これが人間のやることか…メタ社8000人「大量リストラ」のウラで進む「クリックの動きひとつまで監視」の異常な実態

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世相を映し出す鏡「フェイスブック」の提供元メタが今月20日頃、新たな人員削減を予定している。同社の従業員数は世界全体で約7万8000人に上るが、今回その1割に当たる約8000人をレイオフ(事実上の解雇、リストラ)するという。

ニューヨークタイムズなど米国メディアの報道によれば、このレイオフはその動機が一種独特であるために、メタ社内で従業員のモラル(士気)が著しく低下しているという。

AIの導入で最適な従業員数が分からない

メタによる今回のリストラの目的は単なる不採算部門の整理ではない。業務の効率化を極限まで進めると同時に、年間1350億ドル(約20兆円)にも上るデータセンター建設などAIインフラへの巨額投資をねん出する狙いがある。

メタのスーザン・リーCFO(最高財務責任者)は「将来的に最適な事業規模(従業員数)は分からない」と(する旨を)述べるなど、同社業務にAIを導入することに伴うリストラの波が今後も続くことを示唆している。

こうしたなか、メタ従業員の不信感を煽っているのが、今年4月にその存在が明らかにされた全方位的な監視ツールである。これは社内で使われている業務用パソコンの操作(キーボードによる入力情報、マウスの動き、クリックされた場所、画面上に表示されているもの…等々)を追跡・記録するソフトだ。

メタの経営陣がこの監視ソフトを導入する狙いは、同社が昨年設立した「超知能研究所(SuperIntelligence Labs)」が現在開発中の次世代AIモデルに「ドロップダウン・メニューの選択」や「ショートカット機能」などの具体的なコンピュータ操作を学習させ、社内業務の自動化を可能にするためだという。

つまりメタ社員は、自分が普段行っている各種業務のログ(記録)が、そのまま「自分をクビにするためのAI」のトレーニング・データとして使われるという「悪夢のような現実」に直面しているのだ。

歪むメタの社内文化

先月、この監視ソフトの存在が社内に知らされると、メタの従業員の間に凄まじい反発と不安感が広がった。

一部の社員は「信じ難いほどにモラル(士気、やる気)をそぐものだ」と率直な感想を経営陣に伝え、「オプトアウト(監視されることを拒否する)手段はないのか?」と迫ったが、同社のアンドリュー・ボスワーズCTO(最高技術責任者)は「オプトアウトの選択肢はない」と回答したという。

メタのマーク・ザッカーバーグCEOら経営陣が目指すのは、AIを中核に据えた「少人数で迅速なチーム体制」である。彼らは「AIが主要な業務を担い、人間はそれに指示を出したり、その成果を確認したりする役割に回る」というビジョンを掲げている。

その行き着く先には、社内の管理職を極限まで減らし、1人のマネージャーがAIで武装した少数の従業員を指揮して業務にあたる超フラットな組織体制が見え隠れする。

すでにボスワーズCTOは昨年(2025年)までの業務体制を「100年前のこと」と表現し、長い時間をかけて計画書を練り上げる旧来の労務スタイルから、AIを駆使し実際のデモを通じて素早く試行錯誤しながら仕事を進める新たなスタイルへの完全移行を社員に説いている。

それだけではない。ザッカーバーグCEO自身の業務を(ある程度まで)代替するAIエージェントの開発も進めるなど、経営のトップ層までもが業務AI化の対象となっている。

こうした過激な業務効率化の裏で、メタの社内文化は大きく歪み始めている。社内には、従業員によるAIの使用状況を「トークン(AI利用量の単位)」の消費量として可視化するダッシュボードが導入され、これが同僚とのAI使用競争を煽るプレッシャーとなって、のしかかっている。

その結果、メタ従業員の間では「AIエージェントを乱造してトークン消費量を稼ぐ」「乱立したAIエージェントを検索するための別のAIエージェントを作る」「そのAIエージェントを評価するために、さらに別のAIエージェントを作る」等々、本来の業務目標を見失った空虚な開発競争が進み、現場の疲弊を加速させている。

一部の社員は「もうこの会社(メタ)は、長居して自分のキャリアを形成する職場ではない」と述べているという。

…つづく後編の『「次はあなたの番かもしれない」…Meta、Paypalで加速する「理不尽新リストラ」人間不要の過酷な末路』でも、加速するAI化によるアメリカの巨大企業の動きをレポートする。

【つづきを読む】「次はあなたの番かもしれない」…Meta、Paypalで加速する「理不尽新リストラ」人間不要の過酷な末路