世界自然遺産の竜虎山で進むトキの野生復帰 中国江西省

【新華社南昌5月21日】初夏の早朝、中国江西省鷹潭市に位置する竜虎山の湿地に広がる松林で、白い羽毛に覆われたトキのひなが黒い小さなくちばしを開け、親鳥から餌をもらっていた。
竜虎山は堆積岩が隆起した地形と深い歴史が融合した景勝地で「中国丹霞」として世界自然遺産に登録されている。

江西省トキ個体群再建基地の責任者、肖天祥(しょう・てんしょう)氏によると、ひなは生後10日余り。同山で初めて野外ふ化に成功したトキで、野生復帰プロジェクトの新たな成果だという。
トキは1981年に陝西省で野生の7羽が発見され、40年以上にわたる保護活動を経て世界全体の個体数が1万羽を超えた。

かつて多くのトキが生息していた竜虎山では2023年7月、トキ個体群再建プロジェクトが始まった。
個体群再建の鍵は野生化訓練にある。竜虎山風景区は600万元(1元=約23円)余りを投じ、120ムー(8ヘクタール)以上の土地を研究基地建設に充て、周辺の100ムー(約6.7ヘクタール)近い農地と2キロメートルを超える渓流の生態系を修復した。

23年12月に最初の8羽が野生化訓練用ケージに移され、1年後さらに10羽が加わった。25年6月には同施設で初の人工繁殖が成功し、3羽が誕生。11月に入ると12羽を対象に、人工給餌を続けながら徐々に野外環境に適応させる「ソフトリリース」の実施を決定した。12羽のうち8羽が設定区域内で安定的に活動しており、区域外への移動や死亡は発生していない。

トキは生息環境に対する要求が極めて高い。竜虎山風景区では林地の管理制度にトキの保護を組み込み、化学肥料や農薬の使用禁止区域を指定するとともに、野生動物による被害を補償している。
世界遺産の地にトキが戻り、新たな命を育んでいることは、中国の生態系修復と種の保護の成果を鮮やかに示している。(記者/袁慧晶、郭思縁)





