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レクサスLXに見知らぬAirTag

横浜市内でスーパーカー専門店「アルティメットガレージ」を経営する青木さんは、1月のある日、会社で所有しているレクサスLX570に乗ると「AirTag(エアタグ)はあなたと一緒に移動しています」と通知が来ることに気づいた。

【画像】こんな場所になぜAirTag(エアタグ)が?【レクサスLX盗難の前兆】 全42枚

その日を境に青木さんだけではなく、社員のアイフォーンにも同様の通知が届くようになった。


青木さんの経営する会社で所有しているレクサスLX570に見知らぬAirTagが仕掛けられていた。    レクサス

もしかして、誰かがAirTagをLXに仕掛けたのではないか? LX盗難のニュースをたびたび見ていた青木さんは、会社のLXが狙われているのかも? と感じた。

しかし、LXに仕掛けられているかもしれないAirTagをスタッフとともに探したが、車内はもちろん、下まわりを探しても見つからなかった。

自力で発見できない場所に仕掛けられている可能性もあるのでは、ということでLXをレクサスのディーラーに持ち込み、リフトで上げて徹底的に調べてもらったところ……意外に近い場所からAirTagが発見された。

ご丁寧に丸く小さなケースに入っており、ケースには「B」と記されていた。

青木さんにその時の様子を伺った。

――AirTagはどこから見つかったのでしょうか?

「車体の底、後ろのタイヤ近くに黄色い蓋がついたケースが磁石で取りつけられていました。探しても見つからなかったまさに完全な死角でした」

「ですが、クルマの下にもぐったり、リフトで上げたりする必要はなく、クルマの下から手を伸ばして取り付けられる場所でした。取り付ける際に時間や手間は掛かっていないでしょう。そして、AirTagが入っていたケースには『B』と書いてありました。Bがあるなら、AもCもあるかもしれませんね」

――どこで取り付けられたと思われますか?

「1月の最初に羽田空港に5日間駐車していたことがありました。おそらくその時かなと思います。羽田空港に停まっているレクサスに手あたり次第、取り付けたのかもしれません」

AirTagでどんなことができるの?

青木さんは警察にも相談していた。しかし何の対応もなかったとのこと。

「AirTagが見つかる前に会社近くの戸部警察署に相談しました。話は聞いてくれたものの、クルマをみようともせず、捜査を始めるわけでもありませんでした。まったく動いでくれませんでした」


不審なAirTagを仕掛けられた青木さんはツイッターを通じて注意喚起をおこなった。青木さんの注意喚起によって盗難被害を未然に防いだケースもあるだろう。

そしてAirTag発見後、注意喚起のためにSNSで情報発信を始めた。

想像をはるかに上まわるリアクションで、通知が鳴りやまなかったという。

1月20日にツイッターに投稿し、現在までに閲覧数は約920万件、「いいね!」は4万件以上ついている。

青木さんの注意喚起で愛車にAirTagが仕掛けられたことに気づき、被害を未然に防いだケースもあるだろう。

ちなみに昨年10月20日AUTOCAR JAPANに「盗難被害レクサスLC エアタグ使って2時間で発見! 純正アプリより役立つ? エアタグの有効性を検証」という記事を書いた。

こちらはオーナー自身がLCに複数のAirTagとGPSをセットしていたこと、警察が追跡に全面協力してくれたことで早期発見につながった。

この原稿を書いた時、逆のパターンはあるのだろうかと考えた。

つまり、盗む側が狙いを定めたクルマにAirTagをセットし、ふだんの保管場所などを特定してクルマを盗むことができるのかどうか? ということである。

オーナーや同乗者がアイフォーンユーザーなら愛車に不審なAirTagが仕掛けられていることはすぐにアラート(警告通知)が行くことでわかるだろう。

実際、前述の青木さんは自身のアイフォーンに通知がきたことでLXに仕掛けられた見知らぬAirTagの存在に気づいている。

その通知とは「AirTagはあなたと一緒に移動しています」という警告メッセージである。

このメッセージはアイフォーン所有者が確認して削除するまで固定メッセージとしてずっとアイフォーン画面に残る。

盗難の前兆? 通知が出たら……

AirTagは本来、ペアリング(登録)したアイフォーンとセットで使う探し物を見つけるためのアイテムである。

例えば財布の中にAirTagを入れておいて、財布を無くしてしまった場合、登録したアイフォーンの「探す」機能を使ってAirTagの場所を検索することができる。


AirTagが仕掛けられると「AirTagはあなたと一緒に移動しています」という通知が届くという。    アップル

AirTagにはスピーカーが内蔵されており、「サウンドを再生」をタップすると、音で場所を知らせてくれる。

さらにアイフォーン11以降であれば「正確な場所を見つける」機能によってAirTagまでの距離と方向を教えて誘導してくれる機能も追加された。耐水性能もありバッテリーは1年以上もつ。

簡単に入手できるボタン電池(CR2032 3V)で交換のタイミングも登録したアイフォーンに通知が行く。1個4780円(税込)、4個セットで1万5980円(税込)で販売されている。

もし、「AirTagはあなたと一緒に移動しています」というメッセージがあなたや近くにいる人のアイフォーンに表示されたら、ほぼ100%、誰かが意図的にAirTagを仕掛けていると思っていい。

また車外に設置されているとわかりづらいがアイフォーンユーザーであれば見知らぬAirTagが一緒に移動していると、そのAirTagから警告音が鳴らされる。それで気づく人も多いだろう。

クルマの近くでそのメッセージが出る場合は「自宅場所を特定してあとで盗みに行く」という盗難に関わる危険がすぐ近くに迫っていることを意味する。

このほか浮気調査などでクルマによる「行動履歴を知る」目的もあるだろう。

望ましいことはその場ですぐにAirTagを見つけて電池を抜き、相手に居場所をこれ以上追跡されないようにすることである。

ちなみにアンドロイド端末でも専用アプリ「トラッカー検出」(所有者から離れた場所にある、アップルの「探す」ネットワークに対応)によってAirTag設置に関するアラートは出されるようになっている。

仕掛けたのは誰? 知る方法は?

見知らぬAirTagの電池を抜く際、絶対にやってはいけないことがある。

それは、普段、クルマを置いている駐車場の近くでその作業をすることだ。


NFC対応のスマートフォンでAirTagに触れる→AirTagの裏ブタを外して電池の下を調べるという手順でAirTagのシリアル番号を調べることができると筆者。    アップル

電池を抜くと相手のアイフォーンには「最後の場所」が表示されるため、自宅駐車場の場所がバレバレになる。

場所を特定され、ストリートビューの画像などに目当てのクルマが写っていれば照合されてクルマの保管場所が確実に知られてしまう。

「AirTagはあなたと一緒に移動しています」という警告が出た場合には極力、家から離れた場所で探して電池を外して作動しないようにするのがベスト。

そして、電池を外したAirTagは決してその場で捨てずに家に持ち帰ること。それは、所有者を特定するための証拠品になるからである。

誰が仕掛けたのか? それを知るにはまずAirTagのシリアル番号を調べることから始まる。

アップル社の公式サイトに「AirTagのシリアル番号の調べ方」として紹介されているが、簡単にまとめておきたい。

1.NFC対応のスマートフォンでAirTagに触れる

アイフォーンの場合、2014年以降に発売されたアイフォーン6/6プラス以降にNFCチップを搭載している。

アイフォーンやアイフォーン以外でもNFC対応のスマートフォンでシリアル番号を知ることが可能だ。

AirTagの白い面に触れ、そのままかざす。

表示される通知をタップすると、ウェブページが開きそのAirTagのシリアル番号が表示される。

画像では電話番号が表示されているが、これは、先方(仕掛けた犯人)がAirTagを紛失モードにしているときだけ。

2.AirTagの裏ブタを外して電池の下を調べる

AirTag本体の裏ブタを開けてAirTagの電池を外すと、その下にシリアル番号が表示される。

万が一、シリアル番号が削り取られていた場合でも「1」の方法で知ることができる。

シリアル番号がわかったらそこから先の情報(所有者の氏名や電話番号、住所など)は個人情報となるため、シリアル番号がわかったらAirTag本体とシリアル番号を持参して最寄りの法執行機関(警察)に相談してみよう。

警察はそのAirTagに関する情報の開示をアップルに求めることができる。アップルに直接聞いても知ることはできないが警察を通じて所定の手続きをおこなえば、あなたのクルマにAirTagを仕掛けた相手の氏名や、住所電話番号など相手がアイフォーン契約時に提出した内容がわかる仕組みだ。

AirTag使用 盗難被害に遭わないための注意点

では最後にAirTagを使っての盗難被害に遭わないための注意点を上げておきたい。

愛車がレクサスLXやランドクルーザー、プリウス、ハイエース、RX-7(FD)、70/80スープラ、スカイライン(32/33/34)、シビックタイプR全世代、ランエボ、インプレッサなどなど、新旧の「盗まれやすいクルマ」の場合はとくに注意が必要だ。

アイフォーンユーザーなら通知に敏感になるべきだし、前述したようにアンドロイドユーザーならAirTag検出のアプリ「トラッカー検出」をグーグルプレイなどのアプリストアでインストールしておこう。

また、空港など比較的長時間駐車をするクルマが多い駐車場に停めた後も通知に敏感になるべし。

盗難された人の多くは、「まさか自分のクルマが盗難にあうとは思わなかった」という。

前述した「盗まれやすいクルマ」はもちろん、90年代の「高性能ガソリンエンジン」を積んだクルマのオーナーも同様に気を付けて欲しい。