『爆弾』や『九条の大罪』も...呂布カルマがはやりの作品で「妙に引っかかること」

『週刊プレイボーイ』でコラム「呂布カルマのフリースタイル人生論」を連載している呂布カルマ
ラッパーとしてはもとより、グラビアディガー、テレビのコメンテーターなど、多岐にわたって異彩を放っている呂布(りょふ)カルマ。『週刊プレイボーイ』の連載コラム「呂布カルマのフリースタイル人生論」では『映像演出』について語った。
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★今週のひと言「はやりの映画や配信ドラマに俺は言いたいことがある!」
若い頃は気にならなかったのに、自分が年を取ったからか妙に引っかかることがある。
最近それを立て続けに感じたのが、暗すぎる警察署の取調室だ。
映画『爆弾』はご覧になられたであろうか?
去年ヒットした作品であり、最近Netflixでも配信が開始されたので、このタイミングで見た人も多いのではないだろうか。
俺も最近見た。おっと、ネタバレは含まないので、これから見る人も安心してよ。
作品自体は大変良くできたクライムサスペンスで、出演する佐藤二朗をはじめとする俳優たちの芝居もケレン味たっぷりで楽しめた。......のだが、ある演出がやたらと気になった。
作品冒頭、謎の中年男スズキタゴサクの取り調べ風景がやたらと暗すぎるのだ。作品全体が暗いというわけでもない。なぜか取調室と警察署内が異様に暗い。
室内灯は極端に光量が絞られており、高い窓からかすかに入る光のみ。
薄暗い部屋で刑事と被疑者が向かい合い、部屋の隅の闇の中で別の刑事が調書を取っている。色温度が低く、青みが強くてやたらと寒々しい印象だ。
なぜか、と書いたが、なぜなのかはわかる。不穏な空気感を演出せんとしてのことだろう。だけど、あまりにも不自然ではないか。そんなわけがないじゃんだって。
個人宅やBAR、悪役の根城など、そういう場面が薄暗く、部屋全体がどうなっているのかわからない、みたいなのはわかる。だけどさ、警察署なんかの公的機関が、ましてまだ被疑者の状態の取り調べがあんな薄暗い中で行なわれているわけがないだろう。電気をつけろ!
不穏さの演出を画面の暗さに頼るのをやめろ! 物語冒頭からその調子だったので、かなり興ざめしてしまった。その後のストーリーはお世辞抜きでちゃんと面白かっただけにもったいない。俺の機嫌が悪かったら冒頭で見るのをやめていたかもしれない。
しかし、この画面作りには見覚えがある。デビッド・フィンチャーの映画『セブン』以降、同作のパロディやらインスパイア系やらでイヤというほど見てきた。
そもそも『セブン』が起源かどうかも知らないが、俺の世代的に『セブン』の衝撃は大きかった。実際『爆弾』でも要所にその影響は見て取れる。俺はそれで学生の頃ぶりに『セブン』を見直したのだが、やはり暗い。電気をつけろよ! 今はそう思う。そのスイッチが入ってしまっているから。
でも、当時はそう思っただろうか!? そんなやぼなツッコミは入れていなかったはずだ。花粉症のようなもんで、暗すぎる画面作りの許容量を超えてしまったのかもしれない。
この後、これまた話題のドラマ『九条の大罪』も配信スタート。もともと原作のファンである俺はすぐに見たのだが......やはり暗い。取調室も面会室も、とにかく暗い。電気はともっているのに、蓄光素材のように周りがぼんやりと光っているだけで、室内まで光が届いていない。どーゆーライトを使ってんだよ。
もはや演出を超えて取調室は薄暗いもの、というお約束でもあるのか?
今までそんなことを気にもしなかった読者諸兄も、今後映像作品内での取り調べシーンの光量に注目してみてほしい。ほとんどの作品が思考停止状態で、不自然なほどに薄暗い演出を行なっているはずだ。
ちなみに当たり前だが、本物の取調室は真っ白な蛍光灯が煌々と照っている。なぜ俺がそれを知るのかは、語るまい。
撮影/田中智久
