アメリカ企業SpaceX(スペースX)は2026年5月12日付で、同社が開発中の新型ロケット「Starship(スターシップ)」による第12回飛行試験に向けて準備を進めていると発表しました。


直近のStarship打ち上げ目標日時は、日本時間2026年5月21日7時30分(アメリカ中部夏時間2026年5月20日17時30分)です。


※打ち上げ予定日の変更にともない記事タイトルと本文を更新しました。【2026年5月18日15時45分】


【▲ SpaceXが打ち上げに向けて準備を進める第3世代の「Starship(スターシップ)」(Credit: SpaceX)】

Starshipとは?

Starshipは1段目の大型ロケット「Super Heavy(スーパーヘビー)」と、2段目の大型宇宙船「Starship」からなる全長124mの再使用型ロケットで、打ち上げシステムとしてもStarshipの名称で呼ばれています。


SpaceXによると、今回の第12回飛行試験では、アップグレードされた第3世代のStarshipおよびSuper Heavyと、新型エンジン「Raptor 3(ラプター3)」が初めて使用されます。


Starship宇宙船は衛星放出テストや帰還時を模した操作を予定

2段目のStarship宇宙船は推進システムが全面的に再設計され、他のStarshipとのドッキングを見据えたドッキングドローグ(ポート)や推進剤移送用の接続部などが追加されました。今回の試験では、過去最多となる22基の「Starlink(スターリンク)」衛星シミュレーターの放出テストや、宇宙空間でのRaptorエンジンの再点火テストが計画されています。


また、意図的に耐熱タイルを1枚外したり、剥落を模して一部のタイルを白く塗装したりするといった、実際の大気圏再突入時に直面し得る状況がセッティングされています。前述のペイロードシミュレーターのうち、最後に放出する2基を使用して耐熱タイルの画像を取得することで、将来の再使用に向けた耐久性の検証も行われます。降下の最終段階では、帰還時の軌道を模倣したバンク操作(機体を傾ける操作)も実施される予定です。


【▲ 打ち上げリハーサル中の第3世代「Starship(スターシップ)」(Credit: SpaceX)】

Super Heavyブースターはメキシコ湾へ着水予定

1段目のSuper Heavyブースターも大幅な改良が施されています。大気圏内での姿勢制御に用いるグリッドフィンは4枚から3枚に削減された一方で、サイズは50%大型化されました。


また、Starship宇宙船との接続部分にあたるインターステージ(段間部)は、一体型のホットステージ機構に変更されました。グリッドフィンの位置は下方(エンジンがある方向)へ移り、ハードウェアが燃料タンク内に収められたことで、分離直前に点火されるStarship宇宙船のエンジンの熱から機体を保護する能力が向上しています。


なお、今回飛行するSuper Heavyは大幅な設計変更が加えられた第3世代の初飛行となるため、発射台のアームによるブースターのキャッチ(空中回収)は試みられません。ブースターの主目的は打ち上げと分離を成功させることであり、分離後はメキシコ湾への着水が行われます。


【▲ 打ち上げリハーサル中の第3世代「Starship(スターシップ)」(Credit: SpaceX)】

新設された「第2発射台」からの初打ち上げ

今回の第12回飛行試験は、アメリカ・テキサス州にある同社施設「Starbase(スターベース)」に新設された第2発射台(Pad 2)から行われる初の打ち上げとなります。SpaceXによると、第2発射台では推進剤貯蔵設備のタンク容量が増え、ポンプが増設されたことで、機体への推進剤充填がこれまでよりも大幅に高速化されています。


また、発射台のタワーに備わっている「チョップスティック(箸)」と呼ばれる機体の移動・回収用アームは長さが短縮され、ハードウェアが改良されており、将来の回収作業に向けた応答性と信頼性が向上したと述べています。


推力が向上した新型エンジン「Raptor 3」

搭載される新世代エンジン「Raptor 3」は、センサーやコントローラーの内部統合によりエンジンごとの保護カバー(シュラウド)が不要になりました。これによりエンジン1基あたり約1トンもの大幅な軽量化を実現しつつも推力が向上しており、海面推力版で250トン(約2450kN)、真空推力版で275トン(約2700kN)を発揮します。


【▲ 第3世代「Starship(スターシップ)」で使用される「Raptor 3(ラプター3)」エンジン(Credit: SpaceX)】

第3世代への移行と新しい発射台の稼働により、Starshipの完全かつ迅速な再使用に向けた開発は新たなフェーズに入ります。機体と地上設備の新システムが実際の飛行環境でどのように機能するのか、今回の試験結果に引き続き注目が集まります。


 


文/ソラノサキ 編集/sorae編集部


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