関東大学選抜戦で好プレーを見せた西谷。写真:梅月智史

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 正確な技術と相手の虚をつくパス。テンポ良くボールを回した前半、東京ヴェルディユース育ちのプレーメーカーがパスワークの中心にいた。

 4月18日、U-20日本代表候補は関東大学選抜と対戦。2日間のショートキャンプを締め括るトレーニングマッチは、FW千葉寛汰(徳島)の2得点とFW河野孝汰(山口)のゴールで、U-20代表が3−0で勝利した。

 5月20日に開幕するU-20ワールドカップまで残り1か月を切った。最後の選考合宿での一戦は、選手たちにとってラストサバイバル。試合が始まる8時間前にアルゼンチン(インドネシアで開催予定だったが、3月29日に開催権剥奪)が新たな開催地として正式に決定しており、選手たちのモチベーションは今まで以上に昂っていた。

 そうしたなかで、中盤で存在感を示していたのが、MF西谷亮(東京V)だ。

 10番を託された司令塔は3−4−2−1のシステムでボランチを任されると、ヴェルディ仕込みの技術を如何なく発揮。的確な位置にポジションを取り、ボールを捌いて攻撃を活性化させていく。

 もちろん無難にプレーするだけでなく、ここぞという局面では鋭いパスを入れて決定的な場面を演出した。38分には正確なクロスをCBヴァンイヤーデン・ショーン(横浜FC)に届け、河野のゴールをお膳立て。前半の出来は目を見張るものがあった。
 
 ハーフタイム後に相手がメンバーを総入れ替え。U-20代表はフレッシュな選手たちに苦戦し、主導権を握られる展開となった。西谷は前半ほどボールを受けるシーンはなかったが、強度の高いプレーでチームを引き締める。68分に退いたが、らしさを発揮してメンバー入りをアピールした。

 試合後、西谷は自身の出来をこう振り返る。

「インテンシティはすごくクラブでも求められている。強度は去年からずっと積み上げてきたもの。それを発揮できた。ただ、まだ足りていない部分もありましたね」

 課題を口にしつつも、手応えを明かした西谷。また、クラブで与えられているタスクよりも代表では自由度が高く、そうしたシチュエーションで自身の強みをより出せたのだろう。西谷は言う。

「ボールを保持して、前進していく。そして、隙があれば、背後にボールを蹴る。そういうサッカーは自分にとってやりやすいし、良さも出せる」

 4月上旬のショートキャンプには、直前の怪我で参加ができなかった。今回に懸ける意気込みは並々ならぬものがあっただけに、最後の活動でアピールできた価値は計り知れない。
 
 元々、東京Vユース時代から世代別代表には度々招集されており、期待値が高かった選手。しかし、U-20アジアカップの一次予選と本大会はメンバーから漏れた。

「僕たちはU-20ワールドカップで世界一を取るために戦うというのをずっと言われ続けてきた。メンバーに入るために、今日は仲間としてやっているけど、みんなライバル。Jリーグに出場して結果を出さないといけないというのは、去年ずっと感じていたこと。残り1か月しかないけど、Jリーグで試合に出ないと代表に呼ばれない」

 西谷が危機感を口にした通り、ボランチは激戦区。今回の活動には呼ばれていない松木玖生(FC東京)、佐野航大(岡山)、山根陸(横浜)といったU-20アジア杯出場組は、Jの舞台で出場機会を得ており、海外組の福井太智(バイエルン?)も本大会ではメンバー入りの可能性がある。そうしたライバルたちの活躍を目の当たりにし、とりわけU-20アジア杯に参戦できなかったことは、悔しさが増幅したという。
 
「アジアカップに呼ばれず、本当に悔しかった。自分に何が足りないのかは映像を見て痛感させられた。攻撃の部分は自信があって他の選手に負けないけど、守備の強度はまだまだ」

 新たな刺激を受けたからこそ、クラブでは新たなトライも試みている。小倉勉コーチの助言で上半身の強化に励み、ハンドオフで相手を抑えながらキープする技術の習得に着手。今回のトレーニングマッチでは上手さに加え、力強いプレーでボールを運ぶシーンもあった。

 メンバー争いを勝ち抜くのは容易ではないが、チャンスはある。残された期間で出場機会を増やし、冨樫剛一監督にアピールができるか。“ヴェルディ育ち”のテクニシャンはメンバー入りを目ざし、最後の最後まで結果を求めて走り続ける。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

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