「神楽坂で和食」の最高峰はここだ!大人が心からほっと寛げる名店2選
神楽坂は和食の街。その印象を決定づけた存在が、この『神楽坂 石かわ』だ。
2009年から13年連続で三ツ星を獲得。さらには、神楽坂界隈に4店舗を展開し、いずれも予約は数ヶ月から数年待ちという状況だ。
なぜ、同店はこれほどに人を惹きつけるのだろうか…。
神楽坂という土地が育んだ名店の凄みを紐解いていく。
1.石畳の街に馴染む黒壁の存在感に高揚する
『神楽坂 石かわ』

2003年に産声を上げた『神楽坂 石かわ』。当時は現在の『虎白』の場所でお店を営んでおり、2008年に現在の場所に移転した。石川さんがお休みの際は、江藤料理長による『豊後もん 江とう』が不定期開催される
神楽坂のランドマーク「毘沙門天 善國寺」。
ここが『神楽坂 石かわ』。三ツ星を13年にわたり取り続けている日本料理店だ。

1965年、新潟生まれ。20歳で上京し、料理の道を歩み始めた石川秀樹さん。「上京したての頃はフリーターだったんですよ」と笑う。さまざまな人生経験が、現在の石川さんの料理哲学を生み出しているのだろう
主人の石川秀樹さんが店を構えたのは、2003年のこと。
「独立したのは37歳の時。縁あって神楽坂に店を出すことになったのですが、古くから続く店も多く、歴史を感じる街ですね。新参者でも温かく迎え入れてくれました」
それから20年。近隣に4店舗もの系列店を持つ“石かわグループ”は、今や神楽坂のもうひとつの顔といっても過言ではない。
文化人が愛した粋な花街としてのイメージを持つ“神楽坂らしさ”を大切に、と考える石川さん。
「住宅地と繁華街が交錯する神楽坂は、独特の趣を持つ魅力的な街。この街に育ててもらった恩を返していきたい」と語る。
神楽坂から世界へと名を轟かす、まさに名店といえよう。
一見シンプルな料理も、ひと口食べれば感涙ものの深い味わい

春先のコースより、「菜の花とハマグリ」。イクラのソースは、裏ごしした醤油漬けイクラに卵黄と出汁を合わせたもの。日本最高峰の食材を使った四季折々の料理を楽しめる「コース」は48,400円(サ別)
「何でもないものが何でもなく出てきて、何ということもなく食べ終わる。けれども、食べた後、美味しさがじんわりと込み上げてきて、また来たくなる。そんな料理を作っていけたら最高ですね」
穏やかにこう語る石川さんのひと言には、“無為自然”という老子の思想が静かに息づいている。
作為なくあるがままを良しとするその料理哲学は、菜の花とハマグリをあしらったシンプルな写真のひと皿からも窺えよう。
国産食材にこだわり、春の味覚を取り合わせたそれは、一見、何の変哲もない。
だが、本来の自然な旨みを全面に引き出すべく67〜68℃の温度帯でゆっくりと火を入れたハマグリは、思わずため息が漏れるほど柔らかくジューシー。見た目だけではわからない手間暇が、味の決め手となっている。
一方、醤油漬けのイクラを裏ごししたソースでアクセントをつけるなど、食材の組み合わせの妙から生まれる新味もまた、“石かわ”の料理の真骨頂に他ならない。
神楽坂の各所に浸透する“石川イズム”が、街を格上げする

神楽坂に居並ぶ5軒中、4軒が星を持ち、各店共に高い評価を得ている。系列店でありながら、各々の店がそれぞれに個性を発揮。仕入れも店ごとだという。“石かわ”の料理を継承しつつ、オリジナルな味を目指している
自ら店に立つ『神楽坂 石かわ』をはじめ、『虎白』、『波濤』、『NK』、『愚直に』と神楽坂だけでも5店舗、その他、銀座『蓮 三四七』や『帝国ホテル 寅黒』等々、数多の店の主を育ててきた石川さん。
そこには、石川イズムともいうべき独自の行動指針がある。
弟子といえども対等に向き合い、一緒に料理を志す者として思いを共有。共に成長し、心を育む。
そして、若くても資質があれば率先して料理長に抜擢。一旦、店を任せたら信頼して任しきる。
「口は一切出しません。モチべーションを下げてしまうだけだから」と石川さん。
だからこそ、任された人間は各々責任を持って本分を果たし、期待に応えるべく切磋琢磨するのだ。
■店舗概要
店名:神楽坂 石かわ
住所:新宿区神楽坂5-37 高村ビル 1F
TEL:050-3138-5225(予約専用)
営業時間:17:00〜
定休日:日曜、月曜、祝日
席数:カウンター7席、テーブル4(18席)

2.本多横丁入口にある雑居ビル4階の静謐な空間で、和食の神髄を知る
『愚直に』

グループの店では、唯一厨房の様子がすべて臨めるカウンター席
神楽坂の横丁の中でも、最も栄える本多横丁にオープンして3年。看板もさりげなく密やかに佇む割烹が『愚直に』だ。
ユニークなネーミングは、大将・大塚将人さんの座右の銘にちなんだものだとか。
「石川の大将から好きな言葉は?と聞かれて“愚直”と答えたんです。そうしたら、それがそのまま店名になりました」
その言葉通り、料理に対してもお客様に対しても、常に真っ直ぐでいたい……との思いが、この店名には込められている。

親方と弟子の間柄というよりも、息子と父のような大塚将人さんと石川秀樹さん。年末にはグループ総出で、おせち作りに勤しむなど、絆の強さが石かわイズムの根源だ
長野出身の大塚さんが、料理の世界に入ったのは18歳の頃。
『赤坂 菊乃井』で5年間修業後、香港に渡り研鑽を積み、石かわグループに入ったのは8年前、26歳の頃。
「香港から“石かわ”にラブコールしました」と、大塚さん。
この時、すでに和食歴8年選手の大塚さんだったが、同店では、それまでの店とは少し違う空気感を感じたのだとか。
それは、どんなに忙しくても、仕事に追われていても、常にお客様本位。自分の都合はさておき、100%お客様目線で向き合う石川さんの姿勢に、深く感銘を受けたという。
そして、その石川イズムは「お客様に喜んでもらえるのが何よりうれしい」と微笑む大塚さんにも、しっかりと受け継がれている。
イズムを継承しつつ故郷の要素を入れるなど、個性を生かした料理の数々

赤貝や氷魚(鮎の稚魚)、ウドに菜の花など春の味覚を取り合わせた「酢の物」。下に黄身酢を敷き、上から土佐酢ジュレをかけ、木の芽を散らしている
隠れ家を思わせる店内は、カウンター8席をメインにしたこぢんまりとした空間。
静謐な空気の中、席からは右手の厨房を臨むことができ、オープンキッチンの活気が程よいスパイスとなっている。
「奇を衒わず、シンプルで美味しい料理を心がけています」
きっぱりと語る大塚さんの言葉を反映するように、コースを彩る料理は決して派手ではないが、実直な美味しさを堪能させてくれる。

「ゴボウの摺流し白味噌仕立て」。椀種は、焼いたふぐの白子と海老芋。ややさらっと仕上げた白味噌の塩梅も上々
例えば、「ゴボウの摺流しの白味噌仕立て」。和食の花形的存在のお椀ながら、見た目はかなり控えめ。
だが、使うごぼうを厳選。糖度が高くアクの少ない北海道の和田ごぼうを取り寄せるなど、素材の吟味に抜かりはない。
そっと蓋を開け、一口啜れば、ごぼうの柔らかな土の香りにまろやかな白味噌の甘みが優しく絡み、旨みがじんわり広がっていく。
そこに、椀種のふぐの白子が合わさることで、よりまったりとして重層的なコクとなり、深い余韻を舌に残す。

大塚さんが長野出身ということから、蕎麦はコースの定番メニュー。更科蕎麦を、その時々の旬の食材と合わせて提供。写真は、花わさびと新海苔。すべて「おまかせコース」27,500円(サ別)より
旬の味をバランスよく組み立てたコース料理の数々は、高級食材にばかり頼ることなくやり過ぎない自然体の美味が身上だ。
■店舗概要
店名:愚直に
住所:新宿区神楽坂4-3 近江屋ビル 4F
TEL:050-3138-5225(予約専用)
営業時間:17:00〜
定休日:日曜、月曜、祝日
席数:カウンター8席、テーブル4席
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「神楽坂で和食」といえば、真っ先に名の挙がる『神楽坂 石かわ』。
『愚直に』をはじめとする系列店も、石川イズムを継承しながら独自の個性を発揮し、ファンを魅了している。
それぞれのお店を経験し、この街が誇る和食の真髄を味わっていただきたい!
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※コロナ禍の状況につき、来店の際には店舗へお問い合わせください。
