会議のやり方が変わると、会社そのものの在り方も変わることになる


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 コロナ禍でテレワークが進み、上司・部下および会社内のコミュニケーションのスタイルも徐々に変わってきている。

 テレワークでは、同じ社内で過ごす時間が急速に短くなり、もちろん「飲みニケーション」はなし。

 部下や上司の顔を見るのは、ZOOMやTEAMSといったネットを通じたコミュニケーション時に限られる。そのため、普段の部下や上司、同僚の状態を観察したり、把握することは極めて難しくなる。

 今年の新入社員に至っては、入社した日からテレワークの人もいるはずだ。

 彼らは、社内の人ともほとんど会うこともなく、何だかよく分からぬまま、仕事を進めていかねばならない。

 暗黙知で仕事を進める傾向の強い日本人にとって、暗黙知が成立している相手とならテレワークが成立しても、暗黙知が成立していない相手には、テレワークは機能しづらい。

 また当初暗黙知が成立していたとしても、テレワークでのコミュニケーションだけになると、徐々に暗黙知は低減してくると思われる。

 新入社員のテレワークが機能しないのはまだしも、我々もそのうち機能しなくなる可能性も大いにある。

 さらに心配なのは、日本語が非常にハイコンテキストな言語であると言うことである。

 ハイコンテキストな言語とは、会話している者同士が、ある程度暗黙知を意識しながら話を進めるものである。

 一方、英語はローコンテキスト言語であり、相手にはっきり物を伝える。白か黒かをはっきりさせるのである。

 コンピューターのプログラム言語などは、超ローコンテキスト言語である。はっきり伝えないと、そもそも作動しない。

 私も大学時代にプログラム言語を初めて習ったときは、いちいち何でも定義することが、大変面倒くさいと感じた。

 でも定義しないことには、コンピューターは動いてくれないのである。この点では英語に近い。

 と言うか、プログラム言語が米国で発達したのは、そもそもローコンテキストで話すことに米国人が慣れているからではないかと私は思っている。

 ところが、我々日本人のコミュニケーションは、定義も曖昧、宣言文もなしで、いきなり中身に入ることが多い。

 諸々の背景はお互い最初から理解しているはずという前提で話が進む。

 日本語はあまりテレワークには向かないのである。

 そんな曖昧な言語を操る我々が、テレワークをするには、それぞれが相手と話すうえでのお約束をしておかねばならない。

 人間もAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)が必要なのである。APIとは異なったOS上などで動くソフトをつないで動かしてくれる便利な「装置」のことである。

 コンピューターでAPI接続するときにもいろいろと取り決めがあり、データタイプ、データ長、プログラム言語・・・などをそれぞれ定義していく。

 同じように我々にもコミュニケーションにはAPIが必要なのだ。

 これが良いというわけではないが、私は以下のことに注意をしながら、コミュニケーションを取るようにしている。

 これが一種、相手に意思を伝えるうえでのAPIの役割を果たす。

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だ約条件

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 この中で、一番大事なのは、「背景」である。

 ココがズレるとすべてがおかしくなる。「なぜ今この会議をやることになったのか?」「なぜこのプロジェクトをやることになるのか?」などの背景をしっかり伝える。

 私と一緒に仕事をしたことがある人だと、「山川さんは、背景、背景とうるさいな」と思ったかもしれない。

 でも、背景をしっかり伝えると目的も自然と分かるので、背景の共有に一番時間を使うことにしている。

 後は、目的、範囲、制約条件、そこから期待するアウトプットと締め切りを共有し、会議を終了する。

 背景と目的がしっかり共有できていれば、ほかが多少ズレていても何とかなるが、背景と目的がズレていると、会議に出ているメンバーすべての頭の前提が崩れるため、それぞれ違う前提で仕事を始めるのである。

 間違った方向に正しく全力で向かうことほど恐ろしいことはない。取り返しのつかないことになるのである。

 コンピューターの世界では、異なるネットワークや異なるコンピューター上のソフトウエア同士を会話させるAPIが1990年代初頭に出現した。

 今後は、異なる分野で育って来たビジネスパーソン同士、はたまた異分野のアーティストやクリエーターを結びつけて会話させ、新しいモノを生み出すAPI人材みたいなものが、そのうち出てくるだろう。

 いや、もう出て来ているかもしれない。

 もし、そうなれば、すべてのものが宝の山であり、新たなビジネスチャンスはそこら中に転がっている。

 人間APIの出現と共に、外部とどんどん繋がることにより、会社という概念自体が、いずれ変わってくることなる。

これまでの連載:

テレワーク時代、逆に重要になる「直接面談」:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61577

ITが教える会社経営の大きな落とし穴:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61526

東方神起の「災い転じて福となす」ビジネス戦略:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61476

会社人生で負けないコツ、四季報暗記とIT史把握:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61449

会社に必要なボケ型とツッコミ型人材:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61423

ついに日本を襲う、本格的ベンチャーブーム:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61314

テレワーク時代に勝つ人材はここが違う!:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61294

コロナ後に最も求められる人材とは:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61231

筆者:山川 隆義