イラン「魔改造」ドローン空母の”大破写真”に金正恩は何を学べるか?
マクランは、もともと巨大タンカーを魔改造した“海上前進基地艦”である。全長は230メートル超。ヘリコプター、無人機、高速艇を搭載できるイラン海軍最大級の艦艇であり、近年は“ドローン空母”とも呼ばれてきた。
しかし、その「魔改造空母」は、皮肉にも現代戦の残酷さを象徴する存在にもなった。
公開された画像で目を引くのは、艦体中央部に穿たれた巨大な穴だ。艦全体を吹き飛ばす無差別爆撃ではなく、重要区画だけを正確に破壊したようにも見える。韓国の軍関係者が話す。
「現代の米軍は、衛星監視や電波情報収集(SIGINT)、ドローン偵察、AI支援分析を統合した『システムとしての戦争』を行います。つまり、相手がどれほど巨大な艦を作ろうと、その位置、構造、弱点を常時“透視”し続けることが可能だということです」
そして、この光景を最も真剣に見ている人物の一人が、北朝鮮の金正恩総書記かもしれない。なぜなら北朝鮮もまた、イランと酷似した道を歩み始めているからだ。
北朝鮮は近年、5000トン級の新型駆逐艦「崔賢」級を公開し、同級以上の艦艇を十数隻も建造する計画を示している。さらには“原子力潜水艦”建造まで誇示し始めた。虎の子の核兵器に加え、象徴的大型艦を揃えて威容を示そうとしているのだ。
(参考記事:【写真】「ひっくり返るしかない」金正恩”戦略原潜”の異形の姿)
だが、そこにはイランと同じ危うさが潜む。
北朝鮮はこれまで、軍事施設の地下化や移動式発射台のトンネル隠蔽、偽装網によって“見つからない軍隊”を目指してきた。
ところが現在は逆に、「見える軍事力」を急速に増やしているのである。それらは国内向け宣伝には極めて有効だ。「我が国にも強力な艦隊がある」。金正恩氏にとって、それは父・金正日総書記が持てなかった“見える大国性”でもある。
しかし、米軍並みの防空能力を持てない以上、ISR(情報・監視・偵察)が支配する現代戦では、大きく、目立ち、固定化された軍事資産ほど危険な標的になってしまう。金正恩氏はイランのドローン空母の成れの果てを眺めながら、どんなことを思っているのだろうか。
