SNSの怖さを疑似体験できる無料ゲーム、授業に導入の動き…災害時のデマ・投資詐欺・性的脅迫
災害時のデマ拡散や詐欺、性的脅迫といったSNSに潜むリスクを疑似体験できる無料ゲームが相次いでインターネットで公開されている。
SNS利用の低年齢化が進む中、子どもが被害に遭うリスクは高まっており、学校の授業に導入する動きもある。(浜田萌、浦上華穂)
慶大生ら制作
架空の町に台風が直撃し、SNS上には水没した町の画像や「助けてください。住所は……」といった救助要請が投稿、拡散されている。果たしてこの情報を信じていいのか――。
これは、総務省が2月にインターネットに公開したゲーム「リテプロ」の一場面だ。

プレーヤーは、水没した町の画像が実際に起きた被害かどうかを調べたり、救助要請が本物かどうかをアカウントの過去の投稿や特徴から探ったりしながら、SNSで発信された情報の真偽について確認する方法を学ぶことができる。
ゲームは、〈1〉災害時の「偽・誤情報」〈2〉著名人になりすまして金銭をだまし取る「SNS型投資・ロマンス詐欺」〈3〉SNSで知り合った相手に性的な画像を送らせ、金銭を脅し取る「セクストーション」――の3種類ある。SNS型投資詐欺やロマンス詐欺は近年、中高年を中心に被害が拡大。セクストーションは若い男性が狙われ、小中学生も被害に遭っている。
ゲームの主な対象は高校生以上だが、一部に「簡単モード」を設け、中学生や小学校高学年でも使える仕様となっている。ゲームを制作した教育ベンチャー(新興企業)「クラスルームアドベンチャー」(東京)代表の今井善太郎さん(24)=慶応大4年=は「座学だけではSNSのリスクは伝わりにくい。ゲームで体験しながら、自分事として学んでもらえれば」と話す。
漏えいリスク
NTTドコモ(東京都)が3月に公開したインフルエンサー育成ゲーム「ばくモレ」は、SNS投稿時の個人情報漏えいのリスクを疑似体験できる。
街中での自撮りなど3枚の撮影画像の中から、投稿しても安全な1枚を選ぶ。間違った画像を選択すると、背景にうつる電柱やビル、瞳に映り込んだ風景や文字から住所や生活パターンが特定されてストーカー被害に遭い、写真にうつった指から指紋が解析されて犯罪に悪用されるなどして、ゲームオーバーとなる。
ゲームは、同社の特設サイトから無料で利用でき、中学・高校向けの授業用教材も公開している。
東京都渋谷区立代々木中学校では3月、「ばくモレ」を使い、SNS投稿の危険性を学ぶ特別授業を実施した。生徒からは「指紋が取られるなんて知らなかった」「個人情報が漏れるリスクがないか、内容をよく確認してから投稿したい」などの感想が寄せられたという。
NTTドコモの担当者は「ゲームで取り上げた被害は全て実例を参考にしている。ゲームで学んだ投稿時の注意点に気を付けながら、SNSを利用してもらいたい」と話している。
子ども被害、高止まり
SNSを通じ、子どもが犯罪被害に遭ったり、加害者として巻き込まれたりするケースは後を絶たない。
警察庁によると、SNSをきっかけに性被害にあった18歳未満の子どもは、2025年に1566人に上り、前年比80人増となった。19年の2082人をピークに減少傾向にあるものの、約1500〜1800人で高止まりしている。
SNSで離合集散する「匿名・流動型犯罪グループ(匿流)」によるものとみられる犯罪に、少年が加担させられるケースも相次いでいる。警察庁によると、知人からの紹介のほか、SNSでの募集を見て参加する少年も少なくない。
クラスルームアドベンチャーでは、SNSで闇バイトに勧誘される手口や対策を学べるゲーム教材「レイの失踪」を学校や自治体向けに販売している。出前授業も行っている。24年12月の販売開始以来、150校超に導入されているという。
