット)
一方、(日本スケート連盟フィギュア強化部長の)竹内が「本当に嬉しかった」と振り返る北京の団体戦メダルは、次の五輪に向けた強化戦略に大きな影響を与えた。
「ミラノ・コルティナ五輪では、団体と個人戦の二つでメダルを狙いに行ける。強化部としては、疲労回復やピーキングを、どうやってサポートするかが重要だと考えました」
ソルトレークシティ五輪の「苦い経験」
五輪で選手が必要とするものは何か――。竹内には苦い経験がある。選手として02年のソルトレークシティ五輪に出場した時のことだ。
「初めての環境、初めての空気感、すべてがいつもと違う。とにかく試合に集中できなかった、悔しい思い出です。僕たち強化部の仕事は、試合当日から逆算して、いかに選手がストレスなくコンディションを高め、試合を迎えられるかを考えて環境を整えること。それに尽きます」
手始めは日本独自の練習場所の確保だった。五輪期間中は、メインリンクの隣にあるサブリンクで1日1時間弱の練習が割り当てられるが、時間が短いうえ、他国やメディアに公開され緊張感が抜けない。竹内は22年の12月にはイタリアとの交渉を始めた。そして24年2月に契約に漕ぎつけたのが、ミラノから車で1時間の好立地にあるバレーゼのリンクだった。同様に期間中、独自にリンクを借り切ったのは、アメリカと開催国のイタリアのみ。団体戦で表彰台に上った3か国だった。
24年夏にはバレーゼで強化合宿を行った。現地シミュレーションが最大の目的だった。
※“りくりゅう”ペアが持つ最高のパフォーマンスを引き出すために、舞台裏では何が動いていたのか?この続きで詳しく語られています。
約9200字の全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2026年6月号に掲載されています(野口美惠「りくりゅう『奇跡の金』の軌跡」)。
(野口 美惠/文藝春秋 2026年6月号)
