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もくじ

どんなクルマ?
ー 使い勝手抜群 本格オフローダー
ー 原点回帰 デザイン・機能美

どんな感じ?
ー シエラ 高剛性/高い操縦安定性
ー 新開発1.5ℓエンジン 実力は?
ー ジムニー 荒地も街乗りも満足
ー 高まった接地感/走破性

「買い」か?
ー 試乗してからの購入がオススメ

スペック
ー スズキ・ジムニーXC/ジムニーシエラJCのスペック

どんなクルマ?

使い勝手抜群 本格オフローダー

20年ぶりのフルモデルチェンジだから注目度が高いだろうことは予想されたが、まさかここまで人気が爆発するとは。林業を始めとするプロの道具、あるいは山岳地帯での生活の足やレジャーのお供として愛され続けて48年。ジムニー/ジムニーシエラはミニマムな本格オフローダーとして唯一無二の存在であり、日本の自動車産業全体にとっても誉れの一つといえる。

山菜やきのこを求めて山奥へ分け入って行くのを趣味とする知人は、メルセデス・ベンツGクラスとジムニーを所有するが、山での稼働率が高いのは圧倒的に後者。

汚れや小傷を気にして高級車を温存しているわけではなく、獣道に毛が生えた程度の狭い道でもガシガシ入っていけるコンパクトなサイズと、軽量ゆえに泥濘地や砂地でもスタックしにくい機能が頼もしいからだという。さっそく新型もオーダーを入れたが、1年待ちと聞いても文句も言わずに首を長くして楽しみにしているらしい。

原点回帰 デザイン・機能美

そういった機能に惚れている熱狂的なファンならいざ知らず、一般的なユーザーからも絶大な支持を受けているのが凄い。

ちょっとしたオフロードに足を踏み入れるぐらいならハスラーで十分だし、乗り心地や室内の広さ、燃費など普段使いを考えればむしろ選択肢としては賢いはずだが、ジムニーの持つ本物感やキャラクターが人を惹きつけるのだろう。

先代では少しだけ丸みを帯びていたデザインを原点に戻して機能美を追求したことも少なからずヒットの要因になっているように思える。

試乗したのはジムニーシエラの4ATとジムニーの5MT。まずは、普段のアシとしても有力な選択肢になりそうな前者から走り始めた。

どんな感じ?

シエラ 高剛性/高い操縦安定性

ラダーフレームは中央のエックスメンバーや前後クロスメンバーの追加などで剛性は従来比で1.5倍。それによってサスペンションがスムーズに動くようになったことは走り始めてすぐに感じ取れた。コンパクトな本格オフローダーらしからぬどっしりとした感触もあり、さすがは新型でずいぶんと進化しているものだと感心しきり。

だが、アスファルトがボコボコと波打った荒れた路面を突っ走っていくと、ロール方向へ揺さぶられが結構強い。ミッションか何かが動いて揺れが増幅しているような印象だ。

基本的な乗り心地は大幅に良くなってはいるけれど、状況によってはラダーフレーム+前後リジットサスの特性が顔を出すのは致し方ないところなのだろう。

ただし、路面の荒れが少なく、緩やかなコーナーが続く郊外路では快適だった。速度がちょっと高めのほうが落ち着きがいいようで、これなら高速道路でのクルージングも悪くないと推測できる。

新開発1.5ℓエンジン 実力は?

1.5ℓ NAエンジンは意外と活発な性格で、アクセルを深く踏み込んでいくと勢いよく吹き上がっていく。絶対的なパフォーマンスとしては十分だろう。

だが、普段使いでよく使う低回転域ではトルクが薄く、4ATということもあってもたつき気味ではある。アクセルを踏み込んでいけばシフトダウンしてグワッと加速しはじめるが、4速しかないから前後Gの変動が大きくて煩わしい。

最近の低回転・大トルク型のエンジンや電動車、多段ミッションに慣れきっていると、これ1台だけで生活をともにするのは勇気がいるなと思ったのは正直なところだ。

複数台所有ならば軽自動車のジムニーの5MTも現実的(もちろん惚れこんでいるなら1台で過ごしてもいい)。そう思いながら乗り換えてみると、嬉しい驚きもあった。

ジムニー 荒地も街乗りも満足

660ccターボのエンジンは先代よりもわずかにスペックダウンしているが、さしたる問題はない。C/Dセグメントあたりでポピュラーな直噴ターボほどではないにしろ、低回転域のトルクがそこそこ充実しているうえ、MTで操るとドライバビリティがかなり良く感じられる。

ジムニーシエラの4ATと同じように荒れた路面も走ったが、左右へ揺さぶられることはかなり少なく、すっきりとした乗用車ライクな乗り味だった。これなら普段の街乗りでも、あまり違和感なく乗れるだろう。緩やかな郊外路ではジムニーシエラのほうが頼もしく快適だが、ジムニーでもさしたる不満はない。

高まった接地感/走破性

本格オフローダーをオンロードで走らせると、ステアリングのギア比がスローなゆえに切り遅れたり、はたまたセルフセンタリングが弱くて戻しでも遅れてしまったりというあたりも気になるものだが、ジムニー/ジムニーシエラはちょっと慣れればどうってことないぐらいだった。

ジムニーの5MTではオフロードコースも走行した。こういった試乗でたまに訪れるコースだが、ジムニーは接地感が一際高く、路面を確実に噛みしめながら安心してズンズン進んでいける。ステアリングから伝わってくるフィーリングも正確性が高くて走りやすかった。

4WD-Lに入れると、ESPを利用したブレーキLSDトラクションコントロールが作動。滑りやすい路面やモーグルなどで浮いてしまうタイヤが空転を始めると、そこにブレーキをかけて対向するタイヤの駆動力を確保するシステムは想像以上に有効。LSDなしでも高い走破性をみせつけていた。

じつは少し前に新型Gクラスでも同コースを走ったのだが、キャンバー路と呼ばれる左右に大きく傾く場面ではトレッドがモノを言うようで、ジムニーはGクラスほど攻められなかった。

「買い」か?

試乗してからの購入がオススメ

ジムニー/ジムニーシエラはフレームとボディの剛性が高まったことで、オンロードでの快適性や運転のしやすさが進化しているが、あくまで本格オフローダーなのでそこに期待しすぎるべきではないことは肝に銘じておくべきだろう。

見た目やイメージに惹かれて飛びつく前に、しっかりと試乗して確かめておくことをオススメしたい。それでもなお惚れこんだなら、プリミティブなスポーツカーやヒストリックカーと付き合うのと同じように、幸せな時間を送れるはずだ。

スズキ・ジムニーXC/ジムニーシエラJCのスペック

ジムニーXC(5MT)のスペック

■価格 174万4200円 
■全長×全幅×全高 3395×1475×1725mm 
■最高速度 - 
■0-100km/h加速 - 
■燃費(WLTCモード) 16.2km/ℓ 
■CO2排出量 143.3g/km 
■車両重量 1030kg 
■パワートレイン 直列3気筒658ccターボ 
■使用燃料 ガソリン 
■最高出力 64ps/6000rpm 
■最大トルク 9.8kg-m/3500rpm 
■ギアボックス 5速マニュアル 

ジムニーシエラJC(4AT)のスペック

■価格 201万9600円 
■全長×全幅×全高 3550×1645×1730mm 
■最高速度 - 
■0-100km/h加速 - 
■燃費(WLTCモード) 13.6km/ℓ 
■CO2排出量 170.7g/km 
■車両重量 1090kg 
■パワートレイン 直列4気筒1460cc 
■使用燃料 ガソリン 
■最高出力 102ps/6000rpm 
■最大トルク 13.3kg-m/4000rpm 
■ギアボックス 4速オートマティック