天の川銀河は太陽系を含む銀河の名称であり、中心部の膨らみであるバルジを貫くように棒状構造が存在するため棒渦巻銀河に分類されています。そんな天の川銀河の「star-forming disk(星形成円盤)」の端っこを、マルタ大学などの研究チームが特定しました。

The edge of the Milky Way’s star-forming disc: Evidence from a ’U-shaped’ stellar age profile | Astronomy & Astrophysics (A&A)

https://www.aanda.org/articles/aa/full_html/2026/04/aa58144-25/aa58144-25.html

The Edge of the Milky Way's Star-Forming Disc Revealed in new research co-authored by UM Professor - Newspoint

https://www.um.edu.mt/newspoint/learn/2026/theedgeofthemilkywaysstar-formingdiscrevealedinnewresearchco-authoredbyumprofessor.html

Astronomers Find the Edge of the Milky Way - Sky & Telescope

https://skyandtelescope.org/astronomy-news/astronomers-find-the-edge-of-the-milky-way/

一般に天の川銀河のような円盤形をした銀河では、星は内側から外側に向かって形成されます。そのため、観測する銀河の外側に行けば行くほど星の年齢は若くなりますが、天の川銀河の明確な端がどこなのかは定義されていませんでした。

今回、マルタ大学などの研究チームは中国の分光探査望遠鏡であるLAMOSTや、天の川銀河の広域調査を行うAPOGEE、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)が打ち上げたガイア衛星などによる高精度な測定値を組み合わせ、天の川銀河の主円盤を周回する10万個以上の巨大星を分析しました。

その結果、予想通り天の川銀河に属する星の平均年齢は、銀河の中心から離れるにつれて若くなっていることがわかりました。しかし、中心から約3万5000〜4万光年離れるとこの傾向が逆転し、中心からの距離が遠くなるにつれて星の年齢が高くなる「U字型」の分布をしていることが明らかになりました。

以下画像で右上にあるグラフは縦軸が星の年齢、横軸が銀河中心からの距離を示しており、12kpc(1万2000パーセク、約39光年)を超えると星の年齢が逆転していることがわかります。その下の図は天の川銀河中心から12kpcの境目を表わしたものです。



研究チームの分析により、銀河の中心から3万5000〜4万光年の地点が「天の川銀河の星形成円盤」の境界であることが示されました。中心からこの境界までは新たな星が形成されていますが、この境界を越えると新たな星形成が急激に減少するため、境界の外側には古い星しかないというわけです。

星形成円盤の外側にある星は、「radial migration(放射状移動)」と呼ばれるプロセスで銀河の中心から移動してきたと考えられます。放射状移動では、星は銀河をらせん状に回っている波に乗り、誕生した場所から徐々に外側へと移動していきます。このプロセスには非常に時間がかかるため、外側にある星ほど年齢が高くなるとのこと。

論文の筆頭著者であり、記事作成時点ではイタリアのインスブリア大学に在籍するカール・フィテニ博士は、「天の川銀河の星形成円盤の規模は、銀河考古学において長らく未解決の問題でした。円盤全体にわたって恒星の年齢がどのように変化するかをマッピングすることで、明確かつ定量的な答えが得られました」と述べています。

同様のU字型の年齢分布はシミュレーションされた円盤銀河でも再現されたほか、天の川銀河以外の銀河の観測データからも推測されています。つまり、天の川銀河は特異的な存在ではなく、円盤状の銀河によくあるパターンに従っている可能性が高いとのことです。