イングランドに乗り込んで2年目、成長の跡を示すべき絶好のチャンスが巡ってきた。日本代表MF田中碧(リーズ)はスコットランド、イングランドとの英国2連戦に「イギリスでやっているので両チーム楽しみだし、(代表)チームとして勝つというところでも楽しみ」と目を輝かせた。

 目指すのはチームとして日本の強さを見せつけることと、事実上最後のサバイバルとなっているW杯選考レースに向けた個人のアピールだ。

「イングランドでやっているのでプレミアリーグでイギリス人がたくさんいる中で、1試合勝っただけで別にイングランドより上とかそういうのはないけど、スコットランドもそうだし、そういうところで勝負する機会だと思うので、まずはチームとして勝つこと。また個人としてW杯に行くという意味でいいパフォーマンスをしたいと思うので、その両輪を叶えられればと思う」

 昨季から所属するリーズでは、今季から世界最高峰の競争力を誇るプレミアリーグ昇格を成し遂げ、序盤戦はチェルシーとリバプールを相手にゴールを決めるなど、一定の存在感を示していた田中。しかし、年末年始ごろからは徐々に出場時間が減少。1月下旬からはめっきりと出場機会がなくなり、前節ブレントフォード戦での途中出場がリーグ戦では約2か月ぶりの出番となっていた。

 通用する部分が大いにあったのは自信になった。しかし、同時にプレミアリーグの厳しさも突きつけられる7か月間だった。それでも田中はあえて明るく振る舞いながら、軽快な口調でその挑戦を振り返った。

「もちろん悔しいし、それはやっぱり大前提にある。ただ試合に出るとか出ないとかは自分ではコントロールできないし、それは自分のチームだけじゃなく、今までいろんなサッカーをしてきた中で、いい選手が出るわけでもないし、逆にいいパフォーマンスをしても出ない選手もいるし、悪いパフォーマンスをしても出続ける選手もいる。そこは自分がああだこうだ言うことじゃなく、自分がピッチの上でやるだけかなと思います」

「もちろん自分の中でも課題はやっぱりあるし、ただ1年目なのでまだまだやらなきゃいけない部分もありながらも、同時に出た時にやれている部分もあるし、一定の手応えというか、思った以上にやれているなというのもあって、そこは自信になる。プレミアリーグで試合に出るという競争率はどのチームでも高いなと思うし、そこも含めてプレミアリーグだなと思う。その競争に勝っていかないといけないし、少し出られないからとその挑戦から諦める理由にはならないし、自分のサッカー人生において良いチャレンジはできているし、そこは引き続きよりやらないといけないかなと思います」

 前回カタールW杯はスペイン戦での決勝ゴールなど、一躍その名を知らしめる大会となった。しかし、個人としての勝負では世界トップレベルとの違いを感じていた。だからこそ、欧州トップレベルの“日常”を目指し続けた。そうしてようやく辿り着いたプレミアリーグの舞台。常にW杯を視野に入れていたからこそ、W杯イヤーの現状には葛藤もあったが、ここで立ち止まるわけにはいかない。

「やっぱりW杯という意味で多少焦りはあるけど、ただどの選手もそういう時期は全然ある。たまたまW杯前なので普段よりも多少焦りだったり、不安は生まれはするけど、サッカー人生においてそういう時期はある。ただそこで自分が崩れたら終わりだし、そこは自分を信じて、こういう局面は何度か訪れて、それでもなんとかこうやってきてここまで来ているので、そこはブレずにやらなきゃいけないし、やれれば良いかなと思います」

 W杯まであと3か月で巡ってきたイギリス遠征。懸命に辿り着いた英国の地での代表戦は、これまでの奮闘を実らせるには格好の舞台だ。

「本当にありがたいマッチメイク。ヨーロッパの国とやる機会はなかなかないし、ましてアウェーというのは雰囲気も含めてタフな試合になるというのはスコットランド、イングランドでも思う。その中で悪い流れでも失点しないだとか、そういう地力を示すのが必要だと思う。もちろんいい流れで勝つというのは大前提だけど、よくない中でも(失点)ゼロで終えるとか、そういうところがW杯ではより必要になる。まずは負けないようにすることが大事かなと思います」

 昨季のチャンピオンシップでチームを勝たせてきた勝負強さも、世界最高峰のプレミアリーグで磨いてきた逞しさも大きな財産。全てを2度目のW杯につなげるため、まずはこの英国2連戦で勝負をかける。

(取材・文 竹内達也)