新入社員のSNS投稿が炎上、外部から見えない社内情報「すべて投稿NGと考えて」弁護士が警鐘
学校を卒業して就職し、これからの生活にワクワクしている新社会人の方も多いと思います。そんな中、新入社員のSNSでの投稿が問題視されるケースが後を絶ちません。
今年の春も、新入社員と思われるアカウントが会社の機密資料と思われる資料をSNSに投稿して炎上するなどの事例が起きています。
どのような投稿がNGとされるのでしょうか。また、そのような投稿をしてしまった場合、解雇などのリスクはあるのでしょうか。簡単に解説します。
●SNSへの機密投稿は懲戒処分の対象になりうる
SNSへの投稿は通常は私的な行為であり、会社から干渉される性質のものではありません。しかし、会社の機密情報を公開した場合は懲戒処分の対象になりえます。
具体的には、以下の要件を満たしているような場合には、懲戒処分を受けてしまう可能性があります。
1)就業規則に懲戒事由と懲戒の種類が定められていること
2)その行為が懲戒事由に該当すること
3)処分の内容が相当であること
4)弁明の機会(=言い分を十分に言う機会)が与えられるなど、手続が相当であること
1)についてですが、多くの会社では、就業規則で機密情報の漏洩や、会社の名誉・信用を傷つける行為を懲戒事由としています。
業務上の重要な情報をSNSに公開する行為は、これらの懲戒事由に該当する場合が多いでしょう。(=2)も満たす可能性が高い)
●懲戒解雇はそう簡単には認められない
3)についてですが、懲戒処分のなかで最も重いのが懲戒解雇です。
懲戒解雇は、やむを得ない場合の最終手段といえます。
たとえば、その労働者を企業にとどめておくことが企業の経営秩序を乱し、企業の生産性を阻害することが明らかであって、かつ、対象者に将来の改善の見込みが乏しい場合に限って許されるとする地裁判例もあります(長崎地裁昭和38年8月27日(大村タクシー懲戒解雇事件))。
新入社員の場合、入社直後で機密管理の重要性について十分な教育・周知がなかったり、悪意でなく軽率な行動だったこと、反省して削除の対応をとったことなどは、懲戒解雇を否定する方向に働きます。
反対に、その会社にとって漏洩された情報が非常に重要な情報であったり、わざと情報を公開したり、情報の漏洩により利益を得たりしている事情があれば、懲戒解雇が肯定される方向に働きます。
●試用期間中だと本採用を拒否される可能性がある
このように、懲戒解雇が認められる場合、というのはかなり限定的です。
しかし、新入社員の場合、試用期間中であることも多く、この場合は話が変わってきます。
懲戒解雇ではなく、本採用を拒否するという形で企業にいられなくなる可能性があるからです。
最高裁昭和48年(1973年)12月12日判決(三菱樹脂事件)は、試用期間中の法律関係を「解約権留保付労働契約」と解しています。
簡単にいえば、試用期間中の労働者が、その会社で働くにふさわしくない場合に、「契約を解約することができる権利」が残っている労働契約、ということです。
この留保した「解約権の行使」については、本採用後の解雇よりも広い範囲で認められると考えられています。
この解約権についても、企業側が自由に行使できるわけではないと考えられています。
留保解約権を行使できるのは、採用当初は知ることができなかった事実を採用後に知るに至り、引き続き雇用するのが適切でないと判断することが客観的に相当である場合です。
まず、本件のように、機密情報をSNSに投稿するという対象者の行動の特性は、採用時の面接では当然知ることができません。入社後に初めて起こった事実ですから、「採用当初は知ることができなかった事実」という要件は満たされます。
次に、引き続き雇用するのが適切でないかどうか、についてはどうでしょうか。
SNS投稿で漏洩した情報が、会社にとって機密性が特に求められるものである場合、「悪気がなかった」としても、そもそもそのように安易に情報を漏洩してしまうという事実が、雇用を継続するのに適切でない人材であるという判断につながるおそれがあります。
なお、SNSが大炎上することで、会社の信用毀損が現実に生じている場合、そのような事情も採用拒否が正当化される事情になりえます。
就業規則に情報管理に関する懲戒事由が整備されており、入社時に情報管理の重要性について教育や誓約書の取得が行われていたかどうかも、判断に影響します。
新入社員の皆さんは、特に希望する企業に入社できた場合、高揚感や、自分だけが知っている社内の世界を自慢したいような気持ちもあるでしょうが、SNS投稿はくれぐれも慎重に。外部から知ることのできない社内情報が映ってしまうような投稿はすべてNGだと考えておきましょう。

