タリウムは毒性があることで知られる金属の一種ですが、スイッチやヒューズ、赤外線検出器、高屈折光学ガラスなどさまざまな産業用途があります。ケールやキャベツ、ブロッコリーといったアブラナ科の野菜が、土壌からタリウムを抽出するのに役立つ可能性があるとの研究結果が報告されました。

nature of thallium crystals in Brassica oleracea (kale): a synchrotron multi-technique investigation | Metallomics | Oxford Academic

https://academic.oup.com/metallomics/article/18/1/mfag010/8494855?login=false

Kale, cabbage, and broccoli could turn toxic soil into a new source of critical thallium metal

https://techxplore.com/news/2026-04-kale-cabbage-broccoli-toxic-soil.html

ケールやキャベツといったアブラナ科の野菜は汚染された土壌で生育すると、タリウムを過剰に蓄積する性質があることが知られており、消費者や環境への潜在的なリスクについて監視されています。しかし、こうした認識があるにもかかわらずアブラナ科野菜によるタリウムの取り込みメカニズムや、この特性を生かしてタリウムを抽出する可能性についての研究は不足しているとのこと。

オーストラリアのクイーンズランド大学で植物の金属蓄積について研究しているアメリア・コルソ=レミージョ博士は、「タリウムは非常に毒性が強い物質ですが、医療技術・光学ガラス・半導体などに使用される、貴重かつ産業的に重要な金属でもあります。つまり、これらのアブラナ科植物の多くは人間にとって重大な健康リスクをもたらす一方で、持続可能な鉱業において明確な可能性を秘めている可能性があるのです」と述べています。

一部の植物には土壌から重金属を取り込む性質があり、こうした性質を持つ植物を利用して鉱物を抽出することはphytomining(ファイトマイニング)と呼ばれます。ファイトマイニングは低コストかつ環境に優しい方法で、産業的に重要なレアメタルなどの金属を回収できる可能性があり、金属の供給安定性を高めることにも役立つと期待されています。



今回、コルソ=レミージョ博士らの研究チームは生きたケールを用いて、集束X線ビームを照射して元素組成を調べるマイクロX線蛍光分光計と、微小な化合物や結晶について調べるX線回折マッピングによる分析を実施しました。

分析の結果、ケールにおけるタリウムの分布状況や位置をこれまでにない詳細さで把握できました。ケールのタリウムは葉脈付近に、主に塩化タリウム結晶の形で濃縮されていました。これは、高濃度の塩分に耐えられる塩生植物が塩を排出するのと同様の耐性機構と同様に、葉の過剰なタリウムを排出する方法のひとつだと考えられるとのこと。

コルソ=レミージョ博士は、「特に葉の内部の葉脈に沿って、塩化タリウムの結晶が沈着していることを発見しました。これはファイトマイニングの可能性、ひいては持続可能なタリウム供給の可能性を示唆しています」「土壌の修復と再生を行うと同時に、可能な限り持続可能な方法で重要な元素を供給するという二重のニーズがあります。アブラナ科の植物がその解決策の一部となる可能性があるようです」とコメントしました。