町田はサイバーエージェントグループへの参画により、増資された資金を活用し、ピッチの全面改修が実現させた。写真:郡司聡

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 J1昇格を目標に掲げる町田に、新たな“追い風”が吹いている。
 
 東京都町田市、野津田公園の敷地内にある上の原グラウンド。今年の1月までは土のピッチだった上の原グラウンドが、天然芝と人工芝の融合したハイブリッド芝のピッチに生まれ変わった。町田のトップチームは運用方法やファンサービスの動線などを確定させるために、5月から同グラウンドの利用をスタートしていた。J1、J2全クラブの中で唯一、人工芝のグラウンドを“主戦場”としてきた町田にとって、天然芝の練習環境が整ったことは、歴史的な第一歩となった。2014年から町田に在籍し、今季で6年目を迎えるベテランの李漢宰は、上の原グラウンドのピッチを踏みしめた感想について、こう語っている。

「上の原グラウンドがまだ土だった状況で、ゼルビアがリーグ戦を戦ってきたことを思えば、これまでクラブに携わってきた人々や、さまざまな方々の協力があったからこそ、こうして天然芝のピッチが完成しました。そのことに感謝しながら、トレーニングをしていきたいです」
 
 なお、今回の上の原グラウンドのピッチ全面改修の背景には、昨年10月、クラブの運営会社がサイバーエージェント(CA社)グループに参画したことが関係している。クラブは、J1ライセンス取得に向けて、練習場環境整備の協議を進める中、町田市民や行政が上の原グラウンドをはじめとして、スポーツの環境改善を望んでいることをキャッチしていた。
 
 そこでクラブ側は“チームのためにもなり、地域のスポーツ環境整備に貢献できるならば”、とCA社に相談した上で、クラブ側がピッチの全面改修に必要な予算面を全面的にバックアップすることを決めた。予算規模は約2億円。CAグループ参画により増資された資金を活用し、今回のピッチ全面改修が実現した格好だ。なお、一般利用がスタートした6月上旬には、町田サッカー協会女子部主催の「ミニサッカー大会」が上の原グラウンドで実施されるなど、町田の地域貢献は少しずつ形となっている。
 
 このように天然芝の練習環境が整ったことは、クラブにとっての悲願が実現した格好だ。しかし、6月末に申請するJリーグクラブライセンス制度において、J1ライセンスを取得するためには今回の環境整備だけでは不十分でもある。そのため、クラブ側は現在、町田市内にクラブハウスと天然芝のグラウンドを併設したハード面を整えようと、行政や関係各所との最終調整を進めている。
 
 いずれにせよ、町田のトップチームが利用できる練習場の選択肢は増えた。固い人工芝のピッチでは足腰に掛かる負担も大きく、夏場には強烈な太陽の照り返しによって、想像以上に暑さを感じる環境下でトレーニングを続けてきた現場にとっては、なによりの朗報だろう。J2第18節を終えた時点での町田は、5勝6分7敗の16位。「自分たちが思い描いていたような結果ではない」(増田卓也)チームにとっては、今後の反撃に向けて、大きなプラス材料となるに違いない。
 
 16年にトライアウトを経て町田に加入した中島裕希は、「自分たちの結果で環境を変える」とピッチで奮闘してきた。その成果の形が、昨年のCAグループへの参画であり、今回の練習環境の変化だ。その中島は言う。
「自分たちがここまで結果を残してきたからこそ、勝ち取ったものですし、天然芝でトレーニングができる喜びを感じながら、個人のスキルやチーム力を積み上げて、さらなる結果を残さなければならないという責任感を持ち、シーズンを戦い抜きたい。そうした思いを強くしました」
 
 昨季の4位から自動昇格圏も見据えた立ち位置へ――。「環境を言い訳にできない」(李)選手たちは、「天然芝のピッチで練習するからには、結果を残さなければならない」(中島)という使命感で燃えている。
 
取材・文●郡司 聡(フリーライター)