不正に手を染めるコンビニ加盟店オーナー、その騙しのトリック

私たちの身近にあるコンビニの知られざる裏話を、業界の内情に詳しいライターの日比谷新太さんが紹介していく当シリーズ。前回の「コンビニの駐車場での交通事故」に続いて、今回取り上げるのは「実際に起こった加盟店オーナーの不正行為」について。棚卸が行われる日にちの時間差を利用した不正の手口と、それが発覚するまでの顛末をリアルにレポートしています。
棚卸を誤魔化す加盟店オーナー
夢を抱いて始めたコンビニ経営、でも本部からのノルマや搾取が厳しくて実は悲惨……そんな話をよく耳にすることもあって、皆さんのなかにも「コンビニ本部が加盟店をいじめている」「騙している」といったイメージを持たれている方は、結構多いのではないでしょうか。
ただ、コンビニ業界について長らく取材を続けていると、なかには「加盟店が本部を騙す」といったケースも、結構耳にします。今回ご紹介するのは、とある加盟店オーナーが自らの利益を守るために行った不正の実態と、それが発覚するまでのいきさつです。
一般的にコンビニ店舗は、4半期毎に棚卸を実施します。3ヵ月毎の実在庫と帳簿在庫を照合し、帳簿在庫よりも実在庫が少ないと足りない分を「棚卸差額」として経費計上し、帳簿在庫を適正化する作業を行います。
実在庫については委託された棚卸作業専門の会社が、店舗の売場やバックヤードにある在庫をカウントし、最終的な店舗の実在庫を確定させます。これを「実地棚卸」と呼びます。
棚卸作業終了後は本部の担当者が訪店し、棚卸結果をチェックします。実在庫と帳簿在庫の差額がマイナスだと、その分は加盟店側の経費負担となってしまうので、加盟店オーナーは棚卸のカウント漏れが無いようにします。
さて今回取り上げる加盟店オーナーは、複数の店舗を経営していました。仮にそれらの店舗をA店・B店とするとして、もしA店で棚卸を行う前日に、B店からたばこのカートンをそーっと移動したら、どうなるでしょうか? ……そうです。A店の実在庫が増えて、経費負担が減少しますよね。
この加盟店オーナー、B店で棚卸が行われる際には、逆にA店からたばこのカートンを移動させていました。これを毎回の棚卸シーズンごとに繰り返していたのです。
しかし、そんな不正行為もついに発覚する日が来ます。
不正発覚のきっかけはパッケージの汚れ
その不正を発見したのは、その店舗を担当していた本部の社員でした。きっかけは、他の担当店舗でたばこが欠品した際に、このB店からたばこのカートンを借りたこと。後日、借りたカートンをB店に返す際に、パッケージに少し汚れが付いているのを、その本部社員がなんとなく覚えていたのです。
ある日、その本部社員がA店の棚卸作業に立ち会っていたところ、その店のバックヤードにB店に返したはずの汚れたカートンがあるのを見つけました。しかし、その時は「B店に返したはずだが、転送したのかな?」ということで、その場で加盟店オーナーを詰問することはしなかったそうです。
そして、その翌日にはB店の棚卸が行われました。……実はこの本部社員、A店で例のカートンを見つけた際に、より分かりやすいようにと印をつけておき、店舗間で移動した場合に分かるようにしておいたのですが、B店の棚卸作業で何気なくバックヤードをチェックしたところ、印付きのカートンをあっさり発見したのでした。
こうなれば、さらなる動かぬ証拠を見つけ、加盟店オーナーを追求しなくてはいけません。その3か月後の次なる棚卸の日、商品を移動している現場をおさえるべく、その本部社員は自家用車でA店の前で張り込みを始めました。するとその加盟店オーナー、アルバイトと2人でたばこのカートンを店舗から持ち出し、車に積み込んだのです。
車を追跡すると、案の定その行先はB店でした。正式な商品移動であれば伝票を起票しますが、起票されていません。翌日はB店の棚卸日です。これで不正が確定しました。
翌日、本部の事務所にて動かぬ証拠を突き付けられた加盟店オーナーは、これまでの不正を認めざる得ませんでした。最終的にこのFC店主は、加盟店契約を破棄されることになったとのことです。
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文/日比谷 新太(ひびや・あらた)
日本のコンビニエンスストア事情に詳しいライター。お仕事の依頼はコチラ→のメールまで: u2_gnr_1025@yahoo.co.jp
出典元:まぐまぐニュース!