世界最大のECサイトを運営するAmazonは、1日に多くの荷物を配達する必要があるため、配達業者と提携するだけでなく自社で配達ドライバーを確保したり、個人事業主に配達業務を委託するAmazon Flexのようなプログラムを運用したりしています。そんなAmazonの荷物を配達するドライバーの中には、雇用主から「Amazonが作成した安全運転監視アプリ」をオフにするよう指示されている者もいると報じられています。

Amazon Drivers Are Instructed to Drive Recklessly to Meet Delivery Quotas

https://www.vice.com/en/article/xgxx54/amazon-drivers-are-instructed-to-drive-recklessly-to-meet-delivery-quotas

Amazon delivery drivers were told to turn off safety apps to meet quotas - The Verge

https://www.theverge.com/2021/5/6/22423560/amazon-delivery-drivers-unsafe-reckless-driving-monitoring-app

Amazonは配達ドライバーが安全運転することを監視するためのアプリ「Mentor」を導入しています。このアプリはブレーキ・加速・速度・気晴らしなどの複数の変数に基づいて、ドライバーの運転スコアを算出することで、配達ドライバーの勤務状況を評価します。報道によると、Mentorが算出する運転スコアはAmazonが配達ドライバーに支払うボーナスに関係しているそうです。

Amazonの商品を配達するドライバーはこのMentorアプリをオンにして配達業務を行うよう義務付けられています。ところが、VICEの報道によると、Amazonから配達を委託されているDelivery Service Partnersという企業では、上司から「一定の時間だけアプリをオンにし、その後、アプリをオフにして配達を行うように」という命令が出されていたことが明らかになっています。

また、ミシガン州でAmazonの配達ドライバーとして働いていたという人物も、アプリに指定される配達時間内に配達が行えるように、適宜Mentorアプリをオフにしていたと明かしています。また、「Amazonが指定する配達ルートに沿って時間内に配達を済ませることは、ドライバーにとって厳しいものでした」と語り、Mentorアプリが自動で算出する配達基準はドライバーにとって厳し過ぎるものであったと主張しました。



VICEの報道に対して、Amazonの広報担当者は「すべての配送サービスパートナーはAmazonが規定する安全基準に準拠する必要があります。また、全体の90%以上のドライバーが、すべての安全基準に従いながら、予定時刻より前に配達を完了することができています」と述べています。ただし、Amazonがどのような統計情報を基にコメントしているのかについては不明です。

さらに、VICEの報道によるとMentorアプリにはいくつかのバグがあり、ドライバーがアプリのインストールされた端末に触れていないのに「わき見運転をしている」と通知することなどがあるそうです。そのため、MentorアプリのApp Storeページ上のレビューには「不正確」や「欲求不満が具体化されている」といった批判的なコメントが多数寄せられています。

「Mentor® DSP by eDriving℠」をApp Storeで

https://apps.apple.com/jp/app/mentor-dsp-by-edriving/id1357411961



他にも、委託業者は従業員に車両の損傷をAmazonに報告しないように指示していたことなども報じられています。

なお、Amazonは最近になって人工知能(AI)を搭載した監視カメラを導入しているため、配達業務を委託された業者の対応が今後変化していくことは確実です。

Amazonは配送車にAI搭載カメラを設置してドライバーを24時間監視し始めている - GIGAZINE



by Trevis Rothwell