カーナビTV解除キットの設置は違反?ながら運転罰則強化後、取締りは増えた?
自動車メーカーの純正カーナビには『テレビ・DVDが観れない』『画面操作ができない』といった制限がかけられています。これは「ながら運転」による事故や違反の誘発を防止するためです。
しかし、制限を解除するキットもカー用品店などで販売されており、使用することで走行中にテレビを映すことなどが可能となります。この制限を解除する行為は、違反行為に該当したりするのでしょうか?
ナビ・キャンセラーやテレビキットは違法行為ではないが…
カーナビの制限を解除するキットは、「ナビ・キャンセラー」「テレビキット」などの名称で販売されています。近年ではさまざまな車種・機種に対応したものが登場しており、ニーズの多さがうかがえます。
こういった制限の解除キットを用いて”解除する”ということ自体は特に問題なく、違法性もありません。
大手カー用品店のスタッフによれば、「カーナビの制限を解除すること自体は、特に違法ではありません。こういった解除キットはドライバーではなく、同乗者向けに販売されているものです。もちろんドライバーがカーナビを注視すれば違反となってしまいます。」とのこと。
解除キットはあくまでも”同乗者のためのもの”であるため、特に違法性はないとされているようですね。
しかし、ドライバーが走行中にカーナビの画面を注視した場合、スマホなどの使用と同様に「ながら運転」として違反に問われる可能性があります。
道路交通法第71条第5号の5では、「自動車又は原動機付自転車を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、(中略)当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと。」と定められています。
つまり、走行中はスマホなどの使用だけではなく、カーナビやテレビを注視してはいけないことも明文化されているのです。テレビ視聴はもちろん、行き先設定などの操作を行う場合でも、画面を注視することが多いため、違反となる可能性があります。
そのため、ディーラーでテレビやカーナビの制限解除を依頼しても、作業を断られるケースも多いようです。
■2秒以上画面を見ていると注視になる?
そもそも、「注視」がどれくらいの時間を指すのかも気になるところですが、具体的な時間は定義されていません。
国家公安委員会がカーナビ事業者などに示した告示の中で、「おおむね2秒を超えて画面を見続けること」という文言があることから、”2秒以上”が注視として判断される可能性が高いと推察されることがあります。
しかし、道路交通法で「2秒以上が注視にあたる」と定められているわけではありません。つまり「2秒未満=セーフ」ということではないので注意してください。
”カーナビ注視”による事故は”ながらスマホ”よりも多い
「ながら運転」といえば、スマホなどの使用が大々的に取り上げられていますが、実はカーナビ画面の注視による事故も多く発生しています。
令和3年の「携帯電話使用等」に係る交通事故の件数は1,394件。そのなかでもカーナビ等の注視に起因するものが666件と最多です。
携帯電話の画像目的使用は651件となっており、それ以前のデータを見ても、事故件数は「携帯電話の注視」よりも「カーナビの注視」のほうが多くなっています。
「ながら運転」が厳罰化されたのは2019年12月ですが、翌年には取り締まり件数が約60%減少しています。
この時期は新型コロナウイルスの感染拡大により移動の自粛などもあったため、少なからずその影響もあるかと思いますが、取締り件数は減少傾向が続いているため、厳罰化の効果はあったといえそうです。
統計年 取締り件数(携帯電話使用等) 2017年 915,797件 2018年 842,199件 2019年 716,820件 2020年 309,058件 2021年 290,735件警察庁:『道路交通法違反の取締り状況』より作成
近年のクルマは、カーナビ画面などのディスプレイが大型化してきています。そして制限解除キットによって利便性も向上し、ロングドライブでも同乗者がテレビやDVDなどの視聴をより楽しめるようになってきました。
しかし、解除キットはあくまでも”同乗者”のためのもの。テレビ視聴やナビ操作が可能だからといって、ドライバーが走行中に画面を注視するなどもってのほかです。
「ながら運転」の厳罰化の効果もあってか、事故・違反件数は減少しつつありますが、それでも昨年は30万件近くの取締りが行われています。
土地勘のない場所での運転やロングドライブなどにおいて、カーナビやテレビは非常に役立ちますが、画面を注視したばかりに、重大事故を起こしてしまっては取り返しがつきません。
ドライバーがカーナビを操作する必要がある場合は、必ず安全な場所に停車してから使用しましょう。
