しまむら「円安でも強気賃上げ」のナゾ。弱気が目立つユニクロと何が違う

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―[あの企業の意外なミライ]―

◆円安、原価高騰のあおりを受けるアパレル業界

 小売企業は円安と原価高騰のダメージが大きい業界のひとつです。その小売りの中でも特に影響が大きいのがアパレル業。

 ユニクロを展開している業界最大手、ファーストリテイリングの柳井正・会長兼社長が「円安のメリットは全くありません。日本全体からみたらデメリットばかりだ」と発言したことも記憶に新しいですね。アパレル業界は、為替市場での円安の進行、原材料高などに対する懸念が指摘されています。

 しかし、そんな逆風でも好調を維持している企業もあります。

 それが同じくアパレル業大手の株式会社しまむらです。しまむらは「ファッションセンターしまむら」を筆頭に全国で衣料品チェーンを展開しています。

 この先行きが不安な状況下でしまむらは全体で5.6%もの賃上げも敢行。「物価は上がってるのに、給料は変わらない」という不満を口にする人も多い中、しまむらはその例外として賃金があがっているのです。

 もちろん賃上げを実現できたのは利益が拡大しているからです。なぜ、しまむらは好調なのか。その理由を探っていきましょう。

◆しまむら、1Qの売上は過去最高を更新

 アパレル業界売上高1位のユニクロ・柳井氏が円安への懸念を露わにするなかで、業績好調の業界2位のしまむら。対照的な2社の現状となりましたが、改めてしまむらの直近の業績を簡単に紹介します。

 6月27日に公表された決算資料によると、2022年第1四半期の売上高は前期比5%増の1493億円。この売上はしまむらの第1四半期としては過去最高です。

 また、通期の予測でも2022年2月期の売上高は前期比3.9%増の6066億800万円、営業利益は同5.3%増の520億5800万円、経常利益は同4.8%増の529億9800万円と、すべて過去最高となる見通し。その背景もあり、しまむらは賃上げに踏み切りました。

 全体で5.6%の賃上げを実施した影響で、人件費は5%増加、電気料金の値上げにより、水道光熱費は28%増となったにもかかわらず、過去最高を出しているのです。

 しかも、定番商品は「できる限り価格を維持」する方針だといいます。つまり、しまむらは今後も好調を維持できると見込んでいるということです。

 しまむらは円安・原料高の影響を受けていないのでしょうか。結論を先に述べると「影響は受けているが他社に比べると小さい」ということがしまむらの強さの秘訣にあります。どういうことなのか、具体的に説明していきます。

◆強すぎる!しまむらの自社ブランドの特徴

 エネルギー、仕入などの材料費、人件費の高騰でもなお、しまむらが強い理由の一つが、自社開発ブランド(PB)とサプライヤーとの共同開発ブランド(Joint Development Brand:JB)に力を入れているという点です。
 
 しまむらのみでなく一般的にお店に並んでいる商品の大多数はメーカー製造のナショナルブランド(NB)です。

 NBを商社や代理店から購入して販売しています。一方、PBは”自社開発”とあるように企画の段階から自社で実施します。PBの最大のメリットは自社で全てをまかなうことにより仕入れコストなどが発生せず安く販売できる点になります。PBはNB商品の2割〜5割程度安い価格で売られていることが多いです。

 では、JBの特徴はなんでしょうか。

 JBは、ブランド開発の段階からそれぞれの関係部署が集まったディレクション会議を開くなど、ヒット商品を作るために商品・売場・販促が日夜連携している点が特徴です。そして、しまむらではNBよりも、低コストなPBとJBで売上を伸ばしています。

 PB売上高は前年同期比 3.5%増、JB売上高は前年同期比 9.5%増。このように、しまむらは製造の段階から自社が采配を振るうことで円高・原価高騰の影響を最小に留め、そして売上も拡大させているのです。