助手席までフラットになる斬新モデル!

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ミニバンとSUVを掛け合わせた発想

 日常の買い物から家族での遠出、そして趣味の道具運びまで一台でこなしたいという欲張りなニーズは、ここ数年でいっそう強まりました。

 実際、2026年1月の普通乗用車新車販売ランキングでは、ミニバンやSUVが上位を占め、使い勝手と走破性の両立を重視する流れがはっきりしています。

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 そうした空気を思い起こさせる存在として、いまでも語られるのがトヨタのコンセプトカー「Tj CRUISER(ティ・ジェイ・クルーザー)」です。

 このモデルは2017年の「第45回 東京モーターショー」で披露されました。車名に込められた「Tj」は、TOOL-BOX(道具箱)の実用性とJoy(楽しさ)を掛け合わせた意味を持ち、「CRUISER」はトヨタのSUVの系譜を示します。

 つまり、日常で気兼ねなく使え、なおかつ遊び心も忘れない一台を目指したというわけです。

 コンセプトの時点から、生活に寄り添う道具としてのクルマ像が明確に打ち出されていました。

 外観は直線基調で、フラットなボンネットや厚みのあるバンパー、大径タイヤと力強いフェンダーアーチが目を引きます。

 全体としてはタフで無骨な印象ですが、フロントグリルの処理や丸みを帯びたヘッドライトには近未来的なニュアンスも加えられ、単なる商用車的な雰囲気に収まっていないところが特徴です。

 サイズは全長4300mm×全幅1775mm×全高1620mm、ホイールベース2750mmで、トヨタの小型ミニバンである「シエンタ」(全長4260mm×全幅1695mm×全高1695-1715mm)や、かつて日本市場でも展開されていたコンパクトSUV「C-HR」(全長4385-4390mm×全幅1795mm×全高1550-1565mm)に近い大きさに抑えられています。

 都市部の狭い道や駐車場でも扱いやすい寸法にまとめた点は、実用車としての現実解と言えるでしょう。

 室内に目を向けると、2列シートながら荷物を積むことを最優先に考えた構成が採られています。

 リアシートを倒すと床面がフラットになり、サーフボードや自転車といったかさばるレジャー用品も無理なく載せられます。

 さらに助手席までフルフラットにすれば、3メートル級の長尺物にも対応できる設計です。

 両側に備わる大開口のスライドドアは、狭い場所での乗り降りや積み下ろしを助け、日常の細かなストレスを減らしてくれます。

 ボンネットやルーフ、フェンダーには傷や汚れに強い塗装が施され、「気にせず使い倒せる」ことを前提にした割り切りも好印象です。

 インテリアはシンプルながら、必要な機能にきちんと手が届く作りで、道具としての役割と快適性のバランスが取れています。

 走りの面では、2リッタークラスのエンジンをベースにしたハイブリッドシステムを採用し、前輪駆動と4輪駆動の選択肢が用意される想定でした。

 次世代のTNGAプラットフォームを基盤とすることで低重心化が図られ、燃費性能と走行安定性の両立を狙っています。

 舗装路での扱いやすさはもちろん、軽いオフロードまで視野に入れた走破性は、アウトドアを楽しむユーザーの行動範囲を広げるはずでした。

 発表当時、Tj CRUISERはデザインの新鮮さと実用性の高さから大きな注目を集め、市販化を望む声も少なくありませんでした。

 しかし、2026年2月時点でも正式な発売のアナウンスはなく、価格や時期は未定のままです。

 それでも、ミニバンとSUVの長所を一台にまとめようとした発想は、現在の市場トレンドと重なる部分が多く、いま改めて見ても古さを感じさせません。

 もし実際に道路を走る日が来るなら、日常と遊びをつなぐ存在として、多くの人の相棒になる可能性を秘めていると言えるでしょう。