60兆円規模の投資がムダ金に…稼働率は3割程度しかない中国国家戦略「データセンター建設」の厳しい実情
結局アンバランスなまま
中国政府が4月16日に発表した今年第1四半期の実質国内総生産(GDP)は前年比5.0%増加し、事前の予想を上回った。だが、経済構造のアンバランスは一向に解消されていない。生産や輸出が拡大した一方、内需は不振のままだ。
「次の四半期以降は非常に厳しくなる」との見方も出ている。中東紛争に起因する原油高の影響が本格的に表れてくるからだ。
原油などエネルギー価格の上昇が中国企業の収益を圧迫するため、生産活動全般が低下することが予想されている。
エネルギー価格の高騰はインフラ開発にとっても大敵だ。
このままでは無用の長物に
中国では長年の過大な投資が災いして、ほとんど利用されない高速道路、旅客営業しないまま放置された鉄道の駅などが各地で存在する事態となっているが、人工知能(AI)データセンターでも二の舞を踏むリスクが生まれている。
中国では米国をしのぐ勢いでデータセンターの建設が進んでおり、投資規模は21年から25年までで日本円にして60兆円以上に及ぶとされる。
データセンターは建設中のものを含めると250ヵ所を超えると言われているが、大量の電力を消費するため、稼働率は3割前後と低調だ。そのうえ、エネルギー価格が高騰する事態となれば、データセンターの多くは無用の長物となってしまいかねない。
生産以上に心配なのは輸出だ。
中国の3月の輸出はドルベースで前年比2.5%増と市場の予想(8.6%増)の3分の1以下だった。第2四半期以降、中国の輸出が前年割れする可能性は十分にある。
これを象徴しているのが、15日から広州市で開催された「中国輸出入商品交易会」だ。1957年にスタートした中国で最も古い国際見本市で、展示面積は約150万平方メートル、出展企業は約3万社に上るとされる。
ここにも中東情勢の影響が
例年、中東からの仕入れ業者(バイヤー)が多数来場していたが、イラン情勢の悪化により中東のバイヤーからの事前連絡はほとんどないという。中国は中東への輸出を急増させてきたが、今年は大幅減に見舞われてしまうかもしれない。
経済成長を牽引してきた輸出に陰りを見せる中、消費は相変わらず低調だ。
今四半期の小売売上高は2.4%増と、昨年通年の3.7%を下回った。
内需不振の元凶である不動産市場は依然として在庫が積みあがっており、回復の兆しはないと言わざるを得ない。この状況を打開するためには対策が不可欠だが、中国政府にその意欲がまったくないように思えてならない。
後編記事『コロナ禍で医療品を買い占めレアアースは出し渋り…米・財務長官が中国を「信頼できない」と非難した納得の理由』で見ていくように、振るわない不動産市況はマンション管理企業の撤退に伴う住環境の悪化など、市民生活にも悪影響を与えている。さらにイラン情勢の悪化に伴い暗い影が落ちている輸出にも新たな火種が生まれようとしている。
【つづきを読む】コロナ禍で医療品を買い占めレアアースは出し渋り…米・財務長官が中国を「信頼できない」と非難した納得の理由
