座席の背もたれを水平になるほど倒して、体をひねったような状態で運転しているドライバーを見かけることがあります。いわゆる「ヤンキー運転」などと呼ばれるこうした運転姿勢は、道交法上、問題ないのでしょうか?

「ヤンキー運転」は運転初心者がやりがち?

かつて、筆者が勤務していた教習所では、検定前に座席の背もたれを思いっきり倒して運転しようとして、注意されていた教習生がいました。

もちろん検定前に座席の調整をすることは認められていますが、あきらかに座席の背もたれに背中を付けずに運転しようとしていたため、検定員の注意、指導が入ったのです。

この教習生は、普段の教習から座席を倒したがっていましたが、そのたびに注意されていたようです。

こうした「ヤンキー運転」について、教習所で検定員を務める現役教官に話を聞きました。

「そういった姿勢での運転は、とっさの危険に対応しにくくなるだけでなく、視界が狭まり車の周囲の状況を把握しにくくなるというデメリット、危険性があります。

まだ免許を持っていない人や、運転歴が浅い人は、こうした正しくない運転姿勢になっていることが多いと思いますね。

運転に慣れているベテランドライバーで、座席の背もたれを思いっきり倒して運転をしている人はほぼいないはずです。」

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また、道路交通法第70条には「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」と記載されています。

運転席の座席を倒して体をひねったような状態では、ハンドルやブレーキを確実に操作できない可能性があります。仮に、この姿勢で運転して事故を起こせば、どのような状態(姿勢)で運転していたのか問われる可能性が高いでしょう。

正しい運転姿勢とは「確実な操作」ができる姿勢

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運転姿勢については、いくつかの決まり事があります。しかし、車種や運転する人の体格によって変わってきます。そこで万人に共通して言える「正しい運転姿勢」のポイントをいくつか紹介しましょう。

まず、運転席に座ったら、背中を背もたれに付けて腰を深くして座ります。そのときにブレーキやアクセルが確実に踏めない場合は、座席を前後に移動して調整します。

次にハンドルの位置を調整します。ハンドルは円形ですがてっぺん(ハンドルの上部分)が座席から一番遠い位置にあります。ハンドルのてっぺんを持ったときに、肘がわずかに曲がるくらいにして背もたれの角度を調整します。

そのほか、運転中に操作するシフトレバーやスイッチ類を確実に操作できる位置に座っているかを確認します。

ここから先は、ドライバーの好みによって、さらに座席を後ろへ下げたり、座面の高さを調節したりします。

つまり、正しい運転姿勢とは「確実な操作」ができるかどうかなのです。少しくらいペダルから足が近かったり遠かったりしても、ドライバー自身が確実に操作できるのであれば、それは正しい運転姿勢と言えるわけです。

正しい運転姿勢であれば、ひとつひとつの操作に無理がなくなり、疲れにくくなるとも言われています。運転中に「背筋を伸ばして正しい姿勢で運転しろ」とまでは言いませんが、ハンドルを握ったら、運転に支障のない姿勢で運転することをおすすめします。