生成AIによるゲーム製作を予言したディレクター、最新作はAIを一切排除していた
職人魂がゲームをいっそう面白くする。
今や、生成AIに頼めば素人でも簡単なゲームが作れてしまう時代。いかにもAIに作らせた粗悪なゲームがApp StoreやGoogle Playに溢れていたり、不自然な片言の音声テキストが世界観を台無しにしてしまったりするケースが見られる一方、大手ゲーム会社でもAIを活用する動きが加速しています。
Cygames(サイゲームス)ではAI活用の専門部署「AIテクノロジー」を立ち上げていますし、KONAMIでは、実在するキャストやシンガーの歌声を再現する歌唱AIを開発し、さまざまなゲームソフトで活用しています。また、カプコンはGoogle CloudのVertex AIを利用しテキスト出力や画像生成、プロンプト作成などを行ない、開発時間の短縮を実現しています。
AIを活用する未来を予言していたゲームディレクター
このように、ゲーム業界が生成AIを活用する世界を予言していたゲームディレクターがいました。『The Outer Worlds』シリーズを手掛けるレナード・ボヤースキー氏は6年前、ゲーム会社がいずれAIに執着する、と予測していたのです。
しかし、彼の最新作『The Outer Worlds 2』にはAIを一切使用していません。AIを「使う派」だった彼が「最新作を作るにあたっては使わない派」になったのには、理由があるようです。
予想していたAI活用法と現実は、ちょっと違った
2019年当時の彼が想定していたのは、今のようなマネっこマシンではなく、人間が書いた約200行の対話文で学習可能な大規模言語モデル(LLM)の概念でした。さらに彼の理論は、「プレイヤーが何を言っても、高度なAIが適切な応答を生成できるはず」というものだったのです。
しかし、現在のAIは製作者と力を合わせるというより、ライターにとって代わろうとする傾向があり、基本的なエラーを起こしてしまいがち。
ボヤースキー氏は、6年前に自身が抱いていたアイデアについて「文字通り思考実験をしていただけ」であり、そのようなシステムは「非常に扱いにくい」ため、過去の自分を殴りたくなったと述べています。
AIを排除した最新作、手描きのストーリーが多彩
『The Outer Worlds 2』は、人気作となった前作の舞台から離れ、「アルカディア」という新しいコロニーを舞台にした物語。登場人物との会話を楽しめるほか、プレーヤーが選んだ選択や相手に対する態度がその後の展開に大きく関わってくるのが特徴。
キャラクターのスキルや特性で会話の選択肢が増えたり、隠し通路を進めたりするので、細かい要素で変化する多彩なルートも大きな魅力です。
こうしたストーリーを導く対話も、すべて人間が描いたもので、AIは使われていません。Steamで77%の好評価を得ているのも、完全に人間の手で作り上げられた昔ながらの雰囲気が人気なのかも。
大手アニメ会社がCGを一切排除した完全手描きの映画を作った際、とても粋な味わいがあったのを思い出します。面白いゲームを効率的に製作するうえでAIが活躍するのは良いことですが、職人魂みたいなものも失ってほしくないものです。
Source: PCGames, OBSIDIAN
