AIデータセンター建設に地域住民は反対。でもなぜか労働組合は賛成。何が起こっているの?
AI社会において欠かせないデータセンター。でも、データセンターの建設をめぐっては、各地で反対の声も上がっています。
それは地域のインフラや暮らしに、少なからず影響を与える可能性があるから。電力、水、騒音などをめぐって、すでに各地で住民の反発が起きています。
では、こうした施設に対して、労働組合はどんな立場を取っているのでしょうか。
巨大テック企業に立ち向かい、労働者や地域の側に立つイメージがある労働組合ですが、米国では少し意外な動きが起きています。
FuturismがAP通信の報道をもとに伝えたところによると、建設系の労働組合が、AIデータセンター建設を後押しする側に回っているというのです。理由はシンプル。データセンターは、建設中にたくさんの仕事を生むからです。
そもそもAIデータセンター建設ってなんで反対されるの?
AIデータセンターへの反対は、単なる「AIが嫌い」という話ではありません。
まず大きいのが電力課題。データセンターは大量のサーバーと冷却設備を24時間動かすため、多くの電気を使います。国際エネルギー機関(IEA)によると、世界のデータセンターの電力消費量は2024年時点で約415TWh。世界全体の電力消費の約1.5%にあたります。しかも、この消費量は2017年以降、年約12%ペースで増えています。
次に水。サーバーは熱を出すため、冷却が必要になります。冷却方式によって差はありますが、大型データセンターでは大量の水を使うケースがあります。米国の環境・エネルギー研究機関EESIは、大規模データセンターでは1日最大500万ガロンの水を消費する場合があり、これは人口1万〜5万人規模の町の水使用量に相当すると説明しています。
さらに騒音もあります。データセンターは外から見ると大きな倉庫のようですが、実際には冷却ファン、空調設備、変電設備、非常用発電機などが動きます。EESIは、米国の地域社会でデータセンターの騒音が問題視されるケースが増えていると指摘しています。
データセンターができれば、少なからず住民の生活に影響が出る可能性があるのです。
完成後の仕事は少なくても建設中の仕事はたくさんある
それにデータセンターは、完成したあとに大量の正社員を雇う施設ではありません。サーバーが並び、冷却設備が動き、少数の人員で管理される。地域に長く残る雇用という意味では、期待しすぎないほうがよさそうです。
でも、建てるときは別です。
土地を整え、建物をつくり、電気を通し、冷却設備を入れます。そこには多くの建設労働者が必要になります。つまり、建設系の労働組合にとって、AIデータセンターは大きな仕事のかたまりなんです。
ペンシルベニア建設労働組合評議会のロブ・ベア会長はAP通信に対し、「データセンターは大量の建設雇用を生み出す」と語っています。
地域にとっては負担でも、建設労働者にとっては仕事になるというねじれが生まれてしまっているんです。
AIインフラの拡大は誰の利益を優先するのか
もちろん、働く場所が生まれること自体は悪いことではありません。仕事は必要です。地域で暮らす人にとっても、建設業に携わる人にとっても、雇用は切実です。ただ、データセンター建設においては、その仕事が一時的なんです。
建設が終わったあとに残るのは、巨大な施設と、電力や水への負担。地域住民が不安に思うのは当然でしょう。
AIを動かすためのインフラは、これからますます増えていきます。そして、その現実を支えるために、誰かが土地を差し出し、誰かが負担を引き受けているという側面を忘れてはならないし、解決策を出していく必要があります。
宇宙にAIデータセンターを置くという構想もありますが、そういうSFチックなアイデアが出てくるという時点で、データセンターが地上のインフラを圧迫し始めているということなのだと考えさせられます。
Source: Furturism, AP通信, IEA, EESI (1, 2)

