甲子園当確も…応援費は「想像できない」 バス1台で30万円、スポーツ強豪校の応援と資金のジレンマ
初のセンバツ出場を当確させた帝京長岡野球部
高校・大学野球の秋の日本一を決める明治神宮大会(神宮)は14日から6日間、熱戦が繰り広げられた。高校の部で初出場した帝京長岡(北信越)は14日の1回戦、英明(四国)に2-5で敗れたが、歴史に新たな1ページを刻んだ。全国屈指の実力を誇るサッカー部、バスケットボール部などに続き、野球部もついに全国に。一方でスポーツ強豪校には資金面で抱える問題もある。応援を引率した浅川節雄校長に話を聞いた。
黄色に染まった三塁側スタンド。「狙い撃ち」「学園天国」など、聞き慣れた高校野球の応援歌が力強く鳴り響いた。3回の初得点時には大歓声が起こり、3点ビハインドの9回にもその声は衰えない。最後まで全力プレーで戦い抜いたナインを盛り立てた。
試合は平日の午前8時30分開始。「第1試合だったので、午前0時に出発したんです。今日は普段通り授業があるので、野球部、吹奏楽部、チア、その他の行きたい生徒たちで人数制限を設けて来た。今の野球部は1年生中心なので、一般の生徒は1年女子が多いですよ」。浅川校長は嬉しそうに話した。
秋の県大会で3位に入り、北信越大会で星稜(石川)、日本文理(新潟)などの難敵を破って優勝。初めて明治神宮大会に出場し、来春センバツで春夏通じて初の甲子園出場も当確した。この夏は新潟大会4強、昨夏も準優勝と県内の強豪校だが、全国大会常連のサッカー部、バスケットボール部の存在もあり「野球部はちょっと取り残されていた」と明かす。
日本ハムやソフトバンクなどで投手として活躍し、就任6年目を迎えた芝草宇宙監督の指導の下、実力をつけてついに全国大会に。「甲子園に出るとなって、(お祝いの)胡蝶蘭を8つもらいました。近所の人からも『応援バスを出してくれるのか』と問い合わせがある。日本は野球ですね」と浅川校長は反響の大きさを実感する。
「色々な形で注目を浴びて、生徒たちも学校や自分自身への意識が向上していく。受験生も『帝京長岡に入ったら甲子園に行ける』と思う子が増えてくる。1月30日の発表が待ち遠しいですね」
日本で古くから根付いている部活動の文化。特に運動部の活躍は、在校生のモチベーションアップ、受験生の進路選択にも影響している。
スポーツ強豪校が抱えるジレンマとは…
一方で、スポーツ強豪校が抱えるジレンマもある。学生スポーツの醍醐味の一つは応援。そこには移動費、宿泊費といった様々な費用が全国大会のたびに発生する。「全部生徒持ちにするわけにはいかない。本当に大変なんですよ」と本音を漏らす。
今大会もバス4台で地元の新潟・長岡から移動。1台当たり30万円程度、夜間の移動となれば運転手も2人必須だ。1試合のバス代だけで100万円を大きく上回り、勝ち進むとその分、費用はかさんでいく。さらに大規模で距離も遠いセンバツは「いくらかかるか想像できない」と苦笑いするほどだ。
近年、スポーツ界で活用が増えているのがクラウドファンディングといった寄付募集。部活動でも増えてきた。同校も大会前に初めて実施。募集期間終了まで残り14日(15日時点)で150万円が集まったが、目標金額の1500万円には届かないのが現状。来年1月30日の出場校発表でセンバツが正式決定したら、再度実施する予定だ。
新たな歴史を刻んだ帝京長岡ナイン。この日は中盤まで食らいつくも、8回に3失点し、初戦敗退となった。ただ、初の甲子園を前に全国大会を経験したことは大きい。松本覇捕手(1年)は「応援があったからこそ2点目が取れた」と感謝し、「センバツはもっと応援に来てくれると思うので、優勝したい」と力強く意気込んだ。
4か月後、大応援団と共に聖地に乗り込む。
(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)
