【NISA口座の相続】NISA口座に“500万円”残して亡くなった父。遺産は長男である私が相続する予定ですが、“非課税”のまま私のNISA口座に資産を移すことはできますか?

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NISAは、幅広い世代に利用されている資産運用制度です。亡くなられた親族がNISA口座を所持していた場合、相続する際の扱いが気になる方もいるかもしれません。本記事では、NISA口座で保有している金融資産総額の平均や、残された資産を非課税のまま相続人のNISA口座へ移すことは可能なのかなどを解説します。

NISA口座で保有している金融資産総額は“平均173万円”

日本証券業協会が2022年6月に発表した調査によると、調査時点におけるNISA口座で保有している金融資産総額の全体平均は173万円です。しかし、この全体平均値は60代以上をはじめとする資産総額が多い層によって引き上げられています。
実際に、積立実施者の49.9パーセントは100万円未満で運用していました。平均金額が最も高い70代でも240万円のため、掲題ケースのように500万円を運用していたとすると、かなり積極的に資産形成を行っていたといえるでしょう。
なお、掲題の500万円は制度上限の範囲内で取得し、非課税期間内であった場合には、運用益は非課税であったと考えられます。

NISA口座に残された資産を相続人のNISA口座に移すことはできない

国税庁による法令解釈通達「措置法第37条の14《非課税口座内の少額上場株式等に係る譲渡所得等の非課税》関係」には、以下の記述があります。
「非課税口座内上場株式等を有する居住者等が死亡した場合には、その時に遡って非課税上場株式等管理契約、非課税累積投資契約又は特定非課税累積投資契約に基づく譲渡があったものとみなされ、非課税口座から払出しがされる」
つまり、NISA口座を開設していた人が亡くなった場合、死亡時点で相続が発生し、その時点で口座内の株式などは払い出されたものとみなされます。この際、それまでに生じていた含み益については非課税です。
ただし、被相続人のNISA口座内にあった株式などを、相続人のNISA口座(非課税口座)へ移管することはできません。相続人がNISA口座を開設している場合でも、株式などは課税口座へ移されます。そのため、相続後に生じた値上がり益や配当金は課税の対象となります。

生前贈与で資金を受け取り自身のNISA口座で運用するのもひとつの選択

NISA口座内の株式などそのものを非課税で相続人のNISA口座に移すことはできませんが、、生前贈与で資金を受け取り、自身のNISA口座で株式運用するという方法は、相続対策と資産形成の一つの選択肢になります。
生前贈与された資金を自身のNISA口座を用いて、株式や投資信託で運用することで、その投資がNISAの非課税投資枠の範囲内である限り、運用益を非課税にできるようです。
ただし、贈与税の基礎控除は年間110万円と定められており、年間110万円を超える贈与には贈与税が課されます。また、扶養義務者から生活費などの名目で都度贈与を受ける場合は原則非課税ですが、貯蓄や投資に回したり、必要額を大きく超える金額をまとめて受け取ったりした場合には、課税の対象となる可能性があるため注意しましょう。

まとめ

NISA口座を開設していた人が亡くなった場合、死亡時点で口座内の株式などは払い出されたものとみなされます。それまでの含み益は非課税ですが、その株式などを相続人のNISA口座へ移すことはできません。相続によって取得した株式などは課税口座で管理され、相続後に生じた利益や配当は課税対象になります。
非課税で資産形成のメリットを次世代に活用してもらいたい場合は、生前贈与を活用し、受け取った資金を自身のNISA口座で運用する方法も検討するとよいでしょう。
 

出典

日本証券業協会 2021年度国民のNISAの利用状況等に関するアンケート調査報告書 (28ページ)
国税庁 措置法第37条の14《非課税口座内の少額上場株式等に係る譲渡所得等の非課税》関係
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー