新型コロナウイルス感染症によるロックダウンが「家庭内暴力の増加」を招くという指摘

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記事作成時点で77万人以上の感染者、3万7000人以上の死者が報告されている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大はとどまるところを知らず、世界各国の都市で外出禁止や店舗の営業停止を強制する「都市封鎖(ロックダウン)」が実施されました。しかし、「都市封鎖を行うことが家庭内暴力(DV)の発生件数の増加につながっている」と、イギリス大手新聞のガーディアンが報じています。

Lockdowns around the world bring rise in domestic violence | Society | The Guardian

https://www.theguardian.com/society/2020/mar/28/lockdowns-world-rise-domestic-violence

COVID-19の発生源とされる中国の湖北省が2020年2月に封鎖された際、湖北省のとある郡では、DVの発生件数が2019年の1年間で47件だったのがわずか2カ月で162件と急増。地元の元警察官で、虐待反対を訴える慈善団体の設立者であるワン・フェイ氏は「都市封鎖はDVに大きな影響を与えました。私たちの統計によると、(ここ最近の)DVの原因の9割はCOVID-19の流行と関連しています」と語っています。

都市封鎖によるDV増加の傾向が見られるのは中国だけではありません。ブラジルではCOVID-19による外出自粛に起因して、国営の相談センターにDVが通報される事例が相次いでいると地元メディアが伝えています。リオデジャネイロのDV事件を専門とする裁判官であるアドリアナ・メロ氏は「既にDVの報告件数は40%から50%増加しています。私たちが今直面しているこの困難に取り組むために、私たちは冷静さを保つ必要があります」と述べました。

イタリアではヘルプラインへの電話が都市封鎖以降で急激に減ったそうですが、その代わりにテキストメッセージや電子メールでの相談件数が急増したそうです。イタリアで女性に対する暴力防止活動を行うEVA Cooperativaのレッラ・パッラディーノ氏は「送られたメッセージの1つは、トイレに監禁されて助けを求める女性からのものでした。確実に緊急事態が発生しています。都市封鎖で外出が禁止されているため、、女性は外に逃げ出して避難所に駆け込むことができず、必死になっています」と述べ、都市封鎖の制限が緩和された瞬間にイタリア国内の虐待報告数が爆発的に増加するだろうと予想しています。

「外出禁止や営業禁止に背くと罰金が科される」という特に厳格な都市封鎖を3月14日から行っているスペインでは女性が家から逃げることができないため、DVが深刻化するケースが多く、バレンシア州ではDVによる死亡事件が既に発生しているとのこと。

都市封鎖によって女性や子どもへのDVリスクが増加していることを受けて、多くの国で法律あるいは政策の変更が求められています。イギリスの女性平等党代表であるマンドゥ・リード氏は、都市封鎖中は「DVの被害者を自宅から保護する」のではなく、「DVの加害者を自宅から立ち退かせる」という対策を取り、保護命令の裁判所費用も免除するべきだと主張しています。

また、ドイツの緑の党のカトリン・ゲーリング=エッカート氏は、ドイツ政府に対して「DV被害を受ける女性が暮らせる家を用意すべきだ」と迫り、空いたホテルやゲストハウスを改造し、DVの被害者が一時的に居住できるスペースを作るように要請しました。

ギリシャの家族政策・男女共同参画事務局長であるマリア・シレンゲラ氏は「都市封鎖に起因するDVから女性を守るため、ギリシャでは24時間体制で情報を発信するように取り組んでいます。4月になればDV発生件数が公式に発表され、この問題の本当の規模が判明すれば、テレビやソーシャルメディアなどマスコミも参加して社会に訴えかけていく予定です。COVID-19による経済的な影響により、事態はさらに悪化するだろうと私は考えています」と語りました。