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もくじ

ー 名車マクラーレンF1の究極的仕様
ー LMと標準仕様 大きく異る点は
ー ブルネイ国王は1人で3台も所有した
ー 完璧な状態 距離2万1500km以下

名車マクラーレンF1の究極的仕様

史上最も稀少で、速くて、素晴らしいスーパーカーを1台購入したいと考えているなら、今回ご紹介するマクラーレンF1の究極的なLM仕様をおいて他にない。

この1994年製の車両は、8月に開催されるRMサザビーズのオークションに出品されることになっている。売れることは間違いないだろう。なにしろ、8台しか製造されなかったマクラーレンF1 LM仕様の1台なのだから。

しかし、問題が1つある。予想される落札価格が2100万〜2300万ドル(22.7億〜25億円)とおそろしく高額であることだ。

ところで、F1 LMは何がそんなに特別なのだろうか?

まず、「普通の」F1でさえも、流麗なボディに途方もないパフォーマンスと、レースにおける輝かしい戦績、そして稀少性を兼ね備えた伝説的名車であること。

ゴードン・マーレーが究極のロードカーを目指してデザインしたマクラーレンF1は、1992年に発表された時点で、それを易々と達成していることが明らかだった。

当時、このクルマをテストしたAUTOCARは「公道を走行するために作られた史上最も素晴らしいドライビング・マシン」と書き表している。そして今でも、史上最高のクルマを投票で決めようとしたら、多くの票を集めることは間違いない。マクラーレンF1は数年間、「世界最速の市販車」の称号を守り続けていたのだ。

LMと標準仕様 大きく異る点は

伝説はまだ続く。発表から数年後、マクラーレンはこのクルマをレースにも参戦させることにした。レース仕様に改造されたマクラーレンF1 GTRは、1995年のル・マン24時間レースで期待どおり総合優勝を決め、さらに3位、4位、13位でフィニッシュした。

この成功を記念して、マクラーレンがサーキット走行に最適化させ、しかし公道走行も可能な車両として製作したのが、F1 LMだ。最初に6台のF1 LMが製造された(そのうち1台はプロトタイプ)が、後に2台のF1がマクラーレンによってLMスペックにコンバートされた。

このシャシー・ナンバー018は、そのコンバートされた2台のうちの1台だ。

LMが標準仕様のF1と大きく異なる点は2つある。

1つめは、エアロダイナミクスの効果を高めるために、ハイダウンフォース・キットが装着されていること。改良されたノーズにはスプリッターが加えられ、ダクトも拡大されている。大型のリア・ウイングは、GTRから受け継がれた。

そして2つめは、よりパワフルなLMスペックのエンジンが搭載されていることだ。BMW製V12エンジンは、カムシャフトとピストンがアップグレードされ、圧縮比も高められた。これによって最高出力は689ps/7800rpmに向上。エアプレッシャー・センサーも追加されている。

マクラーレンによってLMスペックにアップグレードされた2台のF1(これがその1台)は、さらに特別だ。エクストラ・ハイダウンフォース・キットが装着されているため、空力性能はさらに高くなっている。

また、他のLMには見られない多くのオプションも装備されている。例えば、最初に製造された5台のLM(とプロトタイプ)の車内は明らかにスパルタンな仕様だが、2台のコンバージョン・モデルはエアコンやオーディオ、14インチのステアリングホイールが装備され、より大径の18インチGTRホイールが装着されている。

ブルネイ国王は1人で3台も所有した

マクラーレンF1 LMが売りに出されることは滅多にない。プロトタイプは現在もマクラーレンが所有し、他の5台のうち3台をブルネイ国王が買い上げた。ラルフ・ローレンも1台持っている。残る1台は米国のプライベート・コレクションに所蔵されている。

そしてコンバートされた2台のLMのうち、シャシー・ナンバー073が2015年にRMサザビーズのオークションに出品され、1375万ドルという金額で落札された。この個体は昨年、RMによるプライベートセールで売りに出された。その時の予想価格は2000万ドルほどだったが、売買が成立したかどうかはわからない。しかし、RMのリストにはもはや掲載されていない。

シャシー・ナンバー018は、過去25年の間に何度か売買された。現在のオーナーであるアンドリュー・バグナルは2007年から所有している。

「ブルース・マクラーレンはわたしにとってヒーローでした」と彼は語る。「そしてこの驚くほど素晴らしいクルマを所有する喜びを、わたしは長年感じてきました。その間、運転を存分に楽しんだので、そろそろ次のオーナーに譲ろうと考えたのです」

「モントレーのオークションに出席することを楽しみにしています。そして次のオーナーが、この本当に卓越したマシンを、わたしのように楽しんでくれることを願っています」

完璧な状態 距離2万1500km以下

プラチナ・シルバー・メタリックで塗られたボディに、クリーム色のレザーと茶色のアルカンターラを組み合わせ、クリーム色のウィルトン・カーペットを敷き詰めたインテリアを持つシャシー・ナンバー018は、完璧な状態でオークションに出品される。走行距離は2万1500kmにも満たない。

RMサザビーズの自動車専門家を務めるアレクサンダー・ウィーバーは、次のように語っている。「このマクラーレンF1は究極のスーパーカーであり、長いこと他のすべてのスーパーカーにとって比較対象とすべきベンチマークでした」

「この個体はわたしにとっても最も好きなクルマであり、すべての仕様が最も好ましい1台として広く認識されています。これほど感情を高ぶらせ、興奮させてくれるクルマは他にありません」

「最も高度に進化した仕様であるということは、この奇蹟のようなLMの価値における一部でしかありません。そんなクルマを購入し、これから長年所有して、楽しむことができる。まさに絶対に見逃せないチャンスです」

モントレーにおけるRMサザビーズのオークションは8月15〜17日に開催される予定だ。