トヨタ「“4WD”スポーツカー」が進化! まるで「V6」な重厚サウンドと“快適性向上”で「オトナ仕様」に! “ニュル仕込み”で野性味と洗練を両立した最新「GRカローラ 25式後期」の実力とは?
ニュル仕込みのボディ強化で新たな領域へ
2022年に登場したトヨタ「GRカローラ」は、「GRヤリス」と同様、発売後も「壊しては直す」を繰り返しながら鍛え上げられてきました。
その最新仕様となるのが、2025年11月に発売された「25式後期」と呼ばれるモデルです。今回、富士スピードウェイ近郊の一般道で試乗してきました。
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改良ポイントの前に、まず声を大にして伝えたいのは、“普通”に購入できるようになったことです。
振り返れば、GRカローラは新型コロナウイルス感染拡大や半導体不足の影響を直接受け、つい最近まで“台数限定”で販売されていました。
開発チームとしても、さぞ歯がゆい思いだったはずです。しかし、その間も進化の歩みを決して止めませんでした。では、実際にどこが変わったのでしょうか。
1つ目は「車体」です。GRカローラは、ベースとなる「カローラスポーツ」に対してボディ剛性を大きく向上させています。
ただ、ニュルブルクリンク(以下、ニュル)でテストを行う中で、新たな課題が見えてきたそうです。
ニュルの厳しさは言うまでもありませんが、その中でも特に問題となったのが、連続する「厳しい3次元のG」でした。
そこで開発陣は、ニュルでも通用する車体に仕上げるため、ボディにさらに手を加えました。
具体的には、フロント両サイドのフレーム、フロア、リアのホイールハウスに構造用接着剤を13.9m追加しています(従来モデルでは18.8m使用しており、合計32.7m)。ちなみに、車体アップデートに伴うフットワーク系の変更はないとのことです。
走り始めて驚いたのは、GRカローラらしからぬ「快適性の高さ」です。従来モデルは、荒れた路面では入力や振動が乗員にダイレクトに伝わり、「スポーツモデルだから仕方ない」と割り切る部分がありました。
しかし25式後期は、硬さはありつつも“いなし”が効いているイメージで、荒れた路面のザラつきやビリビリした振動が伝わりにくくなっています。
加えて、路面の細かな凹凸に対する吸収性も向上しており、バネ上のヒョコヒョコした動きも適切に抑えられています。
当然、ハンドリングも進化しています。25式前期の「キレの良さ」と「安心感」をバランスさせた走りはそのままに、硬さの中にも“いなし”を備えたサスペンションによって、路面状況を問わず4輪の接地感がより掴みやすくなりました。結果として、従来モデル以上に気負わず、安心して、安定感を持って曲がれる印象です。
また、荒れた路面でもビシッと走る直進安定性の高さは、高速道路のようなシーンでも大きな武器になるはずです。
このあたりは、構造用接着剤の塗布範囲拡大による車体剛性向上によって、サスペンションがよりしっかり仕事をできる(=足がよく動く)環境になったことが効いています。
このように、ニュルからのフィードバックが一般道での通常走行でもしっかり体感・実感できることを、25式後期は見事に証明しています。
ただ、欲を言えば、機能的に不満はないものの、最新モデルと比べるとやや古さを感じるEPS制御については、もう少しフリクションを抑え、よりスッキリしたフィールに進化してくれるといいなあと感じました。
“音”と“冷却”にもメス―大人のスポーツ4WDへ
2つ目は、性能に直接影響するわけではありませんが、ドライバーに伝わる「サウンド」の追加です。
今回、JBLプレミアムサウンドシステムにサブウーファーが追加され(8→9スピーカー)、単なるオーディオ音質向上―つまりエンジン音に負けない低音再生に留まらず、これらのシステムを活用して、エンジンの不快なこもり音を打ち消すANC(アクティブ・ノイズ・コントロール)の最適化に加え、ASC(アクティブ・サウンド・コントロール)も追加されています。
具体的には、アクセルやシフト操作による加減速、駆動力変化に応じたスポーツサウンドを、生音にミックスしているのです。
音量や音質はドライブモードによって変化し、ノーマル→スポーツ→スポーツ+EPSエキスパートモードの順で“派手”になっていきます(設定で大・中・小の調整も可能)。

ノーマルでは、1.6リッター直列3気筒ターボらしい軽めの生音に低音を加えることで、濁音気味だった音が上手く整えられています。
スポーツでは、3000回転あたりを境にV6エンジンのような重厚かつ勇ましいサウンドへ変化。
さらにスポーツ+EPSエキスパートでは、ヘルメット装着時でも聞こえるほどの音量となり、アクセルオフ時には“バリバリ”というバブリング風の音まで加わります(実際にはバブリングしていません)。
ASCについては好みが分かれるでしょうが、筆者としては、GRカローラのウィークポイントのひとつは「カローラの車格に似合わないエンジンサウンド」だと感じていたため、今回の採用は大歓迎です。
走行中のワクワク感や高揚感はもちろん、良い音のほうが走るリズムを取りやすいことはBEVでも実感済みなので、個人的には単なるギミックとも言い切れません。もちろん、好みでない人は完全OFFにもできるのでご安心を。
3つ目は「パワートレイン」です。もともと25式前期では冷却性能向上のためにフロントマスクのデザイン変更が行われていましたが、今回は長時間の全開走行でも安定したエンジンパフォーマンスを発揮できるよう、クールダクト(2次吸気ダクト)を追加。
フロントグリルから直接外気を取り込めるため、吸気温度を大幅に下げる効果があるそうです。
今回は一般道での試乗だったため、その効果を体感するには至りませんでしたが、より過酷な夏場に試してみたいところです。

そろそろ結論にいきましょう。今回のアップデートは、前回改良(25式前期:DAT追加、エンジントルク向上[370→400Nm]、冷却・空力性能向上、ジオメトリー変更を含むサスペンションアップデート、ABS制御アップデートなど)と比べると変更点は少なめです。
しかし、実際にステアリングを握ると、「野性味」と「洗練」のバランスが整い、ロードカーとしての魅力が確実に高まっています。
これまでGRカローラは、GRヤリスに対してサーキットを含むコンペティションシーンでの“懐の深い”走りが魅力でしたが、25式後期では、その魅力がロードでもしっかり味わえるようになりました。言うなれば、GRヤリスの兄貴分にふさわしい、“大人”のスポーツ4WDです。
ただ、“大人”を名乗るなら、内装のブラック×赤ステッチはやや子供っぽく感じる部分もあり、個人的にはGRヤリス同様のブラック×シルバーステッチ仕様があってもいいと思います。そして、26式GRヤリスに採用されたGRステアリングもぜひ欲しいところ。
すでにネット上では、国内外のサーキットでテストを行う偽装GRカローラの姿も目撃されています。26式、あるいは27式あたりでのさらなる進化に期待していいですよね。
