2020年10月1日からGo Toトラベルキャンペーンがようやく本格的な仕様となった。これまでの35%還元にくわえて地域共通クーポンの約15%が上乗せされ、旅費の約50%が還元される。また、東京都在住者の旅行と東京を目的地とした旅行もキャンペーンの対象となり、キャンペーン利用者の急増が想定される。

 新型コロナウイルス感染症の患者数はこのところ横ばいとはいえ、夏と比較すれば、旅行に出かけることへの心理的ハードルは下がった。せっかくならば還元率が高いこの秋に国内旅行を計画している人も少なくないだろう。だが、特段行きたいところへのこだわりがない人へおすすめの行き先はいったいどこなのか。2020年秋に、ふだんよりもとりわけ格安で旅行できるという条件で検討してみた。その結果、おすすめの行き先は、偶然なのかどうかは分からないが西日本に集中する結果となった。


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東京から中国地方がタダ同然?

 全国共通のGo Toトラベルキャンペーンとは別に、各都道府県や市町村も観光客を呼び込むためにさまざまな割引制度を打ち出している。そのなかには利用者の住所を地元や近隣の地方公共団体にしぼったり、Go Toトラベルキャンペーンとの併用を禁じたりしているものもある。一方で居住地制限なし、Go Toトラベルキャンペーンとの併用も可能という太っ腹なキャンペーンも存在する。たとえば6000円以上の宿泊費なら、そのうち5000円を補助するというサッポロ夏割などが、一部の旅好きなネットユーザーをざわつかせてきた。

 その真打ちともいえるのが広島県旅行割引プラン(http://hiroshima-tours.com/)である。注目したいのはその金額の大きさ。30000円以上のツアーについては最大15000円還元となるのだ。他の自治体の還元額では最大5000円程度が多いなか、群を抜いているといえる。条件は指定された旅行会社が催行する、広島県内に宿泊するツアーに参加することだけだ。しかもこのプランとGo Toトラベルキャンペーンは併用できるのだからおそろしい(一部の旅行会社ではGo Toトラベルキャンペーンとの併用不可)。

タダ同然になるカラクリとは?

 東京駅発広島往復新幹線+広島市内のホテルに宿泊する1泊2日30000円のツアーに2名で参加したと仮定してみた。

 以下1人あたりの費用である。

30000円−15000円(広島県旅行割引プランで15000円引き)=15000円

15000円−10500円(もとの30000円からGo Toトラベルで35パーセント割引)=4500円が実際の支払い額となる。

 さらに地域共通クーポン5000円(30000円の15%は4500円だが1000円未満は四捨五入)分が付加されるので計算上は500円の黒字となる。

(フリーツアーのなかには期間中1泊のみ宿泊というものもあるが、広島県旅行割引プランを適用させるためには、全行程の宿泊をツアーで予約する必要がある。)

予算消化しだい終了に

 このプランのネガティブな点は広島県旅行割引プランの予算が限られていて争奪戦が必至ということだけだ。実はこのキャンペーン、すでに広島県の近隣県在住者を対象に行われていたが、短期間のうちに予算が消化されてしまった。10月1日から居住地の制約がなくなるとともに、すでに予算を消化した旅行会社には追加の予算が加わる。このキャンペーンの中身と対象者の多さから考慮するに、すぐになくなってもおかしくない。ちなみに予算は旅行会社ごとに割り当てられるので、旅行会社Aでは売り切れになっても旅行会社Bでは残っている可能性がある。

広島市では宿泊費が最大50%割引となる宿泊券を販売

 なお、広島市では、額面の倍額の宿泊費に充当できるプレミアム付宿泊券を販売している(https://hiroshima-city-premium.jp/)。9月27日時点で5000円券が売り切れているが10000円券(販売額5000円)は販売されている。こちらは中国地方、四国地方のセブン‐イレブン、ローソン、ミニストップ、ファミリーマートでないと購入できない。なお、宮島は広島市ではなく廿日市市なのでご注意を。

どこでもドアきっぷもGo Toトラベルで半額に

 JR西日本・九州・四国が販売するどこでもドアきっぷ(https://www.jr-odekake.net/navi/dokodemodoade-dokoikou_cp/)が注目されている。なにしろ価格が安い。JR西日本管内の新幹線・特急が2日間乗り放題で12000円〜。最も高いJR西日本・九州・四国管内の新幹線・特急が3日間乗り放題で23000円〜(いずれも6回まではグリーン車利用可能)である。同行程で2名利用というしばりさえクリアすれば、比類なき格安旅行が実現する。

 だが、驚くのはまだ早い。このどこでもドアきっぷとGo Toトラベルキャンペーンが併用できるのだ。ただし、以下のような条件がある。

(1)JTB、近畿日本ツーリスト、日本旅行など、どこでもドアきっぷを扱う旅行会社のJR西日本・九州・四国管内にある支店で購入すること。

(2)少なくともきっぷの有効期間のうち、1泊は上記の旅行会社できっぷと同時に宿泊の手配をすること。

 裏を返せばこれがすべてである。読者のなかには、JR西日本・九州・四国管内に住んでいない人も多いだろう。その場合は、メールなどでクレジットカード番号を伝えて決済をした後、これらの旅行会社から発券したきっぷ類を自宅宛てに郵送してもらえばよいだけのことだ。ただし、この郵送の期間を考慮して少なくとも出発10日以上前には手配を完了させたい(受付の締め切りについては各支店に直接電話などで問い合わせたい)。

広島県旅行割引プラン+どこでもドアきっぷという裏技

 どこでもドアきっぷは非常に安いものの、首都圏在住者などは、どこでもドアきっぷのエリアまでの往復の交通費が別途必要になってくる。そこで広島まで広島県旅行割引プランのツアーで行き、そこを拠点にしてどこでもドアきっぷを利用して、西日本を縦横無尽に行きかうプランはどうだろうか。この場合、広島県旅行割引プランの宿泊と、どこでもドアきっぷ手配時に必要な宿泊が最低1泊は重複してしまうが、それでもなお、トータルの費用を考えれば劇的に安くなるだろう。

与那国へ格安で行く方法

 昨今は沖縄はもちろんのこと、石垣島や宮古島(下地島)へもLCCが就航するようになり、以前とくらべるとかなり格安で行けるようになった。しかし、沖縄の離島に行くフライトは相変わらず高値安定となっている。たとえば日本最西端の与那国島。船は週2便しかないうえ、外洋の波は荒く、欠航や船酔いのリスクがある。

 長年の旅仲間のA氏が、Go Toトラベルキャンペーンを活用して離島へ安く飛行機で飛ぶ方法を編み出したという。それはこんな方法である。

 まず楽天トラベルにアクセスする(同様の機能があるならば、ほかのサイトでもかまわない)。そして JAL楽パックトップを選び、石垣発与那国往復で検索する。そこで宿泊地を与那国島にすると、ホテル代が高いせいか、最低でも21700円かかってしまう。そこで、宿泊について、「旅行期間中、一部の日程だけ宿を予約する」を選び、宿泊地を「那覇」にすると17400円まで下がるという。Go Toトラベルキャンペーンなら35%割引なので支払額は11310円。片道5500円強で与那国島まで飛ぶことができる。ただし、那覇の宿に泊まることは物理的に不可能なので「かけすて」になるうえ、宿で入手できるはずの地域共通クーポンも手に入らない。だが、とにかく安く与那国に行きたいという人にとっては朗報である。

 Aさんが予約済みの例では12月の羽田石垣間は35%の割引、15%のクーポン、ホテル代を差し引いた概算で、往復の航空券代は実質9000円台になったという。さらにANAのマイルも実航距離の50%で1224マイル付く。同様に羽田那覇でも航空券代は実質約7000円となる。沖縄は他の地域とくらべてかなり格安で旅行できるといえるだろう。

西日本以外におすすめの行先はあるのか

 西日本が安いことは分かったが、行くのは日程上難しい、あるいはあまり興味がないという人もいるだろう。そういう人におすすめなのがJR東日本の「お先にトクだ値スペシャル」(https://www.eki-net.com/top/tokudane/kakaku_osakini_sp.html)を利用する旅である。首都圏在住者であれば、東北・上信越・北陸行きなどが対象となる。新幹線指定席が通常の50%割引。条件は出発の20日前までに購入すること・指定した列車以外には乗れないことだけだ。たとえば東京から軽井沢や那須塩原まで片道2910円と高速バスなみの安さである。仙台まででも5440円。富山へも6380円である。残念ながらGo Toトラベルキャンペーンとの併用はできないので、このきっぷを利用して、現地の宿泊施設をGo Toトラベルキャンペーンで泊まるという形になるだろうが、それでも安いといえるだろう。なお、このきっぷは2021年3月31日まで利用可能なので、現時点では1月末までとなっているGo Toトラベルキャンペーン終了後にも利用できる。

(橋賀 秀紀)