「おばあちゃんみたい」白髪コンプレックスの50歳女性が20年以上続けた白髪染めをやめ大変身「これが正解だったんだ」
小学生時代から白髪が目立つ髪に悩んでいたMatsuko(@ma25_log)さん。47歳のときに20年以上続けてきた白髪染めをやめる決断をします。当初の心配をよそに大変身を遂げた姿に「かっこいい」と注目が集まりました。
【写真】美しすぎるグレイヘア「絶賛も納得」Matsukoさんの現在(全10枚)
40代半ばから「髪が薄くなった気がして」
── 2021年、47歳のときにグレイヘアになる決断をされたそうですね。白髪染めをやめる前の髪はどんな状態だったのでしょうか?
Matsukoさん:9割くらいは白髪で、白髪染めをしても1、2ミリ伸びてきたら白髪の部分がすごく目立ってしまうような状態でした。2か月に1度は美容室で全体をきれいに染めてもらい、その後、伸びてきた白髪は1、2週間に1度くらいの間隔で自分でタッチアップして染めていました。手間も時間もかかっていました。

── 昔から白髪が多くてコンプレックスだったそうですね。
Matsukoさん:家系なのか、小学校のときから白髪がちょこちょこあり、目立っていたんです。5歳から17歳までアメリカの方に住んでいまして、向こうはいろいろな髪色の人がいましたが、通っていた日本人学校では「悩み事たくさんあるの?」と心配されたり、下級生に「おばあちゃんみたい」と心ないひと言を言われたりしました。
言っている側も子どもなのでしょうがないんですけど、当時は自分も子どもなのでストレートに受けとって周りのお友達と違うことにすごく悩みましたね。白髪を隠すために分け目を変えたり、結んでみたりして毎朝鏡の前で白髪と格闘していました。
大学入学後は念願のカラーリングをすることができて、そのあいだは白髪を気にすることはほとんどなかったように思います。カラーは大学生のころからやめることなく、20年以上染め続けていました。
── 長年続けていた白髪染めをやめ、グレイヘアにしようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか。
Matsukoさん:40代半ばから後半にかけて、髪が薄くなってきたように感じて分け目が気になり始めたんです。美容室でも髪を乾かしていただいてるときに「頭皮乾燥してますね」とか「赤くなってますね」と頻繁に言われていました。それで、白髪染めをそろそろやめたいと思っていたんです。
でも、当時高校生だった娘に「お母さんにはかっこよくいてほしい」「友達に会ったときにおばあちゃんみたいと思われるのが嫌だ」と言われました。グレイヘアに対してポジティブなイメージがなかった娘の気持ちを尊重したくて、カラーリングを続けました。その数年後、娘が大学生になり、授業参観などでお友達やほかの親御さんにお会いすることがなくなったので、そろそろ自分の好きなようにしてもいいかなと白髪染めをやめる決断をしました。
あと、娘が大学生になったときに会社勤めをやめたんです。それまでシングルマザーとして、ひとりで子どもを育てるために人生の約8割を仕事に費やしてきましたが、これからは自分の好きなことに携わりたい、もっと自分の時間を大切にしたいと時間の使い方の整理を始めました。その一環で、白髪をケアする時間をなくせば、好きなことをできる時間がもっと増やせるとも考えました。
── グレイヘアになるのは大きな決断だったと思います。
Matsukoさん:白髪染めをやめたいと思うまでは、「白髪は染めるのが当たり前」という考えでグレイヘアという概念はまったくありませんでした。でも、インスタグラムで海外のヘアメイクアーティストの方が白髪染めを繰り返していた方達を、とてもきれいなプラチナヘアに変身させるの見て「白髪ってかっこわるくないんだ!」と思い、それが結果的にグレイヘアになるのをあと押ししてくれました。
また、私はいったい誰のために白髪染めをしてたのかなと考えたときに、私自身にも世間にも「老けてはいけない」という考えがあると気がつきました。そのとき、年をとることを受け入れたら、自分自身をより大事にできてハッピーになれるんじゃないかと思ったんですよね。
もちろん「若くいたい」という気持ちやアンチエイジングを否定するわけではなくて、この多様性の時代なので、グレイヘアも素敵だし、白髪を染めてもいい、髪がピンク色でも緑色でもいい。誰がどんな髪色でもどんな服を着ていても、自分を大事にしているならばいろんな自由があっていいんだと思ったんです。
自分の個性をもっと早くに掘り出してたら
── グレイヘアにしようと決めてからどんなことから始めたのでしょうか。
Matsukoさん:最初は美容室で全体にメッシュをいれて白髪をなじませて、白髪染めをやめました。すると、これまで続けてきたカラー剤の影響なのか、どんどん金髪のようになってきたんですね。少し派手な印象になってしまったので色を落ち着かせながら、伸びてきた白髪をなじませるため、カラートリートメントを使うようになりました。

カラートリートメントは、髪を一時的に染めながらトリートメントもできるアイテムです。ただシャンプーの度に色が落ちるので、使わなければまた元の色に戻ってしまいます。グレイ部分が肩につく長さになるまで1週間に1、2度はカラートリートメントを続けて、髪が伸びた段階でばっさり肩の長さで切りました。今はもうカラートリートメントもやめて、自然のままの色ですね。
「白髪を伸ばすなかで見た目の汚さに負けてやっぱり染めてしまいます」と相談を受けることもありますが、そんな方にはカラートリートメントを使いながら伸ばすことをおすすめしています。
── Matsukoさんは自分がグレイヘアになっていく様子をどんな思いで受け止めていたのでしょうか。
Matsukoさん:最初の数ミリの白髪が伸びだしたころはひと目が気になり、ヘアマスカラを使ったりして隠していました。でも、耳上ぐらいまで白髪が伸びると周囲から「いい色」とか「バレイヤージュ(明るい色を部分的に入れて立体感を出すカラーリングの一種)みたい」と言われることが増え、「あれ?もしかしてかっこいい感じになってきてるのではないか?」と気持ちが前向きに変わっていきました。
グレイヘアになった今は、出かけるたびに必ずといっていいほど髪色について声をかけていただけるようになりました。「私だけの、とびっきり私らしい個性だ!…もっと早くに掘り出してあげたらよかった!」と思えるぐらいに、髪色に自信が持てています。
── グレイヘアになったことで「コンプレックスだった白髪がチャームポイントになった」とSNSで発信されていました。
Matsukoさん:街で声をかけられたり、SNSで「かっこいい」とコメントをもらえたことで「私がやったことは正解だったんだ」と自信に繋がりましたね。人と違うことに悩んでいた頃の自分に「何も気にしなくていい。自分は自分でいいんだよ」って教えてあげたいです。
── ポジティブな変化があったのですね。髪の毛や頭皮の状態には変化はありましたか。
Matsukoさん:前はシャンプーのあとに排水口を見ると、髪の毛がすごく抜けていましたが、完全にグレイヘアになってからは減った実感があります。あと、髪が増えたのか、ハリが出てきたのかはわからないんですが、髪を束ねたときに以前より太く感じますね。先日美容室でも「頭皮も髪質もすごくきれいで、健康」と言っていただきました。
── 本当にきれいな髪でいらっしゃいます。何か特別なケアをされているんでしょうか。
Matsukoさん:グレイヘアになるまではあまり髪のケアにこだわっていなかったんです。ただ、白髪ってツヤが出にくくてパサついて見えてしまうので雑誌などを読んでケアをするようになりました。
たとえば、お風呂入る前にブラッシングをして髪についたほこりや汚れをとること。シャンプーの前の予洗いとシャンプー後のすすぎをしっかりすること。あと、お風呂の中でインバストリートメント、ドライヤーの前にアウトバストリートメントをつけること、それからドライヤーした後にもう 1 度トリートメントをつけることを習慣にしています。でも、インスタグラムでこういうケアをしていますと投稿したら「普通のことでは?」とのコメントをいただきまして…。それまであまりにやってなかったんだなと反省しました(笑)。
反対していた娘からの意外な反応

── 反対されていた娘さんの反応はいかがでしたか。
Matsukoさん:もう今は「かっこいい」って言ってくれます。とてもうれしいいっぽうで、そんな反応ならばもっと早くやってみればよかったなとも思ったりして(笑)。23歳の息子もいるんですが、「いいじゃん!」とほめてくれますね。
── Matukoさんのようなグレイヘアにあこがれるけれども一歩踏み出せないという方も多そうです。
Matsukoさん:SNSや街なかでもグレイヘアにする方法を尋ねてくださる方が多いです。私は専門家ではないのでちゃんとしたアドバイスはできないんですけれど、もしグレイヘアに興味があるのであれば一度試してみることをおすすめします。白髪に関しては「やっぱりダメだ」って思ったら次の日にはすぐ染められますから(笑)。
白髪の生え方について悩んでいる方も多くて、たとえば「私はこめかみしか白髪がなくて、老けて見えるから無理なの」と話してくださる方もいらっしゃいます。そんな場合は天然のフレーミングカラーやイヤリングカラーだと思ってみてはどうでしょうか。私がSNSでフォローしている方で、顔周りだけの白髪をメッシュみたいにわざと表に出している方がいてとっても素敵なんです。そんなふうに自分の個性として楽しんでみたらいいのではと思います。
── それぞれ違うからこそ、さまざまなグレイヘアの楽しみ方がありそうですね。今後、挑戦したい髪型などありますか。
Matsukoさん:ロングヘアの期間が長いので、ハンサムショートに挑戦してみたいですね。あと、美容師さんに毛先だけ色を入れるとコントラストが出てレイヤーが目立つよって教えていただいたので、そんなグレイヘアを活かすカラーも楽しんでいきたいです。
取材・文/阿部祐子 写真提供/Matsuko