NASA、53年ぶり有人探査船打ち上げ成功 月の人類活動拠点につなぐべく実証実験
米航空宇宙局(NASA)が1日、米国とカナダの宇宙飛行士4人を乗せた有人探査船「アルテミス2」を、ケネディ宇宙センターから打ち上げた。月を周回する有人の宇宙船は1972年のアポロ計画以来、約53年ぶりとなる。
打ち上げられたアルテミスは、高さ98メートルの宇宙発射システム(SLS)と有人カプセル「オリオン」で構成。NASAのリード・ワイズマン、ビクター・グローバー、クリスティーナ・コック、カナダ宇宙庁のジェレミー・ハンセンの4飛行士が搭乗している。なお、今回宇宙飛行士たちはスマートフォンを持ち込むことが許可されており、宇宙からの写真が撮影できるようになった。
今回のミッションは将来の月面着陸に向けた重要な実証実験を行う。月を周回し、重力を利用して地球へ帰還。期間は約10日間で、新型宇宙船の生命維持装置や通信システムの性能、有人システムがきちんと機能するかを宇宙の環境下でテストする。
具体的なスケジュールは初日、地球を2周しつつオリオンの状態を確認。太陽光電池パネルを開き電力を確保する。将来のアルテミス計画では、宇宙船のドッキングを構想しており、打ち上げ後に分離するSLSの第2段機体を他の宇宙船に見立て最接近して遠ざかる制御テストを実施。さらに、別のプログラムで相乗りした超小型衛星4機を放出する。
2日目には地球周回軌道を離れ、月へ向かう。5日目に月の重力圏に入り、6日目に今回のミッションの目玉となる月に最接近。月面から約7000キロまで近づく計画だ。月の最接近後、地球へと帰還する。月面着陸は28年の「アルテミス4」で目指す。
月に人類の活動拠点を
アルテミス計画は、2019年にNASAが発表。月に人類の活動拠点を築くことを主目的としている。2024年に米国人女性飛行士を月面に着陸させること、その場所が人類未踏の月の南極であること、民間企業や国際パートナーと協力し、月に拠点を築き科学的な発見をすること、経済活動の基盤を構築、火星に人類を送るためのステップなどが盛り込まれた。日本も2019年に参加を表明している。
目的のため、月周回軌道上に有人拠点「ゲートウェイ」の建設を目指す。ゲートウェイ建設に、ミニ居住棟や国際居住棟、ロボットアーム、燃料、エアロックなどを順次打ち上げていく。将来的には宇宙船がゲートウェイにドッキングし、月離着陸船へと乗り換えられるようにしていく。
アポロ17号から半世紀以上、月面に宇宙飛行士を送る計画が再始動。アルテミス計画が、人類にどのような歴史を刻むのか注目したい。
文/並河悟志 内外タイムス編集部
