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穏やかでゆったりとした“非日常”

 大海原を航行するフェリー。ここでは道路の渋滞とは無縁の穏やかな時間が流れます。

【画像で見る】どんな人がどんなフェリー旅を?

 「12連休です。(フェリーは)非日常がありますね。普段PCの画面とにらめっこになるので」
 「すごくおもしろいです。海をすごく近くで見られるので」

 和歌山港と徳島港を結ぶ「南海フェリー」。ゴールデンウィークどんな人が利用するのか定点観測しました。

7泊8日のバイク旅をする夫婦

 大型連休2日目の4月30日午前9時半。この日はあいにくの雨です。

 「四国に渡ってツーリングしようと思って。雨も降っていますし、フェリーで行こうかなと」

 横浜から来た夫婦、7泊8日のバイク旅です。

 「四国カルストとかUFOラインとか、去年も行ったんですけどまた行きたいなと思って」

 ターミナルには遠方から来たバイク乗りも大勢。自転車やスーツケースなど大きな荷物を持った人も。いつもより少し乗客が多いようです。

旅行にきた留学生3人は3週間前に出会ったばかり

 午前10時35分、出港してすぐ写真を撮る人たちがいました。

 (ヨーロッパからの留学生)
 「キャンピングカーで来て」
 「キャンピングカーレンタルしました」
 「四国のいろんなところで泊まりながら、だんだんと九州のほうまで行く」

 3人はヨーロッパから来た東京大学大学院の留学生だそうです。

 (ヨーロッパからの留学生)
 「3週間前に会ったばっかりで。2週間くらい前に(3人で)旅行に行こう。ゴールデンウィークに旅行に行きましょうと決めました」
―――Qみなさん4月に来日?
 「4月に来日したばかりです」
―――Q旅の目的は?
 「日本に住んでいないと行かないようなところを見ることです」

 徳島までは2時間あまり。運賃は片道2500円で、それぞれの港から1日8便ずつ出ています。

たまたま相席した夫婦になついた子どもたち

 船内ではしゃぐ子どもたち。おじいさんと仲が良さそうに遊んでいます。

―――Q孫ですか?
 「違います。違います。一緒に乗ったばっかり、なついてきてくれます」
 「偶然になついてくれて、人見知りしない子」

 こちらの家族は徳島県の実家へ帰省するところ。たまたま相席した夫婦と仲良くなったんだそうです。

 (和歌山から徳島へ帰省)「高速道路を使って(和歌山から)徳島へ帰るのに3時間ぐらいかかるみたいで、車だったら(子どもが)機嫌が悪くなるし、子どもがここで遊ぶことができて便利なので使っています」

 半世紀以上にわたり愛されてきた南海フェリー。

 しかし、明石海峡大橋の開通で利用者は減少。新型コロナの感染拡大も経営に大きな打撃を与え、2028年3月末をめどに撤退することになりました。

「何もせんでもご飯が出てきよったんて、すごいことだったんやな」


―――Q仕事ですか?
 「学生で(ネクタイは)ファッション。大学1年生で徳島が実家なので、東京からこっち帰ってくるのに南海フェリー」

 この春、千葉県にある大学に進学した18歳の男性。夜行バスと電車、フェリーを乗り継いで、徳島港の近くにある実家に帰ります。

 (千葉から徳島へ帰省 大学1年生)「(大学は)千葉なんですけど、すぐ東京にも行けるし、徳島より都会やけん困ることがない。(進学して)1番思ったのは、言葉のイントネーションが違いすぎて落ち着かんな。難波から南海電鉄に乗ってきたんですけど、聞こえるイントネーションがこっちなのでめっちゃ落ち着くな」

 憧れだった1人暮らし。料理も洗濯も自分でやっています。

 (千葉から徳島へ帰省 大学1年生)「何より何もせんでも今までご飯が出てきよったんて、すごいことだったんやな。(自分では)同じもんしか作ってないから、母親が作ってくれると毎日ちょっとずつ違ったり、から揚げだったりいろいろ変わっていたんですけど(自分ではメニューが)一定だったので、久しぶりに食べたいな」

自由気ままなキャンピングカー旅

 午後0時50分。出航から2時間15分で徳島港に到着しました。キャンピングカーで旅する留学生の3人組は…。

―――Qこの車ですか?
 (ヨーロッパからの留学生)「そうです。ふだんは前に3人座っている。宿泊はここでして、温泉や銭湯とかでシャワーを浴びる」

 車内には横になれるベッドが3つ。自由気ままに移動できるのが、キャンピングカーの魅力です。レンタル料は(9泊10日)約22万円。3人で割り勘しているそうです。

 (ヨーロッパからの留学生)「(いまから)祖谷渓。そこ(かずら橋)を通って高知のほうまで行く予定です」

 その後、3人は徳島県三好市の秘境「祖谷のかずら橋」などを巡ったあと、九州に渡り鹿児島県の桜島まで行ったそうです。3人の旅はまだまだ続きます。

自転車で日本縦断や世界一周する外国人の姿

 午後2時半の徳島港のフェリーターミナルには、自転車に乗る外国人がいました。

 「鹿児島から北海道まで日本縦断しています」

 ワーキングホリデー制度を使いフランスから来日した男性。1か月かけての自転車旅の途中、これからフェリーで和歌山へ渡り奈良・京都へ向かうそうです。

 (フランスから 日本縦断の自転車旅行)「サイクリングが大好きです。それに、日本は美しい国だと思います。サイクリングにも最適な環境が整っています。コンビニエンスストアがいたる所にありますし、温泉もたくさんあります。日本人はとてもフレンドリーです」

 ターミナルにはもう1人、自転車の外国人が…

 「私は世界一周しているんです」

 旅に出てから、もう4か月も経つそうです。

 (イギリスから 世界一周旅行)「サイクリングが大好きだし、探検も好き。自転車はまさにうってつけの方法。新しい出会いもあったり、美しい場所やふだん行かないような場所にも行ったりできる」

夕方出発のフェリーには就活を終えた学生の姿も

 午後4時25分、和歌山行きのフェリーが出港します。レジャーや帰省が多かった午前と比べ、この時間は乗客の雰囲気も少し違います。

 徳島を出発したフェリーは仕事を終えた出張帰りの人も。中には…

 (就職活動中の学生)「徳島で就活やって、大阪にいまから帰ります」

 徳島に本社がある会社で面接を受けてきたそうです。

―――Q手ごたえは?
 (就職活動中の学生)「たぶんいけたと思います。もう半分旅行みたいな気分で」

 嬉しさいっぱいの表情です。

「何回も何回も乗っていて思い出深い」

 朝から降っていた雨がやみました。目の前には「淡路島」。

 東京から来た家族は、香川や徳島をまわり、これから和歌山にある夫の実家に向かうそうです。

 (東京から来た家族)「いろんな土地を寄れたので、いろんな土地のおいしいものを食べてきて楽しんでいます。夫は下で寝ています。私が運転できないので東京からずっと運転している。」

 フェリーに乗っている間は運転の疲れを癒せるひとときです。

 夫は和歌山出身。子どものころ、南海フェリーをよく利用していたそうです。

 (東京から来た家族)「祖父母が徳島だったので、和歌山からおじいちゃんおばあちゃんところに遊びに行くとか。おじいちゃんおばあちゃんが体調崩したとかいうときには、真夜中に南海フェリーで行くこともありましたし、何回も何回も乗っていて、思い出深いというか、(撤退するのは)寂しいなって気持ちはありますね」

 午後6時40分、和歌山港に到着。大型連休中いつもより少し賑やかな南海フェリーが人々の旅を支え続けています。

(2026年5月5日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『定点観測』より)