50代海外ひとり暮らし、日本とこんなに違う「食事事情」。3か国に移住してわかったこと
53歳に単身でスペインに留学し、4年間でスペイン、ジョージア、そして現在のタイへと、暮らす場所を移してきたRitaさん(56歳)。行く先々で日本とは異なる文化や生活スタイルを感じているそうです。今回は、3か国をめぐって感じた、「食事の当たり前」についてレポートしてくれました。各国の食事の内容なども紹介します。

「スペイン」の食事はいつもにぎやか

スペインにいた頃は、パンや生ハム、チーズ、クラッカーが身近な存在で、スーパーには棚一面にオリーブオイルが並んでいました。
オムレツや魚介のフリット、アヒージョといった伝統的なスペイン料理に加え、パスタやラザニアなども気軽に楽しめ、またソースも豊富でした。コーヒーは、ミルクやお湯の量によって何種類もの呼び名があり、そのときの気分で選ぶのが当たり前の毎日。
朝のカフェテリアはいつもにぎやかで、チョコラテとチュロスを楽しむ人、新聞を読みながらエスプレッソを飲む人、しぼりたてのオレンジジュースを片手に過ごす人たちであふれています。
そんな何気ない風景も、スペインの「食文化」を象徴する光景だったように感じます。
ヨーロッパとアジアのいいとこ取りの「ジョージア」

ジョージアに移ると、少しずつ景色が変わっていきました。
パンはありますが、スペインのような軽やかなバゲットではなく、窯で焼いた素朴なものに。スーパーで見かける「ガーリックフランス」は、欧米の方たちに人気でいつも売りきれ。あの香りをかぐだけで、私ですらどこか懐かしい気持ちになったのを覚えています。
レストランでは、煮込み料理やジャガイモ料理を多く見かけるようになりました。ニンニク、チーズ、スパイスをふんだんに使い、うま味がしみ込んだものが多く、濃厚なのに食べやすい。ヨーロッパとアジアのちょうど間にある土地らしく、どこか“いいとこ取り”をしたような味わいに感じました。
そしてコーヒー。あれだけ種類があったスペインとは異なり、ここではもっとシンプルなラインナップになります。地元のお店ではほぼ一種類で、海外の人たちが集まるカフェでも選べる種類はぐっと限られていました。
「タイ」の食事はカラフルで刺激的

そして今、タイに来てからはまた一気に景色が変わりました。
お米料理、麺料理、串刺しの種類がとにかく豊富で、屋台や食堂には毎日通いたくなるようなメニューが並びます。パッタイやスープ麺、カレーなど、安いお店では300円前後から楽しめて、しかもおいしい。
そして、35℃を超える気温のなかで、飲み物の存在もぐっと身近に感じられます。フレッシュな果実ジュースや紅茶、コーヒーのお店も多く、思わず写真に撮りたくなるような華やかな一杯によく出合います。
一方で、スペインでは当たり前だったバゲット、オリーブオイル、チーズ類はぐっと少なくなり、だいぶ特別な存在に。その代わりに、これまでほとんど見かけることのなかったおにぎりや納豆、豆腐といった日本の食材が身近なスーパーで手に入ることに驚いています。

同じ「毎日の食事」でも、場所が変わるとこんなにも内容が変わるのだと、改めて感じています。そして不思議なことに、そのときどきで「これが当たり前」と思っていたものも、環境が変わると少しずつ遠のき、逆に今までなかったものが、自然と日常に入り込んでくるものです。
タイに来てからは、まだ目に入るものすべてが新鮮で、少し大げさかもしれませんが、目も心もちょっとチカチカするくらいに、刺激的な毎日です。
でもその感覚も、きっとしばらくすると「当たり前」になっていくのだと思います。今自分が囲んでいる食卓も、きっとどこか特別なもの。そんなことを思いながら、新しい味を楽しんでいます。
