Daiichi-TV(静岡第一テレビ)

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東日本大震災での福島第一原発の事故を受け、「浜岡原発」が停止してから15年。中部電力は再稼働を目指して安全対策を進めてきましたが、その中で発覚したのが、想定される地震を小さく見積もったデータ不正問題です。信頼性を根底から揺るがす不正はなぜ起きたのでしょうか。今回、元社員の男性からその背景や組織の実態を聞くことができました。

4月、取材班が訪ねたのは…。

(記者)
「静岡第一テレビの西尾と申します。よろしくお願いします」

中部電力の元社員の男性です。

(中部電力の元社員)
「私が浜岡原発で勤めていた時のいろいろな資料ですけどね。私が浜岡に来たのが1973年ですね。それから3、4年たってからの写真だと思います」

30年以上にわたり浜岡原発で働いたという男性。データ不正問題については「事前に知らなかった」として中部電力への憤りを口にします。

(中部電力の元社員)
「世間の信用や信頼は第一なので、みんなそういうことを心掛けて仕事をしてきたはずなのに、なぜこんな間違いをしてしまったのか。有り体に言えばインチキですよね。インチキをしてまで事業を進めるなんて、そんな会社では決してないはずなのに、こんなことになってしまったということ。ある意味、日々何となく気持ちが重いですね」

御前崎市にある中部電力・浜岡原子力発電所。

2011年、福島第一原発の事故を受け、政府は浜岡原発の運転停止を要請しました。

それを受け、中部電力は(2011年)5月14日に浜岡原発の全ての原子炉を停止させたのです。

しかし、ここ数年は物価上昇やエネルギー供給への不安から地元からも早期の再稼働を求める声が高まるように…。それに向け“最大のヤマ場”といわれた「地震」と「津波」の審査をクリアし、いよいよ再稼働が近づいたと思われましたが…。

(中部電力 林 欣 吾 社長)
「心より深くおわび申し上げます。本当に申し訳ありませんでした」

なんと、審査の根底となる原発で想定される「地震」、“基準地震動”のデータを意図的に過小評価した疑いが発覚したのです。中部電力は「不正には原子力部門の社員数人が関与した」と説明しています。

今回、話を聞いた元社員の男性が浜岡原発で働き始めたのは、1号機の運転開始前の1973年ごろ。当時、1号機の運転開始に向けた準備に携わったといいます。

そして、2005年に退職するまで30年以上にわたって主に作業員の放射線量を管理する業務を任されていました。男性は、その頃から専門性が高いが故に原子力部門の“閉鎖的な風土”を感じたことがあったそうです。

(中部電力の元社員)
「閉鎖的というのは、別の言い方をすれば仲間意識が強いというか、独立性が強いというかですね。そういった部署だと思っていたが。専門性の高い中部電力の中では全体職員の中では少数グループで、その代わり仲間意識が強くて結束力が高くてですね」

中部電力は2026年3月、原子力規制委員会に報告書を提出。それによると、耐震設計の基準となる「地震の揺れ」を策定する際、225件のうち少なくとも100件以上のデータを不正に操作していたというのです。不正行為は「遅くとも2012年以降には行われていた」と説明しています。

元社員の男性は、不正が行われた背景について「地震の審査が難航する中原子力部門に“焦り”があったのでは」と話します。

(中部電力の元社員)
「全国の原子力発電所が次々と動いていく中で、浜岡はなかなか動かないということでですね。10年以上なかなか安全審査が進まない。なかなか決まらない。いろいろなストレス、圧力があったのかなと。そういう中で相談しにくかった。そういう部分が大きいのかなと思いますね」
Q.そういう話を中電内部から聞いたことはありますか?
「ありますね」

さらに、データの計算方法については、2018年以降、原子力部門の内部で問題視する指摘が複数回ありましたが、改められなかったといいます。

(中部電力の元社員)
「あれが浜岡原発ですね。一番左側が5号機ですね。4号機、3号機とつながっていますね」

原発で働いていた時は「安全を第一」に業務にかかわってきたと話す男性。それだけに、不正行為を止められなかった組織の体質に怒りをにじませます。

(中部電力の元社員)
「原子力土建部の中で意見が出たにもかかわらず、きちんと処理されずに表に出ずに、その中で消えてしまった、無視されてしまった。非常に組織として“閉鎖性”というか悪い部分が出てしまったなと思って。私はインチキだと思うし…まさに不正行為だと思いますね」

会見では、「組織の解体的な再構築に取り組む」と繰り返している中部電力の林社長。元社員の男性は、「1年や2年では信頼は回復できない」と指摘します。

(中部電力の元社員)
「失った信頼を急に取り戻すことは全く不可能なので、ある程度、長い時間をかけて丁寧にしっかり説明していく。日々の行為、その積み重ね以外ないのではないかと思いますね」

原発の安全性や信頼性を根底から揺るがしたデータ不正問題。再稼働に向けた手続きが事実上「白紙」に戻る中、地域の信頼回復への道筋は見えていません。