社長退任が発表された森下一喜氏(C)日刊ゲンダイ

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 ガンホー・オンライン・エンターテイメントが業績低迷とアクティビスト(物言う株主)の圧力という二重苦に直面している。2025年12月期連結決算は、売上高が932億4200万円と前期比10.0%減少し、営業利益は71.1%減の50億5600万円、純利益は87.4%減の14億700万円と大幅な減益となった。最終減益は4期連続となる。

 また、アクティビストで、ガンホー株の8.5%を保有するストラテジックキャピタル(SC)から社長交代要請に続き、創業者である孫泰蔵氏が持つ株式の買い取りを求められている。SCは、元・村上ファンドの幹部だった丸木強氏が12年9月に設立した投資顧問会社だ。3月30日の株主総会を控え、神経戦が予想される。

 ガンホーを巡っては、2月1日付で森下一喜社長の退任が唐突に発表された。森下氏は代表権のない会長兼最高開発責任者に退き、後任社長には、坂井一也CFO(最高財務責任者)が就く。

 森下氏の退任は、昨年11月ごろに本人から「社長職を辞してゲーム開発の指揮統括に専念したい」という申し出があったものだが、「ストラテジックは、業績が低迷しているにもかかわらず、森下氏が高額な報酬を得ていることなどを問題視。パズドラのヒットを“一発屋”と呼ぶなど、森下氏の責任を追及していた」(市場関係者)だけに、影響は否定できない。

■フリーターから社長に

 森下氏は、フリーターから社長に上り詰め、億万長者になった異色の経歴を持つ。新潟県で病院を経営する裕福な家庭に生まれるが、千葉商科大学付属高等学校在学中に父親が事業に失敗したことで大学進学を断念。引っ越しの手伝い、バーテンダー、レンタルビデオ店員、工事現場の現場監督など数多くの職業を転々とした。アルバイトで生計を立てながら漫才師で一旗揚げようとしたこともある。

 転機は、01年に知人の紹介で手伝った縁で孫正義氏の弟、孫泰蔵氏と知り合い、オンセール(現ガンホー・オンライン・エンターテイメント)のE─サービス部部長に就いたことに始まる。PCオンライン事業を立ち上げ、ガンホーを急成長させた。04年1月に社長に就任した。億万長者ながら、住まいは公団マンションで、持ち家や高級車などにこだわりがない、オタク気質の人物だ。

 ガンホーは設立の経緯から孫泰蔵氏が代表であるSON Financial合同会社(資産管理会社)が筆頭株主で、議決権の17.9%(25年6月末時点)を握っている。

 SCは、この孫氏の株式持ち分をガンホーが買い上げるべきと主張している。

「(孫氏は)安定株主として行動してきた。経営陣から緊張感を奪い、株主価値の毀損につながっている」(SC)というわけだ。

 これに対して、ガンホーは、「孫氏から株式を譲渡する意向がないとの意思表示をいただいている。意向に沿わない投票行動をとる株主を排除し、当社への影響力を増したい身勝手な動機だ」と批判している。

「パズル&ドラゴンズ」に続くヒット作を開発できていないツケが出ていることは確か。とはいえ、「そもそもオンラインゲームに安定したヒット作や成長を求めるのは無理筋すぎる」(金融関係者)という指摘も聞かれるが……。

(森岡英樹/経済ジャーナリスト)