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K-POPイベントにおいて、白いシュシュを着けた女性スタッフの対応が乱暴だったなどとして、5月12日にはXで「シュシュ女」がトレンド入りする事態に発展した。

報道によると、問題視されたのは、5月9日から11日に開催されていた韓国カルチャーイベント「KCON JAPAN 2025」での「剥がし」担当、つまりファンとアイドルの接触を管理・誘導する女性スタッフの対応だ。

Xでは、この女性スタッフの剥がし行為と見られる映像が拡散。「強引」「急かしすぎ」などのコメントが寄せられた。同時に、このスタッフを特定しようとする動きが加速。真偽は不明ながらも、本人の顔写真や住所、勤務先とされる情報がSNS上に投稿されている。

このようなインターネット上での「晒し行為」には、どのような法的問題があるのか。インターネット問題に詳しい清水陽平弁護士に聞いた。

●「晒し行為」はプライバシー権侵害の可能性

個人を特定してネット上に晒す行為には、名誉毀損、肖像権侵害、プライバシー権侵害など複数の法的問題が生じる可能性があります。

たとえスタッフの対応に問題があったとしても、その人物を特定し個人情報を拡散することは別問題です。特に本件では女性スタッフのSNSアカウントや派遣会社名まで特定されており、プライバシー侵害に当たる可能性が高いと言えます。

●公共性は認められない可能性が高い。

名誉毀損には、公共性など一定の事情がある場合、違法ではなくなる可能性があります。

しかし、仮に批判対象となった行為に何らかの問題があったとしても、それを指摘するなら容姿が判別できないようモザイク処理などをすべきです。あえてそうした配慮をせずに情報を拡散することは、「報復的目的」があったと見られても仕方ありません。

個人情報を特定して公表する行為は、もっぱら「興味本位」の行動であり、まとめサイトなどでの拡散は「アフィリエイト報酬目的」である場合も多く、いずれも法的に保護する必要性に乏しいといえるでしょう。

●「名誉毀損罪や侮辱罪で刑事責任」を問われる可能性も

イベントスタッフなどの対応に問題があった場合は、主催者や運営会社に適切に苦情を伝えるべきです。SNSで批判するにしても、個人を特定できる情報は避け、問題となった行為自体への批判にとどめるべきでしょう。

特定・晒し行為をした側が、名誉毀損罪や侮辱罪で刑事責任を問われたり、民事訴訟で損害賠償を請求されたりするリスクもあります。

一時的な感情に任せた行動が、予想外の重大な結果を招く可能性があることを理解すべきです。

【取材協力弁護士】
清水 陽平(しみず・ようへい)弁護士
インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力しており、総務省の「発信者情報開示の在り方に関する研究会」(2020年)、「誹謗中傷等の違法・有害情報への対策に関するワーキンググループ」(2022〜2023年) の構成員となった。主要著書として、「サイト別ネット中傷・炎上対応マニュアル第4版(弘文堂)」などがあり、マンガ・ドラマ「しょせん他人事ですから〜とある弁護士の本音の仕事〜」の法律監修を行っている。
事務所名:法律事務所アルシエン
事務所URL:https://www.alcien.jp