「ベニハナ」創業者ロッキー青木の妻・青木恵子氏インタビュー(第3回)世界的DJスティーヴ・アオキ氏に才能を感じた駆け出し時代
スティーヴ・アオキ氏と言えば、今や泣く子も黙る世界のトップDJであり、音楽プロデューサーだ。その父で、鉄板焼きチェーンを全米展開した「ベニハナ(BENIHANA)」の創業者・故ロッキー青木(本名・青木廣彰)氏の妻・青木恵子氏が内外タイムスのインタビューに応じた。
3回連載の最終回は、義理の息子にあたるスティーヴ・アオキ氏が駆け出し時代のエピソード、音楽的な才能を感じた思い出などを存分に語った。
「ベニハナ」創業者ロッキー青木の元妻・青木恵子氏インタビュー(第2回)「ハズバンドとしては10段階の2くらい」から続く
朝5時まで働いて50ドル
「ロッキーさんのお父さんは有名なミュージシャンだったんです。タップダンススクールやジャズ喫茶、レストランなどが当たって、ミュージシャンでありながらビジネスパーソンとしても成功した人なんです。だからスティーヴはおじいさんの血を引いたんじゃないかと思うんです。ロッキーさんは音楽は全然ダメでした」
今だからこそ若き日のスティーヴ氏を笑って振り返るが、DJとしての駆け出し時代には、将来、世界を股にかけて活躍するとは思えないようなエピソードが残る。
「ロッキーさんが“ヘイ、スティーヴ、What are you doing?”と聞いたら、DJと答えたんですけど、その当時DJなんてポピュラーじゃないし、レコードをミキシングすると言われてもよく分からない。夕方に家を出ていって朝の5時頃に帰ってくるんですけど、ロッキーさんがいくらもらえるんだって聞いたら、50ドルだって。彼は今、5万ドルでも来ないのに、当時50ドルだったんですよ」
50ドルとは円安が進む現在でも1万円に届かない。引く手あまたの人気DJにもやはり下積み時代はあったのだ。全米で「ベニハナ」をチェーン展開し、莫大(ばくだい)な富を築いたロッキー氏は息子を案じながらも反対はしなかったという。
「自分の息子が朝から晩まで働いて50ドルと聞き、納得いかないような感じだったんですけど、頑張れと言ってました。今は5万ドルでも来てくれない人になったので、天国で喜んでるんじゃないですかね」
スティーヴ・アオキ氏について語る青木恵子氏(撮影・内外タイムス) 部屋の壁一面にCDがズラリ
ただ、恵子氏にとって、スティーヴ氏の将来の活躍を予感させる、忘れられない光景がある。当時スティーヴ氏が住んでいた、ロサンゼルスの小さなアパートを初めて訪れた時のことだ。
「壁一面にCDが並んでました。これ、全部聞くのかな、すごいなと思いました。ロッキーさんは音楽を聞くのは好きだったんで、スティーヴに“ロッキーさんの誕生日プレゼントをあげて”と言ったら、タブレットに5万曲も入ってたんです。5万曲なんて聞けないからもっと少なくしてあげたらどう?と言うと、5000曲になってきました。それでも5000曲ですよ。彼の頭の中に入っているミュージックの数は膨大なんじゃないですか。それこそ才能だと思います」
スティーヴ・アオキ氏のエピソードを明かす青木恵子氏(撮影・内外タイムス) 音楽に囲まれて生活し、音楽とともに成長したスティーヴ氏は、今や音楽界で知らない人はいない世界的スターとなった。恵子氏が話す通り、天国のロッキー氏も喜んでいるに違いない。恵子氏はロッキー氏の形見の腕時計をスティーヴ氏にプレゼントしたという。
「彼は今、ラスベガスに住んでいます。結婚して子どももできて、その子どもにロッキーって名付けたんですよ。私がロッキーさんのために建てたお墓があるんですけれど、日本に来るたびにいつもお参りに行ってるみたいです」
「もっと日本から世界に出て行っていただきたい」
ロッキー氏、スティーヴ氏だけでなく、自らもアメリカで事業を成功させた恵子氏。3者に共通するのは失敗を恐れないチャレンジ精神ではないか。今後について聞くと次のように答えた。
「新しいことにチャレンジしたいし、もっと日本から世界に出て行っていただきたいと思うんです。私はニューヨークにいるおかげでたくさんの失敗を見ているので、どうして失敗するのか分かっているのですけど、また失敗するんです。だから私の今までの経験を日本の方に教えてあげて、そして日本の企業がもっと世界に出ていくきっかけになればうれしいかなと思います」
自らの経験を伝えたいと語る青木恵子氏(撮影・内外タイムス) 《プロフィール》
青木恵子(あおき・けいこ)ニューヨーク在住。ハワイ大留学後、結婚を機に移住し、ハーバードビジネススクールのオーナーマネジメントプログラムを日本人女性として初めて修了。ワンダーブラの日本での成功をけん引し、レストラン「BENIHANA」創設者のロッキー青木氏と再婚後、CEOとして事業拡大。オンラインサロン「ニューヨークフォーラム」を運営。
